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2021年1月29日 (金)

米国の「自由と民主主義」は死に向かうのか! 

 775回目のブログです

20211291

 “真木柱 たてしこころを うごかすな 世には嵐の ふきすさぶとも”
                (明治40年・明治天皇御製)

 真木柱を建てるように心の中に打ち立てた願いは決して動かしてはならない。たとえ、今は世の中に嵐が吹き荒んでいようとも…。

 真木柱とは神社の中心にある心の御柱であり、神が降りてくる依代となるものと言われています。そのように、心の中心に打ち立てた願いは決して動かしてはならないとの御諭しです。

 わたし達も、心の中に打ち立てた願いを持ち続けることが大切であることは理解しているつもりでも、なかなかその通りに行かないのではないかと恥じ入りますが、さはさりながら、その意思は強く持ちたいものです。

 このことは、一個人だけではなく、国家においても言えるのではないかと思います。今、アメリカ合衆国は荒れに荒れ、建国の精神である「自由」「民主主義」が揺らぎに揺らぎ、黄昏への道を歩んでいるのではないかと危惧されています。世の中に嵐が吹き荒れても、心の中心である建国の精神だけは動かしてはならないのではないでしょうか。

 1月15日の小ブログ「SNSは第5の権力か…米国メディア界の闇を斬る!」で述べたことをもう少し詳しく考えてみたいと思います。

 1月6日に生じた米議会襲撃事件は、アメリカの民主主義を脅かすものになりました。言うまでもなく、民主主義社会において暴力は許されるものではなく、ましてや議会襲撃は非難されるべきことと言えるでしょう。

 しかし、ここで疑問点。
 トランプ支持者の暴徒がなぜ易々と議会に乱入できたのか。厳重な警戒をすべきであったにもかかわらず、そうでなかった理由は何か。
 この暴動をトランプ大統領が煽ったとする検証は確かなのか。それは暴力を容認するものなのか。トランプ大統領の発言は次の通り。
     「私たちは今回の選挙で勝った、しかも大勝利を収めた」
     「私たちは決してあきらめない。決して敗北を認めない。」
     「死に物狂いで戦わなければ、もはや国を失ってしまう」
     「平和的かつ愛国的に、各自の意見を届けよう」
   「私たちは議事堂に向かう」
   「私たちは議事堂に向かって歩き勇敢な上院議員や下院議員に声援を送ろう」

 メディアや民主党および一部の共和党議員は、トランプ大統領の「私たちは議事堂に向かう」という発言を大統領が暴動を扇動したこととして捉え、一斉に非を鳴らしました。

 SNS(Social Networking Service)各社の対応をみてみましょう。(BBC Newsより)

 米ツイッター社はトランプ大統領の個人アカウントを永久凍結。理由は、トランプ氏が1月20日の「大統領就任式に欠席する」と述べたツイートが、支持者の式典攻撃を正当化する。また、連邦議会や州議会を襲撃する計画がツイッターで拡散している。ことなどを指摘しています。さらに、トランプ選対のアカウント「@teamtrump」、トランプ氏に忠実な支持者のマイケル・フリン元大統領補佐官およびシドニー・パウエル弁護士のアカウントも永久凍結されました。

 フェイスブック社は、トランプ氏のアカウントを「無期限に」凍結

 グーグル社は、トランプ支持者が活用するソーシャルメディア・プラットフォーム「Parler(パーラー)」をオンライン・アプリ・ストアで凍結

 アップル社も、危険で危害がなくなるようになるまでアプリ・ストアから「Parler(パーラー)」を削除するとしました。

 アマゾン社も、パーラー上に暴力を扇動して人を危険にさらす投稿が多数あるとし「AWS(アマゾン・ウエブホスティング・サービス)」からパーラーを削除

 ツイッチ(人気ゲームプラットフォーム)は、トランプ氏のチャンネル(支持者集会の放送で使用)を禁止スナップチャットも同様に禁止オンラインショップ・プラットフォーム「shopify」トランプ関連商品ショップを閉鎖オンライン掲示板「レディット」はトランプ氏支持者のフォーラムを閉鎖

 パーラー社は、2018年に創業した新しい掲示板型SNSで、投稿の規制を行わず、自由な投稿を奨励するスタンスを採っていますが、グーグル、アップル、アマゾンから関係を打ち切られ、大きく反発しています。

