SNSは第五の権力か…米国メディア界の闇を斬る!
773回目のブログです
“今日降りし 雪に競ひて 我が宿の 冬木の梅は 花咲きにけり”
大伴家持(奈良時代・万葉集)
今日降った雪に負けてはならじと、我が家の冬木の梅には、真っ白な花が見事に咲いているよ…。
枝の雪を、梅の花そのものと見て詠んだ歌ですが、何とも風情を感じさせる万葉の一首ではないでしょうか。今年は、年初から雪がちらついたり積もったり、これが大雪にならず、風情の範囲におさまることを望みたいものです。
さて、昨年は荒れに荒れた世の中、それもわが国だけではなく世界各国で生じたと言っても言い過ぎではありません。特に、アメリカ合衆国の実態は、想像を絶する事態を迎えているようで、今回の大統領選の中で暗躍したオールドメディアと異様な力を露見させたSNSについて考えてみます。
わたし達一般の日本人は、アメリカ合衆国は、自由、民主、公正、人権などで他を圧倒する位置にあり、いわゆる民主主義の総本山だという認識を持っていると思います。しかし、それが、事実に反しているのではないかとの疑念が色濃く現れたのがこの選挙戦であったことは疑いもありません。
まず、政党が自党のイデオロギーに基づいて政策を展開するのは当然のことですが、アメリカの既存メディアのほとんどが民主党を支持することを明言し、極端に偏った論を主張、その点においては、公平さは微塵もありませんでした。したがって自由な議論が展開されていないことを認識しなければなりません。その証拠を。
「2017年、民主党支持者のメディアへの信頼度が急に高まり、現在は76%だ。1997年の調査開始以降、ギャラップ社の政党別の数値としては最も高い。一方、共和党支持者のメディアへの信頼度は依然としてほかの政党の支持層をかなり下回り、わずか21%」(ギャラップ社レポート2018年10月12日)
「CNNとNBCはトランプに否定的なニュースと好意的なニュースの比率は13対1。CBSでは否定的なニュースは90%以上。ニューヨーク・タイムズは87%、ワシントンポストも83%、ウォールストリートジャーナルは70%。」「唯一FOXニュースだけが、否定的なニュースが52%で、好意的なニュースが48%だった」(ハーバード大学/ショレンスタイン・センター2017年5月18日)
もはやこれでは客観的で公平な報道をめざしているとは到底考えられず「ニュース」という名の「プロパガンダ」(政治的意図を持つ「宣伝」)を発信していると言わざるを得ません。
例えば、トランプ大統領は、ロシア疑惑(2016年の大統領選挙でトランプ陣営が、ロシアと共謀して選挙に勝つためにさまざまな工作をしたという疑い)でメディアから執拗に誹謗中傷され、挙句の果て、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストは、トランプの大統領選挙とロシアの関係についてのスクープによりピューリッツァー賞を受賞しているのです。
しかし、特別検察官の2年近くにわたる捜査で「疑惑」は払拭され、取りざたされた疑惑は今では民主党と反トランプ系メディアが連帯して報じ続けた「虚構」だったことが判明しています。
ところが、ニューヨーク・タイムズもワシントン・ポストも「違法性を決めるのは自分たちではない」と全く悪びれず、ピューリッツァー賞の返納さえしていません。フェイクニュース、捏造ニュースを何とも思わない厚顔無恥、…何とも、わが国の有力紙A新聞と酷似していますね。
民主党支持のメディアのなかで、中核は、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNN。歩調を合わせるのが、ニューズウィーク、タイム、そしてCBS、NBC、ABCという地上波TV三大ネットワーク、さらには有線ニューステレビのMSNBCなど。中立どちらかと言えば共和党支持がわずかにFOXニュースのみ。
ということは、トランプ氏は、対立候補バイデン氏、民主党、ばかりでなく、既存メディアも敵陣営ですから、大変なエネルギーを要したに違いありません。
ところが今回、トランプ大統領は、既存オールドメディアと全面戦争するとともに、何と、SNSとも対峙することになったのです。
SNSとは、ソーシャル・ネットワーキン・グサービス(Social Networking Service)の略で、登録された利用者同士が交流できるWebサイトの会員制サービスのことであり、巨大な会員数を誇るTwitter・Facebook・YouTube・InstagramやLINE・mixiなどを指します。
SNSの優れた特徴は、どんな立場(資産、地位、能力など)の人であっても、世界中のどのような人にも、自由に、相互発信することによって、コミュニケーションできることにあります。
