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2021年4月23日 (金)

『新疆ウイグル自治区』…人権か利益か、それが問題だ!

 787目のブログです

20214231

 “梅が香を さくらの花に 匂はせて 柳の枝に 咲かせてしがな”
               (中原致時・後拾遺和歌集)

 馥郁たる梅の香を華やかな櫻の花に匂はせて、しなやかな柳の枝に咲かせたいものだ…。

 梅の香り、桜の姿、柳の風情をからませた夢のような植物の優美さを詠ったものでしょう。

 後拾遺和歌集は白河天皇勅命の勅撰和歌集であり、承保2年(1075)奉勅~応徳3年(1086)完成。歌人としては、和泉式部、相模、赤染衛門、伊勢大輔など、宮廷で活躍した女流歌人が上位を占め、女流比率も3割という多さを誇っています。

 最近、ダイバーシティという言葉がマスコミを席巻し、いずれの分野においても女性比率が極めて低いと糾弾されています。しかし、わが国の歴史を振り返れば、少なくとも文藝の世界における女流作家の存在は世界に輝く存在として認められています。『万葉集』の額田王、『源氏物語』の紫式部、『枕草子』の清少納言、『古今和歌集』の小野小町、伊勢、『たけくらべ』の樋口一葉、『みだれ髪』の与謝野晶子…など綺羅星のごとく。

 欧米の観念的なカタカナ用語をギスギスと振り回すのではなく、長い歴史の中から行くべき道を模索するのが本道ではないかと思います。ガサツ過ぎる風潮から脱することが求められているのではないでしょうか。

 国際情勢は風雲急を告げています。米国バイデン大統領は大統領選後の最初の首脳会談の相手に、日本国の菅首相を選び、4月16日、日米首脳会談が行われ以下のことを確認しました。

  ① 台湾海峡の平和と安定の重要性を強調
  ② 日米安保条約5条を尖閣諸島へ適用することを再確認する
  ③ 半導体などのサプライチェーンで連携
  ④ 香港や新疆ウイグル自治区の人権状況への深刻な懸念共有
  ⑤ 脱炭素へ2030年までに確固たる態度を取る
  ⑥ 日本の今夏の五輪開催への努力を支持

 以上のうち、世界の関心を集めている「ウイグル問題」について考えて見ます。

 今、新疆ウイグル自治区では、ウイグル人女性への断種(強制不妊手術)が実施されるという実質的には「ジェノサイド」(民族絶滅政策)や、100万人という膨大なウイグル人が強制収容、強制労働させられている「人権弾圧」の実態が明らかになってきました。

 それに呼応して、欧米の各社は、「新疆綿」を使った衣料品の販売を中止する意向を続々と発表しています。

 一方、この弾圧を続けている人権問題は、わが国を代表する企業にも影響を及ぼしていますので見ていきましょう。

 ★良品企画(無印良品)

  「国際機関が発行するガイダンスにのっとり独立した監査機関に調査を依頼し、サプライチェーンに重大な問題点はなかった」として「『新疆綿』を使った衣料品の販売を続ける。」と強調。しかし、松崎暁社長は度重なる質問には一切答えず具体的な言及を避けました。

 ★ファーストリテイリング(ユニクロ)

  「人権問題というより政治問題であり、われわれは常に政治的に中立だ」と表明。しかも、柳井正会長・社長は、新疆産の綿を使っているかどうかについてさえもノーコメントとしたのです。

 ★三陽商会

  「複数のブランドで新疆産綿花の使用を確認した。企業の社会的責任の観点を踏まえ、不適切と判断した場合は代替素材を検討したい」大江伸治社長。

 ★カゴメ

  「中国の新疆ウイグル自治区で生産されたトマト加工品を製品に使うのを2021年中に止める。人権問題が判断材料のひとつになった。」

 「無印良品」の(株)良品企画、「ユニクロ」の(株)ファーストリテイリング。この2社の言い訳は苦しいですね。特に、ユニクロの柳井会長/社長の「ウイグル問題は、人権問題ではなく政治問題だ」との発言には、あまりにも非常識で首を傾げたくなります。「100万人を強制収容」「ウイグル人女性に不妊手術を強制」「親子を引き離し、子供にはウイグル語、イスラム教を禁止する」などの所業は、誰が見ても、人権弾圧であり、おぞましい悪魔の所業ではないのでしょうか。

 2社にとって悩ましいのは、記者発表の翌日の株価が、良品企画が7%安、ファーストリテイリングが3.3%安となったことです。

 「新疆産綿花をめぐっては、アパレル企業が少数民族の強制労働で恩恵を受けているとして国際的に批判が高まっているおり、ユニクロなどを展開するファーストリテイリングは、フランスのNGOなどから告発される事態に発展している。」と日経4/14が報じています。

 日本政府の姿勢も大問題ではないでしょうか。中国の人権弾圧に対し、対中制裁を行ったのは、G7(主要先進7ヶ国)のほとんどです。ごらんください。唯一中国の政治姿勢に迎合しているのが日本国、チャイナマネーが欲しくてたまらず、人権などあっちへ行け、ということなのでしょう。

