「日本の抒情歌」… ニニ・ロッソを聴く!
791回目のブログです
【五月来ぬ】 ハインリヒ・ハイネ(訳:片山敏彦)
五月来ぬ、
樹も草も花咲きぬ、
大空の青さの中を
ばら色の雲は過ぎゆく。
葉の繁る梢より
うぐいすの歌きこゆ。
白き毛の仔ひつじら、やわらかき
クローバの緑濃き中を飛ぶ。
われ歌い得ず飛びも得ず
嘆きつつ草に臥す。
ものの音を遥かに聴きて
定めなく思いにふける
近畿地方は梅雨も本格化、しばらくの間しとしと雨が続いてくれれば、湿度の関係上、猖獗を極めている新型コロナの禍も多少は落ち着くかも知れません。はやく平穏な世の中になってほしいと願うところ大なるものがあります。
平穏と言えば熟睡。寝つきの良い時はあくる日の一日が気分スッキリと過ごすことが出来、気力も充実、まさしく “平穏” そのものですが、そうでない時、なかなか寝付かれない時のあくる日は、何となくぼんやりして気合が入りません。
特に、仕事や旅行や帰省での外泊、いわゆる枕がかわったときはなかなか寝付かれない時があります。その時の対処に、わたしは寝る前ベッドの上で、トランペットの詩人と言われるニニ・ロッソの『日本の抒情歌』を聴きます。そうすれば不思議に心が落ち着き、深い眠りに誘われるのです。
抒情と言えば “懐かしさ” …これは人間が持っている特質と言われます。したがって、郷愁や哀愁、懐かしさを表現した抒情歌は、わたし達聴く人の琴線に触れるからでしょうか、自然に心の奥底に響きます。
加えて、個人的なことですが、わたしは、広島県の田舎の中学校ではクラブ活動として音楽部(吹奏楽・ブラスバンド)に入りクラリネットを担当。熱血漢の先生の指導が素晴らしく、超田舎の学校でありながら関西吹奏楽コンクールで入賞、また、広島市のラジオ中国やNHK尾道に出演など、今では懐かしい思い出となっているからでしょうか、ブラスバンドには特に肌が合うのかもしれません。
ニニ・ロッソ(1926~1994)は、イタリアの有名なジャズトランペッター。その柔らかく甘く繊細に奏でられる音色には、これがトランペットかと思う程の素晴らしさを感じさせます。まさに、日本の抒情曲にはピッタリであり、お薦めは下記のCDです。(因みに、わたしは全曲を「iPod」(4㎝×4㎝ 携帯型デジタル音楽プレイヤー)に入れ、いつでも、どこでも聴けるようにしています)
【日本の名曲ベスト】ニニ・ロッソ(ビクターエンターテインメント)
『Disc 1』
「雪の降る街を」 作詞:内村直也 作曲:中田喜直
「北帰行」 作詞/作曲:宇田 博
「北上夜曲」 作詞:菊地 規 作曲:安藤睦夫
「城ヶ島の雨」 作詞:北原白秋 作曲:山田耕筰
「五ツ木の子守歌」 熊本県民謡
「浜辺の歌」 詩:林古渓 曲:成田為三
「忘れな草をあなたに」作詞:木下龍太郎 作曲:江口浩司
「島原地方の子守唄」 作詞/作曲:宮崎一章(康平)
「竹田の子守唄」 日本民謡
「さくら貝の歌」 作詞:土屋花情 作曲:八洲秀章
「中国地方の子守唄」 日本古謡 編作曲:山田耕筰
「知床旅情」 作詞/作曲:森繁久弥
「空に星があるように」作詞/作曲:荒木一郎
「若者たち」 作詞:藤田敏雄 作曲:佐藤 勝
「遠くへ行きたい」 作詞:永 六輔 作曲:中村八大
『Disc 2』
「真白き富士の嶺」 作詞:三角錫子 原曲:アメリカの讃美歌
「琵琶湖周航の歌」 作詞:小口太郎 原曲:吉田千秋
「同期の桜」 作詞:西條八十 作曲:大村能章
「紅萌ゆる丘の花」 作詞/作曲:沢村専太郎
「嗚呼玉杯に花うけて」作詞:矢野勘治 作曲:楠 正一
「ラバウル小唄」 作詞:若杉雄三郎 作曲:島口駒夫
「人を恋ふる歌」 作詞:与謝野鉄幹 作曲:不詳
「船頭小唄」 作詞:野口雨情 作曲:中山晋平
「君恋し」 作詞:時雨音羽 作曲:佐々紅華
「ゴンドラの唄」 作詞:吉井 勇 作曲:中山晋平
「惜別の歌」 作詞:島崎藤村 作曲:藤江英輔
「夢は夜ひらく」 作詞:中村泰士・富田清吾 作曲:曽根幸明
「出船」 作詞:勝田香月 作曲:杉山長谷夫
「宵待草」 作詞:竹久夢二 作曲:多 忠亮
「海行かば」 作詞:大伴家持(万葉集) 作曲:信時 潔
バックには、オーケストラ、混声合唱、弦楽合奏などをそれぞれの歌に配置してありますので、流麗、繊細、柔らかで、伸び伸びとしたニニ・ロッソのトランペットの魅力を一層引き立てています。
世界的なジャズトランペッターであるニニ・ロッソの「日本の名曲ベスト」30曲には、民謡、唱歌、寮歌、バラード、国民歌など、ポピュラーな歌が幅広く収められており、どの歌を聴いても充分に楽しめるものです。
陰鬱な世相、ギスギスした世の中、こういう時代こそ抒情歌に心を寄せることもいいのではないでしょうか。ニニ・ロッソがトランペットで奏でる日本の抒情歌を聴かれることをお薦めします。
次回は
時事エッセー
です。
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