「世界で最も住みやすい都市」… 大阪が2位!
794回目のブログです
【太田道灌借蓑図】(太田道灌 蓑を借るの図)大槻磐渓作
孤鞍衝雨叩茅茨(こあん雨をついて ぼうしを叩く)
少女爲遺花一枝(少女ためにおくる 花いつし)
少女不言花不語(少女は言はず 花語らず)
英雄心緒亂如絲(英雄の心緒乱れて 糸の如し)
たった一人馬に乗ってにわか雨の中を進んでいくと茅葺屋根の小屋があったので、門を叩いた。出てきた少女は蓑を貸してくれず、花を一枝差し出した。少女は何も言わない。花は何も語らない。英雄の心のうちは糸のように乱れた…。
太田道潅 (室町時代の武将) が鷹狩りの途中に突然の雨に逢い、山の中のある民家に駆け込みますが、見ればそれはとても貧しい民家でした。
「雨除けのために蓑を貸していただきたい」と民家の中に声を掛けると、奥から少女が出てきて「山吹の花」を一輪、無言で差し出したそうです。馬鹿にされたと思った太田道潅 は「蓑が欲しいのであって、花が欲しいのではない!」と吐き捨てて、雨に打たれながら怒って帰りました。
その日の夜、貧しい民家で起こった出来事を老臣に話すと、その老臣は、後拾遺和歌集に収録されている兼明親王 (醍醐天皇の皇子) の和歌『七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだに無きぞかなしき』から、「実のひとつ」と「蓑ひとつ」を掛けたのではないか…と諭したのです。
この歌を知らなかった太田道潅は、自分の無学を恥じて、この日より歌道に精進し、一流の武将として活躍、江戸城を築城した人でもあります。
今の季節、しとしと降る雨に打たれようとする時には、詩吟としても有名な七言絶句『太田道灌借蓑図』の漢詩と兼明親王の和歌『七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだに無きぞかなしき』、そして、これらに関わる印象的な逸話を思い出すにつけ、気分が和らいで来るのを覚えるのです。
さて、梅雨の鬱陶しい季節ではありますが、見方を変えれば、その雨のお陰で湿度が高くなり、いわゆる新型コロナウイルスの猖獗も幾分弱まってきていることは歓迎すべきことのように思えます。
そして先日、何と、大阪が「世界で最も住みやすい都市」の第2位にランクされたことに驚きました。
この調査は、英誌エコノミスト誌の調査部門であるエノコミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が世界140都市を対象に、以下の5項目で評価しているもの。
① 安全性
② 医療
③ 文化・環境
④ 教育
⑤ インフラ
今年は、新型ウイルスのパンデミックが結果を大きく左右。ヨーロッパの都市が順位を落とし、オーストラリア、日本、ニュージーランドの街が評価を上げています。
1位はオークランド(ニュージーランド)、新型コロナウイルスのパンデミックをうまく抑制し、社会を機能させ続けたことが高く評価されたものです。
都市が高評価を受けたオーストラリア、日本、ニュージーランドはいずれも島国で、感染の流行に素早く対応、感染者を比較的少なく抑えるとともに、社会的な制限を緩和できたことが評価。
一方、欧州連合(EU)の国々は、ワクチン接種が当初うまく進まず、多くで厳しいロックダウンが実施され、都市活動が制限、昨年1位だったウィーン(オーストリア)が12位に順位を下げています。
【世界で最も住みやすい都市】(2021年・ベストテン)
1位 オークランド(ニュージーランド)
2位 大阪 (日本)
3位 アデレード (オーストラリア)
4位 ウェリントン(ニュージーランド)
5位 東京 (日本)
6位 パース (オーストラリア)
7位 チューリヒ (スイス)
8位 ジュネーヴ (スイス)
9位 メルボルン (オーストラリア)
10位 ブリスベン (オーストラリア)
<英国・EIUの調査>
日本の大都市は、海外と比較すると住居が狭かったり、公共交通機関が混雑しやすかったりするため、住みにくいといわれることがよくあり、特に大阪はごちゃごちゃしている印象があり、「住みやすさ」という点で大阪が評価されたことに意外性を感じざるを得ませんでした。
しかし、よくよく見てみれば、御堂筋は世界的にも優れた街路、中之島の風景はフランス・パリのセーヌ川のそれに勝るとも劣らず、世界的人気のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)、人懐っこい大阪人、がやがやと威勢の良い街、ボケとツッコミとウイットに富んだ感性、などなど色々な特徴が輝いていることに気づきます。
また、同じEIUの調査『世界の都市安全性指数ランキング』(2019年)では東京が1位、大阪が3位という素晴らしい評価となっています。
わたしは大阪府に住んでいるのですが、大阪市の玄関・梅田までは電車で10分ですから、府でも市でも一緒の感覚です。わたしでさえ、今までは多少大阪を卑下していた感がなきにしもあらずですが、各種の大阪の世界ランキングが高位にあることに自信を持ち、もう、自虐思想は、きっぱりと払い除けたいと思います。
また、いわゆるメディアの東京目線の偏向には、これも、きっちりと物申す姿勢を持たねばならないと思っています。
大阪の発展と繁栄に期待するとともに、お互いが力を尽くしていきたいものです。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
| 固定リンク
コメント