      フランス  ◎
      アメリカ  ◎
      イギリス  ◎
      ドイツ   ◎
      日本    ✕
      イタリア  ◎
      カナダ   ◎

 これで良いのかどうか、言葉の意味を冷静に考えて見ましょう。

    人権 ― 道義・人間の尊厳
    利益 ― 経済・ゼニ

 人権や利益を、言葉を替えて “人間の尊厳” か “ゼニ” かと問われたならば、ほとんどの日本人は人間の尊厳と答えるはずです。そうであれば、企業の方向性について、考えを改めることも必要ではないでしょうか。今、企業の長期的な成長のためには「ESG」が示す観点が大切であるとの認識が世界に広まっています。

   環境   ・E(Environment)
   社会   ・S(Social)
   ガバナンス・G(Governance)…企業統治

 人間の尊厳を守ることは、E・S・Gのすべてに関わることでもあり、ひとつの基盤でもあります。改めて考えて見たいものです。

 このような時、4月6日「人権外交を超党派で考える議員連盟」が自民党から共産党までを含んだ国会議員によって設立されました。外国での人権侵害に関与した個人・団体に制裁を科す「人権侵害制裁法案」を今国会に議員立法で提出し、成立させることを目指すとしています。「人権外交」で動きの鈍い政府に国会が具体的な行動を迫ることを期待したいものです。(ただし、公明党<≒創価学会>は消極的参加のように見受けます)

 何はともあれ、中華人民共和国の人権弾圧、人間の尊厳の破壊、民族絶滅浄化には厳しく対処すべきではないかと考えます

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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コメント

経済誌等のマスメディア媒体でユニクロ(柳井会長)は、高く持て囃されてきました。そして今でも!実態は世界観⋅哲学を持たない、単なる銭もうけに奔走する空疎な企業(経営者)ですね。マスメディアは広告主でもあるユニクロを恐れて表層的な礼賛評価(提灯記事)。ユニクロ(柳井会長)とお仲間のマスメディア両方の見識が"問われて"いますね。

投稿: 野中志郎 | 2021年4月25日 (日) 16時46分

アジアの大国インドはすでにイギリスの植民地に堕し、清国もアヘン戦争、そんな状況下の日本にペリー艦隊が号砲を鳴らしてやってきた。国家・国民が生き残るために攘夷を叫び、挫折して後は欧米の国力の源が西洋合理主義に発する科学にあると理解した。そこで従来の文化を捨てチョンマゲを切って欧化政策を急ぎ、東アジア諸国一致して欧米の帝国主義に立ち向かわんとした。しかし、旧体制の思想に染まった清国は辮髪を替えず、朝鮮は相変わらずその清国に服していた。明治日本は黄色い肌に白い羽をつけて、欧米の白鳥の世界に飛び込んだ。明治維新のこの時、私たちの祖先は日本史上に何度かしか訪れたことのない一大決断をしたのである。大きな白鳥(ロシア)も倒し、第一次世界大戦で英米側に与したことで、白鳥世界の会員(国際連盟)に加入できた。しかし、本物の白鳥は日本を蔑視し怨嗟していた。国際連盟で人種差別撤廃を求めた日本の提案を一蹴したのは人権大国を声高に叫んでいたアメリカのウィルソンだった。大東亜戦争は白鳥世界による黄色い肌の鳥への見せしめである。F・ルーズベルトが終戦間際にソ連ロシアの参戦を認め、樺太や北方領土の占有を認めたのも、トルーマンが無用の原爆投下を決したのも「異端の存在・黄色い日本」だったからである。
更に悲劇なのは、中華民国も中共も、朝鮮・韓国も敗戦国日本を蔑視・敵視してきたことである。しかし、明治の日本が生き残る術は他になかった。辮髪をした黄色人種のままであったら明治日本は植民地になっていた。終戦から70余年が過ぎ、今度は日本の西に巨大な一党独裁の専制国家が最新の科学技術を手に現れた。二度日本に襲来したモンゴル大帝国を想起させる。ただ、東にはもう一つ白鳥の大帝国アメリカがある。こちらはかつての白鳥世界のリーダーだったイギリスやフランスも仲間として存在する。「どっちつかず」の国策はいずれの陣営からも仲間はじきにされるのはヤクザ世界でも同じだ。普通の人間は「利」を取るが、日本文化は「義」を取ることで南蛮到来の昔から欧米の尊敬を得てきた。すでにかつての女真族(満州人)は漢民族に同化され、チベット人もモンゴル人も危機に瀕し、ウィグル人が今悲惨な状態にある。それは明治の日本にあり得たかもしれないし、半世紀後の日本の姿かもしれない。フランスから嘲笑された「エコノミックアニマル」を未だに家宝とする日本企業は本社を中国に移すべきだ。餓死に瀕しても異形の独裁者の腐肉など食べないのが日本男児である。

投稿: 齋藤仁 | 2021年4月23日 (金) 09時05分

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