「尖閣異聞」… 政府は領土を守る気はあるのか!
790回目のブログです
“異船の よし寄せるとも 君がため 真先に捨てん わが命がも”
松平春嶽(福井藩主・文政11~明治23)
外国船がもし押し寄せたとしても、天皇のため真っ先に自分の命を捨てたいものだ…。
幕末、わが国が外国からの脅威にさらされていたことは紛れもない事実であり、それに対処するに覚悟を持った傑物が明治維新を成し遂げたものと考えられます。翻って今日、わが国のリーダーが、国を護り発展させていくに当たっての覚悟を持っているのかどうか、些か疑問に思えてなりません。
今、尖閣諸島が風前の灯になりかけていることは、周知のことですが、政府がどのような判断を下しているのか、考えて見たいと思います。
・中国公船(軍船)が連日にわたって尖閣諸島の接続水域に入域していることを確認しましょう。(12年前には、年間ゼロ隻でした!)
接続水域入域 内領海侵入
令和3年 (2021)1月 92(隻) 6(隻)
〃 2月 96 14
〃 3月 112 6
〃 4月 106 10
・中国(中華人民共和国)は、2月1日『海警法』を施行しました。「国家の主権、及び管轄権が不法に侵害され、または不法に侵害される危険が差し迫っている時は、その侵害を停止し、危険を除去するために、武器の使用を含むあらゆる必要な措置を講ずる権利を有する」とあり、海警局に武器使用を認めたことが注目されています。
日本政府やメディアは、武器使用にのみ目を向けていますが、香田元自衛艦隊司令官(海将)は、海警法の本質は、海警局の船が「国家の意思にもとづいて、中国が領土と主張する尖閣諸島を奪取する」行動を取る可能性が高まったことだと喝破しています。
海警局は「第2海軍」と言われていますが、名称は変わらず、海上法執行機関の「建前」を維持しているのです。その理由は、海警局の動きに対して海上自衛隊が出動すれば、日本が『軍』を動員し事態をエスカレートさせたと国際社会に主張できるためだそうです。いやはや、まことに用意周到な中国の三戦(世論戦・心理戦・法律戦)のひとつ「法律戦」を駆使した尖閣侵略への戦術と言えます。
海警局は世界最大の沿岸警備組織であり、1万トン級の船舶が配備され、さらに一段と増強される見込みです。
・中国の世論戦は巧妙と言わねばなりません。左翼系学者文化人らの「琉球民族独立総合研究学会」(宜野湾市)や元大物軍人らの「中国戦略・管理研究会」(北京市)への中国政府の支援です。例えば平成28年(2016)、両研究会の合同会議として「第2回琉球・沖縄先端問題国際学術会議」が、日本の沖縄をテーマに、那覇でもなく、東京でもなく、何と、中国の北京で開催されたのです。沖縄の独立問題、米軍基地問題などをめぐって議論されたと言います。
中国政府と軍による “沖縄分断工作” は、今や、大っぴらに、堂々と行われていることを認識しなければなりません。中国は、尖閣の侵略は入り口で、沖縄までも狙っていると考えるべきではないでしょうか。
・中国政府は、沖縄県の尖閣諸島について、最新の衛星画像などに基づいて作成したとする地形図9枚をホームページ上で公表。地形図には、島にある丘陵の標高などのデータとともに中国側が主張する地名が記入。基礎的な地理データを整備するとともに、島の資源管理と生態環境の保護にとって重要な意義があるとしています。
中国の打つ手は先手々々、ものは言いよう。これに対して外務省は中国政府に一応抗議しました。
ここからが、国内の動きです。
・石垣市では昨年6月に市議会が市の行政区域に含まれる尖閣諸島の住所地の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更するよう求める議案を賛成多数で可決。
字名の変更は行政手続きの効率化が目的。現在の尖閣諸島の住所は「石垣市字登野城」の2390~2394番地だが、石垣島の市街地の一部なども同じ「登野城」の字名であるため、混同されることがあり、「尖閣」を明記することで、事務的なミスを防ぐ狙いがあるといいます。
市は昨年10月に字名を変更し、行政標識の設置を検討していました。
■ 加藤官房長官、尖閣に行政標識設置「政府関係者以外の上陸認めず」
加藤勝信官房長官は15日の記者会見で、沖縄県石垣市が尖閣諸島(同市)に字名「登野城尖閣」を示す行政標識を設置する動きをみせていることについて「政府としては尖閣諸島および周辺海域の安定的な維持、管理という目的のため、原則として政府関係者を除き何人も尖閣諸島への上陸は認めないとの方針をとっている」と述べた。
