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2021年6月 4日 (金)

ユニクロの横暴…下請けの特許“盗用”で敗訴!

 792回目のブログです

2021641

 “野に山に よしや飢ゆとも 蘆鶴の 群れおる鶏の なかにや入らん”
                 高橋泥舟(幕末~明治 幕臣)

 もし野や山で飢えることがあっても、鶴である自分は群れて飼われている鶏のなかには入らぬ…。

 高橋泥舟は、槍術に長じ技神に入るとまで称され、講武所師範役なり、鳥羽伏見戦後は幕臣に恭順を説き、前将軍・徳川慶喜が水戸へ下る際には遊撃隊を率いて警護にあたる。

 泥舟は、勝海舟、山岡鉄舟とともに「幕末三舟」の一人に数えられ、上掲の和歌には、自分は金も名誉も欲せず、野に住む鶴として生きていく、それでいいのだという気高い達観が見られます。

 気高い姿勢と言えば、社会のリーダーに求められる重要な要素ですが、大企業の中にはこれに反する汚辱極まりない体質を露呈する企業もあることに目を向けなければなりません。その典型例として「ユニクロ」「GU」ブランドを展開するファーストリテイリングを取りあげます。

 商品が入った買い物かごを置くだけで、電波が瞬時に電子タグの商品情報を読み取る「セルフレジ技術」を開発したのが、IT会社・アスタリスクという従業員が100名にも満たない中小企業。アスタリスクは2019年1月に技術特許を取得するも、ファーストリテイリング(ユニクロ)は、その技術を無断で使った新型セルフレジを店舗に導入したのです。

 ユニクロの行為は冷酷そのもの。元々この製品はアスタリスク社がユニクロのセルフレジのコンペに提案した商品であり、ユニクロは、コンペで不採用としながら技術を勝手に盗用した(パクった)ものであり、見方を変えれば中国共産党のやり口にそっくりです。

 アスタリスクは、他の製品をファーストリテイリングに納入しているということで、同社製品を納入するかライセンス契約を結ぶことで穏便に話をまとめようと交渉。しかし、ファーストリテイリングは、同様の技術は既存技術だとして異議を唱え、無償ライセンスにせよと言う無茶苦茶な要求。ここで、我慢の限界にきたアスタリスクは提訴、そして、5月20日『知財高裁』はアスタリスクの特許は有効だと判断、一部を無効だとした特許庁の審決をも取り消しました。アスタリスク社は全面勝訴ファーストリテイリング(ユニクロ)は全面敗訴となったのです。

 知財高裁がファーストリ社の主張を一蹴したことで、胸がスカッとしました。考えてみて欲しい。ファーストリ社は、売上2兆円、利益1千億円、株価9万円、世界3位のSPA大手の堂々とした大企業。一方、アスタリスク社は小さな中小企業。そうであるならば、ファーストリ社は、優れた知財特許という創造性を発揮した小企業に敬意を払うべきにもかかわらず、相手が下請けであることをいいことに「金を払うに値しない」と発言したり、無償ライセンス提供を要求したりするなど、横暴、阿漕、傲慢、悪質極まりなく、まさに「悪魔の所業」と言わざるを得ません。

 国を豊かにするには「イノベーション」を欠かせず、それは、知的財産権を大切にすることを意味します。わが国が国力を劣化させつつあることの一つの要因がイノベーションの不活発と言われています。ユニクロが中小企業の知的財産を盗んだり、潰そうとしたりすることは、イノベーションを発揮させないようにする不当な弾圧であり、社会的な観点から見ても断じて許せるものではありません。(中国共産党に入れ込み過ぎて、共産党流の知財盗用体質に染まってしまったのでしょうか。…ブラック企業以上の反社悪質企業というべきで怒りを覚えます)

 さらに、過去に遡って、ユニクロの黒歴史をピックアップしましょう。

 ファーストリテイリングがユニクロの過酷な労働環境を告発した文藝春秋社『ユニクロ帝国の光と影』(横田増生著)に対し、2億2千万円の損害賠償、出版差し止め、発行済み書籍の回収を求めた裁判があります。一審、二審、最高裁全て「真実」「真実相当性がある」としてユニクロの全面敗訴となりました。(2014年)

