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2021年8月27日 (金)

『はじめての防衛白書』… 小中学生向け公開!

 803回目ブログです

20218271
 「はじめての防衛白書」表紙

 “今日よりは 顧みなくて 大君の 醜の御楯と 出で立つ吾は”
               奈良時代の防人(万葉集)

 今日からは家をも身をも顧みすることなく、大君の強い御楯となって、私は出立するのである…。

 万葉集と言えば、防人の歌が数多く出てきます。防人は、筑紫・壱岐・対馬などの北九州の防衛にあたった兵士たちのことです。防人として任務に出向くときの愛しい家族との別れ、故郷の思い出、つらい旅路、奮い立つ心、などを率直に歌ったものですが、心に響く歌として取り上げられています。

 さて、先日オリンピックが終わったばかりですが、もうパラリンピックの開会式となりました。世の中はコロナの蔓延に大騒ぎ、確かに、1年半にわたる時間があったにも関わらず、大きな医療体制を構築できず、国の弱体化を感じざるを得ません、

 弱体化と言えば、わが国の安全保障は大丈夫かなと思っていたところに、小中学生向けに公開された『はじめての防衛白書』を目にしました。岸信夫防衛相は良いところに目をつけられたと思います。タイトルも穏やかで良いですね『はじめての防衛白書』まさに、クリーンヒット! 素晴らしい政治家として高く評価できるのではないでしょうか。

  防衛省、小中学生向け「白書」作成 16日からネット公開

 岸信夫防衛相は10日の記者会見で、小中学生向け防衛白書の作成を発表した。国防に関する若者の理解促進が狙い。
 『はじめての防衛白書』と題した計30ページ。(1)日本周辺の安全保障環境 (2)憲法と自衛隊の関係 (3)宇宙やサイバーなど新たな戦闘領域―といったテーマを取り上げ、イラストなどで分かりやすく解説した。
 岸氏は「一人でも多くの皆さんに防衛省・自衛隊に対する理解を深めてほしい」と述べた。
                                          (2021.08.10 時事通信)

 一見して、イラストや図表が多用されており、非常にわかりやすく、わたし達大人が見ても自衛隊に関しての理解を深められそうです。以下、気づいたところを記します。

 ・中国の軍事力と日本との比較(分かりやすい図表で表示)

             中国       日本
   国防予算    22兆6千億円  5兆1千億円
   近代的潜水艦      52隻     21隻
   近代的護衛艦      71隻     47隻
   近代的戦闘機   1,146機    313機

   中国の国防予算が猛烈な勢いで激増していることが一目瞭然

 ・中国の尖閣諸島接続水域での延べ確認隻数

   2012(年)  407(隻)
   2013     819
   2014     729
   2015     709
   2016     752
   2017     769
   2018     607
   2019   1,097
   2020   1,161

   尖閣接続水域での1昨年から激増していることが一目瞭然

 北朝鮮の政治体制、核兵器(6回の核実験実施)・弾道ミサイル(数百発保持)による攻撃能力、これからの動き。

 ロシアの核戦力、日本周辺や北方領土でのロシア軍の活動、ロシア軍と中国軍の連携。

 防衛関係費は何に使われているか?

   人件費     42,8(%)
   維持費     22,7
   装備品購入費  17,9
   基地対策費    9,0
   施設整備費    4,0
   研究開発費    2.2
   その他      1,4

 外国の国防予算

  日本は、G7の国やオーストラリア、韓国と比べても、国防費の対GDP比は一番低く、防衛力を強化するには問題があることを示しています。

 日本を防衛するための普段からの情報収集・警戒監視。

 日本は、四方を海に囲まれ、6,800あまりもの島々や広大な排他的経済水域を有しており、日本の領海と排他的経済水域の面積は世界で6位もの広さがあります。
 この広大な海域でどのような事態が起きても対応できるよう、自衛隊は普段から日本の周辺海空域で情報収集や警戒監視を行っています。

 宇宙、サイバー、電磁波という「新たな領域」での挑戦

 大規模災害への対処

   平成 6年(1994) 阪神・淡路大震災等  157万人(延べ)
   平成23年(2011) 東日本大震災等  1,074万人
   平成28年(2016) 熊本地震等       85万人
   平成30年(2018) 7月豪雨等      119万人
   令和 元年(2019) 東日本台風等     106万人
   令和 2年(2020) 令和2年7月豪雨等   43万人

    大規模災害への自衛隊の貢献には頭が下がります

 日米同盟のとしての協力の具体例

  宇宙やサイバー領域での協力、ミサイルなど空からの脅威への対応
  共同訓練・演習、情報取集・警戒監視・偵察、海洋安全保障、後方支援
  日本における大規模災害への対処のための協力

 『自由で開かれたインド太平洋』という考え方

 最後に、働く自衛官の声を。電子戦部隊、陸上自衛隊、イージス艦艦長、海上自衛隊保全監査隊セキュリティ対策班、戦闘機パイロット、航空自衛隊アメリカ宇宙コマンドでの連絡管、など、男女あわせての自衛官のビビットな肉声が聞こえてきます。

 小中学生のための『はじめての防衛白書』、素晴らしい出来映えです。自衛隊というものを理解するための格好のものであり、家族で読んでもためになります。パソコンで、スマホで、是非、目を通してみてください。強くお薦めししたいと思います。

    【 防衛省 はじめての防衛白書 】で検索してみてください。

次回は
時事エッセー
です。

 

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