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2021年2月 5日 (金)

「イノベーション」…今、日本に求められるもの! 

 776回目のブログです

2021251

 “春霞 たてるやいづこ みよしのの 吉野の山に 雪はふりつつ”
                    (詠み人知らず)

 もう春になったが、いったい春霞が立ち込めている所はどこにあるのだろうか。この吉野の里の吉野山には、まだ雪がちらほら降っていて、いっこうに春めいても来ないなあ…。

 今年は、124年ぶりに、2月2日が節分、2月3日が立春となりました。例年より、暦で言う立春が早くなるのですから、春本番も早めに到来し、でき得れば花見のころには、悪名高くわたし達を苦しめている「武漢新型コロナウイルス」が退散、終息してくれるのが望ましいのですが、なかなかそうはいきそうもありません。

 いわゆる新型コロナの蔓延により、国民の生活は苦しみのなかにあり、倒産・廃業・失業の増加、少子化の加速、医療崩壊、コロナ感染、社会生活の急変、将来設計への不安、などマイナス要素が大きくなるばかりです。

 このような時、私たちは今、何を強く意思すべきなのか、何を期待するのかに頭を巡らせてみれば、そのキーワードは「イノベーション」に行き着きます。イノベーションが強い時は活力のある時代であり、弱い時代は精彩のない時代であるといっても言い過ぎではありません。

 ここで、戦後の歴史の中で、産業界・経済界が官・学と相携えて創造力を発揮し、イノベーションの数々の成果を勝ち得てきたことを振り返ってみます。

 今、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、北里大学が開発したイベルメクチンという抗生物質が治療薬として注目を集めていることをご存じでしょうか。『イベルメクチン』は、日本の大村智博士が微生物から発見、抽出した物質をもとに、米国の製薬会社メルクによって開発された寄生虫駆除薬であり、寄生虫による感染症に劇的な効果を上げ、これらの病気に苦しむアフリカなど世界中の多くの国・地域の人々を救ってきています。

 北里大学大村智研究所感染制御研究センターによれば、令和3年(2021) の実用化を目指して治験を進めている最中とのこと。すでに海外からも治験データが報告されており、例えば、重症患者に限ってみても80.7%から38.8%に大幅に改善するなど、イベルメクチンの効果は明らか。

 しかも、イベルメクチン服用回数が少なくて済み副作用がほとんど見られず安価で入手できるという他の治療薬にはない利点もあります。そのこともまた世界の期待度、注目度が一層高まっている理由となっています。(1/26 MAG2NEWSより)

 ご存じのように、大村智博士は、平成27年(2015) 「線虫感染症の新しい治療法の発見」の貢献者として、ノーベル生理医学賞を授与されました。日本として、まことに誇らしいことです。

 ここで、イベルメクチンが『戦後日本のイノベーション100選』に選ばれていることに気づきました。

 公益社団法人発明協会は、平成26年に創立110周年を迎えたことを記念して、戦後日本の発展に大きく寄与したイノベーションを選定する事業を進めました。選定委員会委員長は一橋大学名誉教授・経営学者・野中郁次郎氏。発表は、平成28年(2016)6月15日。

【イノベーションの定義】
 「経済的な活動であって、その新たな創造によって、歴史的社会的に大きな変革をもたらし、その展開が国際的、或いはその可能性を有する事業。その対象は発明に限らず、ビジネスモデルやプロジェクトを含み、またその発明が外来のものであっても、日本で大きく発展したものも含む。」

 分かりやすいイノベーションの定義であり、イノベーションの特徴として、①創造性、②歴史的重要性、③国際性を重視しています。

 今、わが国は、世界第三位の経済規模、長寿世界一の社会にありますが、少子高齢化社会という “試練” の断崖に立っていることは衆目の一致するところでしょう。この社会現象に対応し、持続的な発展にまで持っていくには、何はともあれ、イノベーションなしには成り立ちません。

 その意味をもって、戦後日本のイノベーションを振り返ってみましょう。

【トップ10(年代順)】

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◎ 内視鏡

2021253
◎ インスタントラーメン

221254
◎ マンガ・アニメ

2021255
◎ 新幹線

2021256
◎ トヨタ生産方式

2021257
◎ ウォークマン®

221258
◎ ウォシュレット®

2021258
◎家庭用ゲーム機・同ソフト

2021259
◎ 発光ダイオード

20212510
◎ ハイブリッド車

【戦後復興期(年代順)】(1945~1954)

〇 魚群探知機           〇 溶接工法ブロック建造方式
〇 ビニロン            〇 フェライト
〇 ファスナー           〇 銑鋼一貫臨海製鉄所

