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2021年7月16日 (金)

対中認識・先進国で悪化…日本では88%が否定的

 797回目のブログです

20217161

   “人間五十年 下天の内を 比ぶれば 夢幻の 如くなり”
                                         (信長公記・織田信長)

 人間の命はわずか五十年しかない。天界の時間と比すれば夢幻のように儚いものだ…。

 (下天は人間世界の一つ上の天道で、一日が人間世界の80年とされる)織田信長が好んで舞ったとされる幸若舞「敦盛」、人口に膾炙され、戦国の歴史好きであれば知らぬ人がない有名な舞と言葉です。

  思へばこの世は常の住み家にあらず
  草葉に置く白露、水に宿る月よりなほあやし
  金谷に花を詠じ、榮花は先立つて無常の風に誘はるる
  南楼の月を弄ぶ輩も 月に先立つて有為の雲にかくれり
  人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり
  一度生を享け、滅せぬもののあるべきか
  これを菩提の種と思ひ定めざらんは、口惜しかりき次第ぞ

 7月1日、中国共産党は、結党100周年の記念日を迎え、あの北京天安門広場で記念式典を開き、習近平党総書記(国家主席)が重要演説を行いました。

 天安門広場と言えば、1989年6月4日、中華人民共和国・北京市にある天安門広場に民主化を求めて集結していたデモ隊に対し、軍隊が武力行使し、多数の死傷者を出した『天安門事件』が有名です。現在の中国共産党にとっては、歴史の恥部となっており、中国国内ではインターネットでは遮断されており、歴史から抹殺されています。当時国際社会から痛烈な批判を浴び、犠牲者数は、中国共産党の発表では319人、英国公文書で1万人超となっています。

 習近平党総書記は演説で、中華民族は偉大な民族であることを再三再四強調しましたが、世界の先進国からどのような目で見られているのでしょうか。どうも、習近平党総書記は四面楚歌になっているように思われます。

 先進国で対中国への見方がどのようになっているのか、米ピュー・リサーチ・センターの最新調査が、今月7月1日に発表されました。同センターが2月~5月に実施した先進17カ国・地域の成人約1万8,900人を対象にした調査を、まずは冷静にご覧ください。

   【対中認識 先進国調査】(%)

         [好ましくない] [好ましい]
  日本       88     10
  スウェーデン   80     18
  オーストラリア  78     21
  韓国       77     22
  アメリカ     76     20
  カナダ      73     23
  オランダ     72     24
  ドイツ      71     21
  台湾       69     27
  ベルギー     67     28
  ニュージーランド 67     30
  フランス     66     29
  イギリス     63     27
  イタリア     60     38
  スペイン     57     39
  ギリシャ     42     52
  シンガポール   34     64

 中国に対して否定的な見方を示した回答者の割合は、日本が88%、スウェーデンが80%、オーストラリアが78%、韓国は77%と、中国と外交問題を抱えている国で特に高く、中国を好ましいとする回答が多かったのはシンガポールとギリシャだけでした。

 それにしても、わが国の中国を見る目は相当に厳しいと言わねばならず、何と88%の国民が否定的な見方をしていることが判明しました。

 それにもかかわらず、先週のブログで触れたように、有力な政治家(二階俊博・山口那津男・枝野幸男・福島瑞穂・河野洋平・小沢一郎)などが中国共産党結党100周年に、祝意を述べたのです。国民の意識と相当の乖離があります。

 さて、習近平総書記のスローガンは「中国の夢」「中華民族の復興」などナショナリズムを鼓舞するものです。中国外交が今や、自国の利益を追求するあまり、攻撃的なものになっており(戦狼外交)、国際社会が中国への懸念を強めているのは極めて当然のことであると思います。

 今回の習近平総書記の演説を読んでも、相当内向きの姿勢を示しており、国際世論や他国の反応に関心が薄いように思われ、それだけに、国際的には居丈高な「戦狼外交」を展開する可能性が高いのではないでしょうか。

 そのためには、世界で工作員を総動員し「愛される」中国を巧みに演出すべく「三戦」を展開するものであり、単に軍のみではなく、国家を挙げて三戦を遂行するものです。

 ・(1) 輿論戦(内外與論の醸成・情報管理)
 ・(2) 心理戦(抵抗意志の破砕・宣伝・威嚇)
 ・(3) 法律戦(自軍の武力行使、作戦行動の合法性を確保)

 表向きは優しい言葉を弄しながら、裏では、輿論戦・心理戦・法律戦という厳しい策を展開するものであり、油断も隙もあったものではありません。尖閣などは、着々と「三戦」に則り展開をすすめてきていると判断すべきではないでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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コメント

「戦争とは外交のもう一つの形である」という戦略家クラウゼビッツの言葉があるが、それは「外交とは戦争のもう一つの形である」と言い変えてもいいだろう。例えば現状に至るまでのイギリスとフランスの二千年に及ぶ関係史をみれば、国家間の戦争状態と平和状態の違いが、軍事力を行使した物理的な暴力の有無を除けばほとんど差異がないことがわかるだろう。ローマ帝国時代から近代に至るまでフランス側がイギリスに領地をもち、またイギリス側がフランスに領地を持つ時代が続き、中世の百年戦争、近世の植民地獲得競争と英仏の戦いは続いている。イギリス領のアメリカの独立に際して、フランスが独立を応援し、記念に「自由の女神」まで贈っている。現在でも国連の公用語、EU問題等でイギリスとフランスの戦いは続いている。この歴史から多くのことを学んでいるから、イギリスもフランスも核兵器を保有し、信頼される諜報機関も持っている。日本より産業技術はランク下でありながら、原子力や生物化学やサイバー等の国防に関する研究はわが国より進んでいる。国家が数千年と光彩を放って生き続けるには相当の努力が必要なのである。それを典型的に示している国がイスラエルであろう。国家は国内の平安を維持する力を持たなければならないが、それ以上に大切なのは他国の侵略を許さない、他国に侮られない、隙を作らないことである。他国の侵略を許せば、国内の平和も自由ももちろん財産や生命もすべてが泡となる。侵略国の意思に任せるしかなくなる。国家防衛のためのイスラエルの外交と国防のための各種政策を今こそ学ぶべきではないか。

投稿: 齋藤仁 | 2021年7月16日 (金) 09時04分

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