4年前の米大統領選でトランプ氏は無名であったにもかかわらず、Twitterを駆使し、いままで見捨てられていた階層、分野の有権者にまで直接、自らの率直な言葉で語りかけることにより、あれよあれよという間に支持者を激増したと言われています。そして、陣営は、Facebookのターゲット広告機能を存分に利用し、大きな成果を得ました。そう見れば、SNSがトランプ大統領を誕生させたということもできるのではないでしょうか。
ところが、今回、トランプ大統領はSNSから執拗に足を引っ張られました。トランプ大統領誕生に危機感を持った民主党は、フェイスブックを最大限に活用したケンブリッジ・アナリティカとフェイスブックに対して集中砲火。フェイスブックのザッカーバーグCEOは何度も公聴会に呼ばれては締め上げられ、民主党支持者の多い社員からも突き上げられ、孤立無援となりついに屈服。2020年の大統領選挙では政治広告を禁止して、フェイク判定をすることに同意。「フェイク判定」とはわかりやすく言えば「検閲」であり、トランプ大統領の主張に制限をかけることと同意であることは明白です。
そして、ツイッターは、終盤にバイデン氏の息子および本人に政治生命を脅かす大スキャンダルが発覚するも、その記事をブロックし、バイデン氏を支えたのです。ということはトランプ再選の阻止に大いに貢献したことを意味します。
結論的に言えば、SNSは今回のアメリカ大統領選挙において、言論・情報を自在に操ることがはっきりしました。アメリカ合衆国が急速にいびつな国家、社会になってゆくような気がしてなりません。
現在、トランプ氏はイッター、フェイスブックのアカウントを剝奪(永久停止・凍結)され、情報発信ができない状態に置かれています。
ドイツとフランス政府は、トランプ米大統領のアカウントを米ソーシャルメディアのツイッターが「永久停止」し、フェイスブックも「凍結」する対応を取ったことを強く批判しています。また、独メルケル首相は、言論の自由を規定するルールは民間テクノロジー企業ではなく、立法府の議員が決めるべきだと主張しました。
当然の批判ですが、わが国ではメディアも政治家も、この問題をスルーしたままで、トランプOUT、バイデンOKとの軽い反応ですから情けない限り。
SNSは、本来、自由な言論の場(プラットフォーム)であるべきだと考えます。
一般に、「行政」「立法」「司法」を三権と呼び、「報道」を第四権力といいますが、アメリカの状況を見れば、「SNS」を第五の権力と言っても間違いはなさそうです。
かつて、18世紀イギリスの保守思想家エドモンド・バークは、社会勢力として、①国王(または聖職者)、②貴族、③市民、④新聞、と四つの階級を上げていますが、SNSが当時あれば、間違いなく⑤SNSとするのではないかと思います。
第五の権力SNSを「自由な言論プラットフォーム」として賢く位置付けることが大切ではないでしょうか。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
アメリカ大統領選の報道に関する最大の疑問は、選挙後、いくつかの州で公聴会が開かれ、不正投票に関する証言や投票集計機の検証等が行われていたにも拘らず、その問題をアメリカも日本も大手メディアが一切報道してこなかったことである。実在する選挙民による一人一票の票数が正確に集計されることで民主主義制における国民の代表者は確定する。現存の政府が認定した政党しか候補者を出せない・国民が勝手に立候補することは許されない・選挙民が特定の政党または候補者への投票を強制される等々の「偽の民主主義国」も数多あるが、アメリカは建国以来、自由と民主主義を国家の大義とし、世界にそれを誇ってきた。その国が、不正選挙を問題とする公聴会が行われていても、無関心を装い、「裁判所は不正選挙があったと認定していない」だから「不正選挙があったというのはトランプ陣営のデマ・捏造」とのみで、「ウォータゲート事件」や「ロシア疑惑」のように、「2020不正選挙疑惑」として大々的に追及する大手メディアは未だに存在しない。大手メディアやオバマ・ヒラリー・バイデンに代表される民主党に都合がよければ選挙の不正云々などどうでもいいというのであれば、それは習近平政権やプーチン政権と全く同じであり、それを民主主義と称するのは偽善でなく捏造であろう。トランプが勝とうとバイデンが勝とうと、そんなことはどうでもいい、それより「我が国アメリカに在って、大々的な不正選挙があったとしたら、それこそアメリカそのものの死に至る問題だ」と叫び行動する大手メディアのジャーナリストはアメリカに存在しない、それが一番のアメリカの危機ではないか。もちろんそんな疑惑をぬぐう力もせずに当選した大統領など世界もアメリカ国民も信頼しない、藁人形の大統領にしかなりえないだろう。(*日本のテレビ、新聞もアメリカ大統領選を画一的に報道してきた中で、1月14日に産経新聞紙上の阿比留瑠比記者の記事「アメリカ社会を分断するリベラルの偽善」は本物の記者の眼と良心を持っていると感じた。)
投稿: 齋藤仁 | 2021年1月15日 (金) 09時03分