 要するに、SNSは、トランプ氏、およびトランプ陣営からの発信をほとんど不可能にしたことになります。強烈な「検閲」を実施したことに他なりません。

 SNSは今や、全国民に普及しており、社会インフラ(社会や生活を支える公共的な基盤や仕組み)としての立場を担っています。その観点から見れば、SNSの最大の課題は「検閲」ではないでしょうか。SNSの検閲問題は、大統領選の前から重要な課題としてありましたが、充分な議論にまで至っておらず、どうあるべきかを考えてみたいと思います。

【目指す国家社会像】

 「自由・民主主義」社会を目指すのか、「強権・独裁」社会を目指すのか、により検閲の内容、程度が大きく異なることは自明です。わたし達は、自由で民主的な社会を維持発展させていくことを前提にしたいと思います。

【検閲の範囲】

 ① SNSはプラットフォームなので、一切の検閲をすべきではない。
 ② SNSは「殺せ」とか「死ね」などの暴力的は発言、もしくは
   明らかに他人を侮辱する発言等は投稿チェックを行うべきである。
 ③ SNSはフェイクニュースも含めてもっと積極的に検閲し、
   投稿削除すべきである。
の3つの主張がありますが、自由・民主主義の社会を希求することを前提に考えれば、②
の極端な言動に限っての投稿チェックでよいと思います。

【検閲の主体】

 上の印にあるように、アメリカは民間企業が随意に検閲することになります。いわゆるGAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)などは巨大なインフラと巨額なMoneyを背景にした第5の権力と化したと言っても言い過ぎではありません。このままでは、国家の上に君臨する組織という意味においては、中国共産党と全く同じであり、異様、歪な形ではないでしょうか。

 ドイツのメルケル首相は、言論の自由を規定するルールは民間テクノロジー企業ではなく、立法府の議員が決めるべきだと鋭く主張しました。まさしくその通りだと思います。

 アメリカ社会の誇ってきた「自由」と「民主主義」が揺らいでいるのは今回の大統領選ではっきりしてきました。不正の有無、暴動、検閲…それは、自らが道徳的に壊れていきつつあるのか、他国の容喙を安易に受け入れ幅広く長期にわたり工作されてきたのが原因なのか、真実はわかりません。おそらく、その両方だと考えますが…。

 同じことは、わが日本でも見られることです。SNSもアメリカほどではないにしても、ある勢力にジワリジワリ浸食されつつあることに留意しなければなりません。自由な社会を維持発展させていくには、そのための不断の努力が求められるとともに、法制道徳の両方のバランスが大事であることを認識する必要があります。わたし達は、今一度、自由で民主的な国家社会が貴重なものであることを肝に銘じたいものです。

 米国の「自由と民主主義」は死に向かうのでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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コメント

民主化され国民が選挙で首班を選んでいるはずのロシアだが、プーチンが大統領職に就こうが就くまいが、重要な政策を決定しているのはプーチンを中心とした権力者集団であることを世界が知っている。同様に中国がいかなる選挙方法を採ろうが、国民多数の意志を反映した政権が誕生することがないことも世界は知っている。ロシアも中国も国内に重要な政策を決定する影の権力者とその取り巻きが存在する。一方、アメリカは一人一票の平等選挙を公明正大に行って多数決によって大統領を選び政権を担うクリアな民主国家だと思っていた・今も思っている人は世界に多いだろう。その国が選挙で選ばれた大統領の発言を在職中であっても封じる。時の権力に抗するその姿勢は見事、流石民主主義国と見えるが、大手メディアすべてが同じ行動をとるとなると、反トランプという利害で結ばれた影の組織が存在すると考えるのが自然だろう。世界覇権を狙う大国志向の国は莫大な利権と軍隊の維持が不可欠なため、表向きは民主国家であっても専制国家的特性を内在しているのではないか。GAFAに代表される民間企業による情報遮断は、プーチンや習近平の意向にそった人物だけが立候補できるロシアや中国の仕組みとどこが違うのか。フェイスブックなどの暴挙を糾弾しないアメリカの現状を不気味と感じない日本のメディアも怖い。

投稿: 齋藤仁 | 2021年1月29日 (金) 08時46分

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