2億2千万円という膨大な金額の損害賠償を求めるこの裁判は「スラップ訴訟」の典型と言われます。恫喝体質はユニクロに沁みついているのでしょうか。

 【スラップ訴訟】社会的地位が高い、もしくは経済的な余裕のある比較強者が原告となり、社会的地位が低い、もしくは経済的な余裕のない比較弱者を被告とすることで、恫喝的に訴訟を提起することを言う。

 香港のNGO・SACOM、東京の国際人権NGO・HRN、及び中国の労働問題に取り組むLAC(中国労働透視)は、プロジェクトを組み、ユニクロの中国下請工場の実態を把握するために「潜入調査」を実施。調査の結果、以下のようなあまりにも過酷な労働環境が明らかになりました。(2015年)

 ・長時間労働と低い基本給 月平均112~134時間の残業(違法)
 ・リスクが高く安全でない労働環境 室温38~42℃ 有害化学物質
 ・厳しい管理方法と処罰システム 58の規則 41の罰金規則
 ・労働者の意見が反映されない 組合委員長は管理部門が兼任

 まさに地獄そのもの!と認識し、ユニクロに対して「CSRと人権」を基本に上記の問題点を改善するよう勧告しました。当時、ブラック・ユニクロと後ろ指をさされましたが、果たしてそれからどのように改善されているのでしょうか。

 米国ロサンゼルス港の税関がユニクロの男性用コットンシャツの輸入を差し止めたうえ、ユニクロを運営するファーストリテイリングが申し立てた異議を却下しました。(2021/5/10 国土安全保障省の税関・国境取締局)

 この禁輸措置は、中国が苛烈な人権弾圧を行っている新疆ウイグル問題に関連してのものです。米国側は、ファーストリテイリングの反論は証拠不十分であり、米政府が禁輸の対象としている中国・新疆ウイグル自治区の「新疆生産建設兵団」によって製造されたものである疑いが払拭されていないとし、禁輸解除に応じない姿勢を明確にしました。

 小ブログ787回(4/23)でも述べましたが、中華人民共和国の新疆ウイグル人に対する人権弾圧、ジェノサイド(民族抹殺)について、ファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井正会長・社長「人権問題というより政治問題であり、われわれは常に政治的に中立だ」と表明。新疆産の綿を使っているかどうかについてさえもノーコメントとしたのです。

 断種まで強制している人権弾圧に対するファーストリテイリング(ユニクロ)の人権感覚について、欧米は極めて厳しい目を向けていることを認識しなければなりません。

 巨大企業・ファーストリテイリング(ユニクロ)の企業経営における言動に、社会性、倫理性、正当性が果たしてあるのかどうか、疑問ありと言わねばならないのではないでしょうか。

 今、NHK大河ドラマ“青天を衝け”で「日本資本主義の父」とも称される渋沢栄一を主人公に幕末から明治までが描かれています。その渋沢栄一は、企業倫理として『論語とそろばん』を説き、その道を一貫しました。現代の経営者も今一度、渋沢栄一の思想に触れ、企業と社会のあり方に思いを馳せるべきではないでしょうか。…わが国の将来のために。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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コメント

共産主義のイデオロギー・巨大な軍事予算・一党独裁政権の三つはソ連と中国に共通している。ただソ連は自由競争のない共産圏内だけの自給自足経済にこだわったため、米欧日に経済力や産業技術=軍事技術で大きな差をつけられ、それがソ連崩壊に結び付いた。だが中国は米欧日の自由主義諸国との経済交流を積極的に進め(WHOがその促進剤となった)、巨大市場を開放することによって逆に米欧日の企業を虜にした。ソ連が手にできなかった膨大な富も、米欧日に負けない最新の技術開発の情報も自由に手に入れることができるようになった。その点では米欧日の企業や市場とあまり変わらないと主張するビジネスマンや経済学者がいても不思議はない。しかし問題は中国がイデオロギーを国是とした一党独裁の国だというところにある。中国内に集まる巨額のカネも最新の技術も独裁政権の安定と拡張のために(詭弁を弄して社会秩序=東アジアの平和のためと称しながら)用いることができることにある。六億人を超える国民が月一万円そこそこの生活をしていても軍事費はアメリカに迫らんとしている。その目的は何か?その程度の疑問も持たずに中国市場に蠱惑されているとすれば、そんな企業人に渋沢栄一や松下幸之助、あるいは石田梅岩や二宮尊徳の商業倫理観は期待すべくもないだろう。大塩平八郎ならば義憤の余り・・である。

投稿: 齋藤仁 | 2021年6月 4日 (金) 10時39分

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