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2021年1月 8日 (金)

対中弱腰外交の証拠…情けなや日本の現実!

 772回目のブログです

2021181

  “ たゆまざる 歩みおそろし かたつむり ”
    (…自分は天才ではない。
      他人が五年でやることを十年かけてやる)
        北村西望(明治17~昭和62 彫刻家 文化勲章受章)

 長崎の平和記念像を制作した北村西望は102歳の長寿を全うし、生涯たゆまぬ努力を貫き、文化勲章を受章した彫刻界の第一人者です。百歳の長寿記念の時、上掲の俳句を書き、その後も研鑽を続けました。わたしたちも、かたつむりのような目に見えないほどの動きであっても、1年、5年、10年と前に進んで行きたいものです。

 今年の正月は、例によってコロナ自粛、隣の街にいる息子家族の来宅もなく、ゆっくりとした時間を確保できました。久しぶりに地上波・BSのテレビでも見ようかと思い、番組表に目を凝らしましたが、なかなか好みの番組に当たることができませんでした。

 ということで、もっぱらネットを渉猟することにしましたが、その中で、驚くべき記事に遭遇しましたので、ここに紹介したいと思います。まずはご覧ください。

  外交ジャーナリスト・手嶋龍一氏元外務省主任分析官・佐藤優氏が、両氏の共著『菅政権と米中危機 「大中華圏」と「日米豪印同盟」のはざまで』の出版を機に、対談をPRESIDENT Online12/21に掲載。重要な個所を一部引用します。

【手嶋】平成29年(2017)5月が一つの節目。習近平政権は、北京で開いた「一帯一路」の国際サミットに、野中広務元幹事長の対中人脈を引き継ぎ中国共産党とのパイプ役を担った二階さんを招いたのです。

【佐藤】二階幹事長は、単に政権党を代表して北京に出かけていっただけではない。当時の安倍晋三総理の「親書」を携えていったんですね。

【手嶋】それによって習近平主席との会見を果たしたのです。「安倍親書」は、日中双方にとって極めて重要な外交上のツールになりました。中国側もなかなかにしたたかで、在京の中国大使が事前に親書の中身を知りたいと持ちかけ、当時の今井尚哉秘書官が親書の内容を明らかにしたところ、中国側から「これでは不十分だ」と一度は突き返されてしまいます。

【佐藤】安倍親書には「一帯一路」構想へ日本がどう応じるか明確にされていなかったからですね。

【手嶋】その通りです。その結果、日本側は中国の要求を容れる形で、「一帯一路を支持する」と中身を書き換えてしまいました。日本政府は、この「安倍親書」を通じて、習近平政権が進める「一帯一路」構想に明確な支持と協力を表明してしまったわけです。

 これに反対する安倍外交の司令塔、谷内正太郎国家安全保障局長は、今井秘書官との軋轢を深めることになり、谷内辞任の伏線となったのです。この一件によって「日本は揺さぶれば操れる」という誤ったメッセージを北京に送ることになってしまったのです。

【佐藤】この「安倍親書」は、その後の安倍総理の中国訪問と、習近平国家主席の国賓としての訪日招請に繋がっていったのですから重要ですね。

 引用は以上ですが、佐藤優氏と手嶋龍一氏の対談は密度が濃く、重要な内容を含んでおり、考えさせられるところの多い極めて有益な対談だと思います。

 それにしても、『安倍親書』を、前もって中国側に見せるなんて、また、それを修正して、相手から承認を貰うなんて、こんなことなんてあるのでしょうか! 実際にこのようなことがあったのですから、唸らざるを得ません。今井秘書官の独断とも思えず、二階幹事長菅官房長官も了承していたとしたら…。

 この行為は厳しい表現で言えば、国を売ることと同じことではないのでしょうか。そうとすれば、彼らは日本の国士ではなく、中国(中華人民共和国)の僕(しもべ)と言っても言い過ぎではないように思われます。

 安倍総理の親書を他国、他人に見せ、修正を指示され、それに唯々諾々と従う、その心根には、日本人としての凛とした姿勢を見ることは出来ません。日本の外交はまことに危うく、まさに砂上の楼閣、いつ倒れてもおかしくない印象を受けるのは、ひとり、私だけでしょうか。

