日・米メディア…穢い言葉をなぜ使うのか!
768回目のブログです
“夕暮れは ものぞかなしき 鐘の音 あすもきくべき 身とし知らねば”
和泉式部(平安中期・詞花和歌集)
夕暮れはなんと悲しいことだろう。入相の鐘を明日も聞くことの出来る身だとは分からないので…。
秋も深まってくれば、夕暮れの時に鳴る鐘の音がいっそう寂しく聞こえ、何か人生の黄昏を感じさせる寂しさがあります。入相の鐘(晩鐘)が明日も同じように聞けるとは限らないと思うと、一日一日を大切にして生きて行かねば、という厳粛な気持にさせられます。
師走に入って2週目。この一年をチラッと振り返ってみると、世の中が荒れてきたとの感を懐きます。そのひとつに挙げたいのが「穢い言葉」の横行ではないでしょうか。これはこの一年ということではなく、ここ数年の特徴ではないかと思います。
穢い言葉の中には、乱暴な言葉、えげつない言葉など、聞くに堪えず、見るにも堪えないものを含んでおり、それもマスメディアに堂々と現れるようになってきていることに注目しなければなりません。
■ 毎日新聞(10月28日)夕刊に載った、作家・辺見庸氏の特集インタビュー記事をご覧ください。
【この国はどこへ コロナの時代に 作家 辺見庸さん 首相の「特高顔」が怖い】
「彼は昔の特高(戦中の特別高等警察)の仕事をしてると思うんだよね」
「菅さんの場合は機密という意味のインテリジェンスはあっても、総合的な知性という意味でのインテリジェンスがないと思うんです。だから、この人は好かんな、怖いなというイメージがあります」
「菅さんっていうのはやっぱり公安顔、特高顔なんだよね。昔の映画に出てくる特高はああいう顔ですよ」
辺見庸氏は、昭和19年(1944)生まれの作家、元共同通信記者。時の首相を「特高顔」と評するのは誰が見ても “ヘイト” (憎悪)以外のなにものでもありません。人格攻撃そのものであり、上から目線、差別主義、他人を激しく憎む特異な性格の持ち主と言うべきでしょう。また、日本の敗戦は昭和20年(1945)。昭和19年(1944)生まれで、戦時中の特別高等警察官の顔が分かるとしたら、まさに超能力者ですね、…いやはや。
この言葉を得意げに発した辺見氏と、それを紙面にそのまま嬉々として乗せた毎日新聞の編集スタッフは、人間としてのレベル、品性があまりにも低いと言っても良いのではないでしょうか。
一般的に、サヨクの人は、全ての政治家をとにかく単純に批判します。まずは「貧乏育ち」「ルックス」「低学歴」を持ち出し、菅首相を「たたき上げ、いわばノンキャリア」と批判。安倍前首相、麻生財務相、小泉環境相あたりには「世襲」を理由に批判、官僚出身者には「役人根性」と批判。それでは、一体、誰が政治をやればよいのでしょう。
彼らは、自分で政治の方向を考え、真面目に議論するのではなく、嫉妬・劣等感からでしょうか、政治家を好き嫌いで判断し、憎悪の炎をたぎらせているように思えてなりません。
それにしても、首相の顔を特高顔というのであれば、自らの顔はどう表現するのか。…悪魔顔か、独裁者顔か、それとも、まさか、凛々しい顔とでも称するのでしょうか。もう、いい加減にして欲しいものです。
ところで、上に記したことは、わが国だけではありません。
■ 米国のマスメディアのひどさは日本以上に異様、偏向の極みと言わねば
なりません。ご覧ください。
「トランプは気が狂っています。恥ずかしいことです」(CNNの司会者、ドン・レモン<2017年8月22日>)
「私たちの大統領は情緒不安定な人物です。説明しがたい行動をとっています」(ニュ一ヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、トーマス・フリードマン<2018年2月21日 >)
「あなたがトランプに投票したのなら、あなた、つまりドナルド・トランプではなく投票者であるあなたは、ナチスに足を踏み入れようとしています。『おいで、おいで』と誘われているのです・・・これこそドナルド・トランプの悪魔のような力です」(MSNBCのゲスト、ドニー・ドイツ<2018年6月18日>) <『失われた報道の自由』から>
