台湾・尖閣・沖縄…有事・日本の覚悟は!
785目のブログです
“敷島の 大和心を 人問はば 朝日ににほふ 山ざくら花”
本居宣長(江戸時代・国学者)
大和心はどういうものか、と人が問うたならば、朝の太陽に照り映えている山桜の花と答えましょう…。
わたし達がよく目にする桜は染井吉野という種類で明治になってから広まったものです。山桜は、花と葉が一緒に出るという特徴があり、自然界にあって直らかに咲いている山桜の花が清らかな朝日に照り映える姿は、日本の心ともいうべき「すなお」や「清らかさ」に通じるものと本居宣長は考えたのでしょう。
今年の花見は、ソメイヨシノでしたが、京都の高瀬川沿いと大阪万博公園の2カ所、いずれも満開であり、それなりに堪能しました。来年は、日本古来の「シロヤマザクラ」を中心に約3万本という桜の木を誇る、奈良・吉野山の絶景「一目千本」を見に行きたいと思っています。
桜と言えば花見、花見と言えば穏やかな平和ムード一色。在原業平が “世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし” と詠んだように、世の中は気もそぞろ、桜の花にもっぱら気を取られている人々ばかりのように思えます。
しかしながら、ひとたび目を外に向ければ大変な事態が進行していることに気づくのではないでしょうか。それは、中国のあらゆる方面への浸透と力の誇示、東シナ海のきな臭い有事も予想されることです。見ていきましょう。
・防衛省は3月4日、中国海軍の空母「遼寧」やミサイル駆逐艦など6隻が沖縄本島と宮古島の間を南下したのを確認したと発表しました。(時事通信)
今や、堂々と遊弋する中国海軍、日本も、もう覚悟を決めた防備に全力を傾けることが肝要な時を迎えたのではないでしょうか。
・中国が軍事力と経済力を背景に着々と勢力圏を拡大させている現実。(MAG2NEWS島田久仁彦氏論稿より)
・イラン、サウジアラビア王国、アラブ首長国連邦、そしてイスラエル
など、米バイデン政権の姿勢に危機感を抱いている中東諸国。
・一帯一路や新型コロナウイルス感染症に縛られる形で、半強制的に
中国への“従属”を求められるアフリカ諸国(特に東アフリカ諸国)。
・圧倒的な軍事力と経済力、そして否定できないレベルまで高まった
中国への依存度によって牙を抜かれたASEAN諸国
・脅威を抱きつつも、中国なしでは大国から転落しかねないロシア。
加えて、四面楚歌とまで言われるトルコ。
脱炭素が世界的に進む中、石油(化石燃料)ベースの経済に立脚する中東諸国と長期契約による資源輸入を通じて中国への支持を取り付けていることなど、経済と軍事を絡ませた世界覇権への野望には注意が必要です。
ワクチンも、中国にとっては軍事物質、武器でもあり、あのフィリピン・ドゥテルテ大統領も中国の軍門下に落ちています。
・中国は、2月25日、台湾のパイナップルから害虫が検出されたとして、3月1日からの「台湾産の輸入禁止」を通告。
中国の習近平総書記は、台湾に「一つの中国」を呼びかけていますが、台湾の蔡英文総統は拒絶しています。現在、対話は途絶えており、中国軍機による台湾の防空識別圏侵入が連日のように行われ、一方、蔡英文総統は米国との安全保障などでの関係強化を図り、米国バイデン大統領も台湾を後押ししているなど、中国と台湾は緊迫した状況にあると言えるでしょう。
それにしても、中国(中華人民共和国)は大人げない。自国のやり方に異を唱えれば、脅迫とともに、即時「輸入禁止」とは、中華帝国の名前が泣きます。大国としての風格を微塵も感ずることができないのはひとり私だけでしょうか。最近の事例を見てみましょう、まるで子供じみており哀れを感じます。
・ノルウェー(サーモンを輸入禁止)
ノーベル平和賞を人権活動家・劉暁波に与えたことへの報復
・フィリピン(バナナを輸入禁止)
南シナ海の南沙諸島領有権で対立したことへの報復
・オーストラリア(牛肉やワインを輸入禁止)
新型コロナウイルスに関して中国を批判したことへの報復
・台湾(パイナップルを輸入禁止)
中共の政治体制「一つの中国」を認めないことへの報復
さはさりながら、台湾有事は目前。アメリカのペンタゴンおよびインド太平洋軍の最新の分析によると、6年以内に中国が台湾(本島から1,500キロ離れた、台湾が領有を主張する島も含む)を攻撃し、アメリカを含む同盟国はそれに対抗しなくてはならないとの見通しがあるとのことです。
米中の覇権争い激突、待ったなし。アメリカとの最も強い同盟関係を自負する日本は、台湾有事を、空想ではなく、現実に起きうる事態と想定して具体的な対応を迅速に決めておかねばならないと識者は指摘しています。
日本は正真正銘の独立国家としての立ち位置を明確にしなければなりません。
・基本的価値観を共有する米国と共同戦線を張るのか。
・経済市場重視で中国(中共)陣営に与するのか
・(あるいは、その他の道を歩むのか)
平和を唱えるだけの、夢ゴッコの時代は去りました。ワシントンで行われるであろう4月16日予定の日米首脳会談において、菅義偉内閣総理大臣は、厳しい選択と決断を求められると思います。
政権与党の自民党には、二階幹事長を筆頭に親中・媚中派の国会議員がそれなりに存在しますが、党名は「自由民主党」であり、自民党員は、文字通り「自由」と「民主」を、確信をもって主義として貫かねばなりません。
そのように考えれば、日米首脳会談において、菅総理には、独裁・強権・人権弾圧に与するのではなく、自由・民主主義・法の支配に同調することを決断し、内外に強くアピールしてほしいと望みます。覚悟の時が待っているのではないでしょうか。
日米首脳会談の成功を祈ります。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
中国をここまで大国化させた最大の要因は欧米及び日本のチャイナ幻想だろう。欧米人は、古代ローマ帝国に精神的郷愁を抱いてきたように古来からチャイナという東洋の大国に異文化の世界の象徴として幻想を抱いてきた。近世に直接、その異文化の国と交流して初めて「異様さ」を感じ、それがチャイナ特有の専制主義社会の悪弊だと悟った。阿片戦争やアロー号事件は西洋の理性とチャイナエゴの衝突の結果ともいえる。チャイナの独善主義を最終的に破壊したのは義和団事件だが、凝り固まった中華独善主義はチャイナの指導者層だけでなく庶民までに及んでいた。魯迅ら中国内部の識者はそれを嘆いたが、欧米の人々は「古代からのアジアの大国」というイメージと「規範意識が欠如した貧民の群れ」という現実に失望した結果、蔑みと同情という相反する感情を中国人に抱くようになった。アメリカに流入した中国人を人夫や小間使いなど奴隷並みに扱いながら、他方で「衰退した現状のチャイナ」に同情した。それが20世紀前半の欧米人の中国観である。その中国に日本が関与し、さらに欧米社会の一員であるロシアを破ったことで、欧米人の対中贖罪意識を対日敵愾心に変えた。欧米社会が蚕食してきた中国に日本が進出したことによって日本が中国をイジメているという意識転換を行って自分たちの精神内部を浄化したのである。この欧米人の対中二重構造の意識は、わが国の人々にも別のかたちで存在する。その陥穽にF・ルーズベルトもオバマも落ちた。しかし日本にはもっと多くの政治家や実業家が同じ穴に今も落ちたままである。笑うべし。
投稿: 齋藤仁 | 2021年4月 9日 (金) 09時10分