【高度経済成長期(年代順)】(1955~1974)

〇 自動式電気炊飯器        〇 トランジスタラジオ
〇 コシヒカリ             〇 回転寿司
〇 公文式教育法                        〇 小型(軽)自動車
〇 スーパーカブ          〇 NC工作機械
〇 ヤマハ音楽教室                         〇 接ぎ木(野菜)
〇 座席予約システム                      〇 リンゴ「ふじ」
〇 人工皮革            〇 電子式卓上計算機
〇 電子レンジ           〇 自脱型コンバインと田植機
〇 積層セラミックコンデンサ    〇 カラオケ
〇 自動改札システム        〇 柔構造建築
〇 郵便物自動処理装置       〇 ヤクルト
〇 レトルト食品          〇 LNGの導入
〇 クオーツ腕時計         〇 ブラウン管テレビ
〇 脱硫・脱硝・集じん装置     〇 省エネ化
〇 電界放出形電子顕微鏡      〇 産業用ロボット
〇 CVCCエンジン        〇 コンビニエンスストア

【安定成長期】(1975~1990)

〇 オンラインセキュリティシステム
〇 電力用酸化亜鉛形ギャップレス避雷器
〇 炭素繊維・炭素繊維複合材
〇 移動電話(自動車電話、音声符号化等)
〇 高張力鋼            〇 家庭用ビデオ(カセット)
〇 宅急便             〇 三元触媒システム
〇 イメージセンサー(CCD・CMOS)
〇 日本語ワードプロセッサ     〇 全自動横編機
〇 フォトレジスト         〇 レーザープリンター
〇 G3ファクシミリ        〇 半導体露光装置(ステッパー)
〇 オーロラビジョン        〇 イベルメクチン
〇 インバーターエアコン      〇 カーナビゲーションシステム
〇 ATM               〇 CD・CD-R
〇 X線フィルムのデジタル化    〇 ネオジム磁石
〇 3.5インチフロッピーディスク   〇 直接衛星放送サービス
〇 家庭用カムコーダ          〇 UMAMI
〇 ラップトップ・ノートパソコン      〇 プレハブ住宅
〇 酵素入りコンパクト洗剤(アタック)
〇 光通信用半導体レーザ(DSMレーザ)
〇 光ファイバー製造法(VAD法)
〇 ポリエステル合成繊維(シルク調等)
〇 フラッシュメモリ         〇 薄型テレビ
〇 スタチン             〇 ハイビジョン放送
〇 IHクッキングヒーター        〇 中空糸

【現代まで】(1991~2000)

〇 液晶ディスプレイ         〇 リチウムイオン電池
〇 タクロリムス           〇 スーパーコンピュータ
〇 道の駅              〇 光触媒
〇 QRコード            〇 デジタルカメラ
〇 DVD              〇(第2世代の)シールド工法
〇 非接触IC カード技術
〇 拡印刷(PETボトル用無菌充填システム)
〇 ドネペジル塩酸塩         〇 高効率石炭火力発電
〇 長大橋建設技術          〇 太陽電池セル
〇 多機能携帯電話(i-mode、カメラ付きなど)
〇 携帯電話等デジタル情報暗号化技術 〇 リサイクル・リユース

 懐かしいものから現在に生々しているものまでのオンパレード。素晴らしいですね! 日本が、いかに多様性に富んでいるか、また、いかに独自の性格を発揮しているかが読み取れるのではないでしょうか。

 わが国は、近年、特に縮み志向となっているように思われますが、上掲のものを戦後創造してきたのであり、もっと自信をもっても良いと考えます。これだけ豊かな創造性を有している国が他国にそんなにあるとは思えません。

 選考委員長の野中名誉教授は、「ウォークマン」に代表される小型化能力、「新幹線」に代表される組織力、「トヨタ生産方式」に代表されるような現場力、さらには「省エネ化 」に代表されるような国民的団結力等々、…これらの能力は綿々と現代にも受け継がれてきている。そして、選ばれたものの多くが今なお進化の過程にあるとべています。

 本来ならば「iPS細胞」などは当然トップ10に選定されるものと思いますが、選定時は開発段階に当たっているため除外されたものです。

 また、野中教授は、21世紀になってからも「iPS細胞」のように未来への大きな希望を抱かせる発見や、「垂直磁気記録媒体」のように21世紀までに対象を広げれば確実に選定されたであろう発明も相次いでいると指摘しています。

 わたし達は、そんなに卑下する必要は全くありません。自らが持つイノベーションへの力を結集して、活力のある国家社会を目指そうではありませんか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

 

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