聞きしに勝る異様さ。トランプ大統領に対して「気が狂っている」「情緒不安定」「悪魔」などと人格攻撃を加えるとともに、トランプ氏に投票した人々には「ナチス」という強烈なレッテルを貼りつけているのです。
わが国有力メディアの毎日新聞も顔負けのヘイト(憎悪)に驚きを隠せません。米国マスメディアは、このような汚い表現を日常的に行っており、マスメディアの信頼性はかつてないほどに落ちています。
「昨年(2017年)、民主党支持者のメディアへの信頼度が急に高まり、現在は76%だ。1997年の調査開始以降、ギャラップ社の政党別の数値としては最も高い。一方、共和党支持者のメディアへの信頼度は依然としてほかの政党の支持層をかなり下回り、わずか21%」。(ギャラップ社レポート2018年10月12日)
民主党支持者のメディアへの信頼度が76%に対して、共和党支持者のそれはわずかに21%となっています。どうなっているのでしょうか。
前々回のブログでも触れましたが、トランプ大統領当選後100日間の米国メディアの報道内容をごらんください。
「CNNとNBCはトランプに否定的なニュースと好意的なニュースの比率は13対1。CBSでは否定的なニュースは90%以上。ニューヨーク・タイムズは87%、ワシントンポストも83%、ウォールストリートジャーナルは70%。」
「唯一FOXニュースだけが、否定的なニュースが52%で、好意的なニュースが48%だった」
バランスが取れているのはFOXニュースのみとは驚きです。その他は7割、8割、9割、トランプ否定の記事ばかりです。アメリカでは、報道機関はどの政党を支持するかを勝手に表明できますが、ニュースの選択も、自社のイデオロギーにもとづき恣意的に行っているのです。つまりは、プロパガンダ(政治的意図を持つ「宣伝」)そのもの。
したがって、成熟した民主主義の香りを嗅ぐことは出来ず、あまりにも野蛮であり、異常、異様に感じてしまいます。
今回の大統領選。トランプ大統領も特異なキャクターの持ち主であるだけに敵も多く、トランプ氏は、選挙戦において、民主党に加え、ほとんど全てのマスメディアとも戦わねばなりませんでした。
その結果、現時点では、バイデン元副大統領が勝利を宣言しましたが、トランプ陣営がそれに異を唱え、ジョージア州・アリゾナ州・ウィスコンシン州・ペンシルベニア州・ミシガン州・ネバダ州などに、法律にのっとった行動(不正投票の訴え)を前面に押し出している段階です。
最終的決着は年を越しそうですが、バイデン氏で決まるのでしょうか。
それにしても、国家、社会のリーダーには「言葉の力」は武器であるとの認識に立ち、品格を感じさせる言葉を発してほしいものです。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
古代ギリシアの時代にソクラテスを死に追いやったのも、第一次大戦後のドイツがワイマール憲法下でヒトラーを選出したのも同じ民主主義である。この制度には多くの欠点があるが、最大の欠点は候補者の政治能力や性格はほとんどの有権者が知ることのないまま、見た目と知名度、経歴で選ばれることである。見た目には、顔や表情、声や口調から受ける感性(橋下徹氏は肌合いという言葉を使っていたが)が含まれ、国政選挙など大規模な選挙の場合、政党や組合候補なら組織力、でなければマスコミの力が大きい。経歴の中心をなすのは学歴である。いずれにしても候補者の人間力、判断力、指導力など政治家に必須の資質は軽視される。その結果、学歴は高いが指導者としては最悪という政治家、甘いマスクと声で高得票を得たが、公約の一つも実現させないまま引退する政治家などが出てくる。また我が国は芸術家タレントの発想力よりも高学歴の知識力を評価する風潮があるため、政治家を学歴の面から軽視する傾向が学者や記者、官僚に見られる。人間は昔も今も他人を尊敬するよりも嫉妬するか蔑視する方が楽に生きられる生き物のようだが、それが民主主義社会を毀損していることには気づかない。結局、スターリンやヒトラー、毛沢東、そして習近平が呟いているかもしれない、「だから言ったじゃないか」と。
投稿: 齋藤仁 | 2020年12月11日 (金) 09時00分