(2021/3/15 産経新聞一部抜粋)
・近年、中国が本格的に尖閣諸島・琉球・沖縄の略取を狙い、三戦を駆使し、着々と事を進めてきていることは、上記の中国の動きを見れば明々白々ではないでしょうか。それに対して、政府が真に危機感を持っているかと言えば何とも心もとない感を禁じえません。
おそらく、政府は「中国を刺激してはならない」「すべてを穏便にして済まそう」「中国と対立してはゼニが儲からない」ということによって、日本国民や関連自治体の上陸を禁ずるという、権利の侵害、自由の弾圧に強権を発揮しているものと判断します。石垣市の行政標識の設置さえ認めないという、それも潜在敵国であろう中国への卑屈な忖度によっての政府の圧力を見れば、真に尖閣・沖縄を護る意思があるのかどうか、極めて疑わしいと言わねばなりません。
・3/16の日米首脳会談において、米国バイデン大統領が安保条約第5条のもとで尖閣諸島を守ることを確認すると日本菅総理大臣は深く安堵、大喜びしました。しかし、ちょっと待って欲しい。尖閣は日本が守るべきものではないのでしょうか。アメリカに守ってもらうのではなく、アメリカ大統領の言葉に100%頼る姿勢には何とも不可解かつ不快な思いがしてなりません。
・日本政府には尖閣を守る気概があるのでしょうか。国家は、国民と領域と主権で構成されています。国民とはわたし達の生命のこと、領域(領土・領海・領空)とはわたし達の生存地、主権とは日本の精神・魂。 今、求められているのは “日本の精神” を発揮することであり、その気概なきリーダーには去ってもらいたいと思う所でもあります。
・それにつけても北朝鮮の拉致被害者のことが浮かびます。国会議員の中で「青いバッジ」をつけている政治家を見ますが、それは、誠心誠意、救出を目指しているのか、単なるやってます感のポーズなのか、もしも後者ならば “偽善” の最たるものと言わざるを得ません。
尖閣諸島問題も同じこと、中国の戦術戦略に翻弄されては拉致問題の二の舞となること必定ではないでしょうか。勝負は勝たなければならず、勝つための覚悟を決めた対処こそ望まれていると考えます。
みなさんは、尖閣諸島に『登野城尖閣』という行政標識を設置することに、賛成ですか、反対ですか。
どのようにお考えでしょうか。
(※ 来週は、所用につきブログ投稿を休みます)
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
石垣市が「登野城尖閣」の地名地番に基づいて、尖閣諸島に地名標識を立てることは行政上全く問題ない。ただアメリカが民主党政権になっても、クリントン・オバマ政権時のような親中あるいは容中外交には戻らないことを、中共政府も認識しているだろう。もとはと言えば問題を深刻化させた張本人は毛沢東から習近平に至る中国共産党の専制国家+帝国主義+一党独裁体制による国権膨張政策にある。中国市場とアメリカ市場の連携による市場広域化は米中両国を利したが、それが結果として両国民の平和と繁栄をもたらすものでなく、中共政府の「人民監視」「自由剝奪」体制を是認し、かつ世界にその体制を広げることに利するだけだと、アメリカの民主党支持者もわかってきた。それはアメリカ国民を唯一まとめている「自由の国」の「自由」と完全に対立する体制であり、アメリカ国民の多数は確実に反中・嫌中になっている。しかし、習近平としても人民軍としてもかつてないほどの国力と軍事力を手にした以上、日本や台湾、フィリピン、ベトナム程度の国に対してまで、「振り上げた手を下ろして握手する」ような屈辱的な譲歩はできないだろう。即ち、中共政府も人民軍も東アジアで何らかの軍事的衝突を起こして「やればできる」「アメリカなど何するものぞ」という虚勢を国の内外に見せる機会を狙っているだろう。尖閣で事を起こしたい中国にその口実を与えることなく、または事を起こすなら起こして見ろ、という日本側の準備をしたうえで尖閣に新地番の標識を立てるべきである。
投稿: 齋藤仁 | 2021年5月14日 (金) 08時48分
菅政権は脳死&迷走状態ですね。"劣化"が止まりません。加藤某など子供時代に殴りあいの喧嘩を一度も経験したことの無さそうな"頭でっかち"閣僚と 官僚による空疎な自己保身発言。"国益"のような抽象度の高い認知能力は加藤某や菅首相に期待出来ません。政府や自民党に対する"保守"幻想が過去30年以上に渡り劣化し続けている残念な事実は誰の目にも明らかです。大義⋅理念無き彼らに尖閣列島の安全保障など全く期待出来ませんね。
投稿: 野中志郎 | 2021年5月14日 (金) 07時15分