 政治家や官僚にも、立派な方はおられるはずです。中国に迎合し、親書を見せて修正することに強く反対したと言われる、国士とも称された谷内正太郎国家安全保障局長の悲憤はいかばかりであったか、想像に難くありません。

 わたし達日本人は、福澤諭吉の言う「一身独立して一国独立す」を心掛け、もう、親中、媚中、屈中の弱い心を払拭し、凛とした独立の精神に立脚しなければならないのです。

 この対談の中で、佐藤優氏は、「米国からすれば自民党・二階幹事長の中国重視は一線を越えている」、手嶋龍一氏は「アメリカは緩やかな対中同盟を作ることを目指している。対中国外交は菅政権を脅かす地雷原になる」と指摘しています。

 示唆に富む発言です。考えてみれば、今、中国は世界覇権に向かって牙を剥き、猛然と進んでいることは否定できません。…露骨なまでの「一帯一路」政策、新兵器(宇宙・サイバー・化学兵器・生物兵器・他)の開発、三戦(法律戦・世論戦・心理戦)を駆使した工作活動、などなど。

 わが国に対しても、尖閣列島ひとつを取り上げても明白です。昨年1年間の中国軍船の尖閣接続海域入域は1161隻にも上ります。10年前にはゼロだったのが、年々増加し、今や年間1000隻を優に超えるようになってきています。

 海だけではありません。空からもです。尖閣諸島の上空で海上保安庁の航空機が中国海軍の艦船から『中国の領空を侵犯している』と警告を受け、空域からの退去を求められているのです

 中国は、今や、公然と、領海・領空主権を主張するようになっています。しかしながら、政府は、中国からわが国への領海侵犯警告があったことをひた隠しているとは、とんでもない所業と言わねばなりません。加藤勝信官房長官は、それなりに抗議しているとは述べていますが、隠していたのは事実。

 上に記したように、政府・与党の中枢がこのありさまとは、何とも情けない日本の現実と言わねばなりません。対中超弱腰の姿勢は、自民党および日本国政府リーダーの自立精神の弱さを如実に示しており、大きなアキレス腱でもあります。

 君、国を売り給ふことなかれ

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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コメント

米国大統領選を巡る動きの中で見えてきたものと、日本の状況が重なります。ディープステート(米国の沼、グローバリスト)と中国共産党が一体化して民主主義陣営(トランプ大統領再選)潰しに奔走する姿。既存大手メディアと大手IT企業(Face-Book、Twitter、Google)の明らかに一線を越えた閲覧・情報統制を通して彼らが共産主義に加担する姿を自ら白日の下に明らかになりました。しかし、多くの米国民がこの真実に覚醒した2021年。凄まじい正邪(民主主義対社会主義・共産主義)の戦い続くことになりました。国民一人一人が”政治家が自動的に国家・国民を守るはずだ”との共同幻想から覚醒して”独立不羈”の精神を取り戻すと覚悟すること。今後、次世代を含む数十年にわたる長く厳しい戦いが始まっていると体感しています。

投稿: 野中志郎 | 2021年1月 8日 (金) 12時26分

戦後でなく、戦前から日本は「政治屋・周旋屋・策謀家」入り乱れたチャイナとの外交に振り回されてきた。我が国でも源平の戦乱期から鎌倉幕府確立期および戦国後期から徳川幕府確立期は、軍事力による一戦で勝敗を決するよりも、裏側での策謀が事実上の勝敗を決める場面が多かった。小牧長久手の戦いの局地戦で勝った徳川家康が決戦の場に臨むことなく秀吉に従わされた出来事はその典型だろう。こうした謀略は漢民族が古代から得意とするものである。「人の良い日本人」「思いやりの日本文化」では「統治下の人民の命と引き換えに覇権を握るシナ文化」との謀略戦に勝つことはできない。与野党の政治家だけでなく経済界や新聞メディア、教育界、地方自治体にもくまなく中国政府の魔手がすでに入り込んでいる、と覚悟するのが政府や外務省の職員の常識でなければならない。すでに中国共産党政府が日本国内にディープ・ステイトを作り上げていると考えて対応すべきである。

投稿: 齋藤仁 | 2021年1月 8日 (金) 09時02分

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