自民党総裁選…激越な権力争いを見る!
808回目ブログです
“曇りなく 千歳に澄める 水の面に やどれる月の 影ものどけし”
紫式部(新古今和歌集)
いつまでも永久に澄みわたっていると思われるお屋敷の池の水面に、曇りもなく明るく照り輝いている月の光、ともどもに永遠のやすらぎが感じられる…。
秋といえば、まずは中秋の名月(9月21日)。それからは秋の夜長へと一直線、しばらくは涼やかな時を過ごすことになり、次は麗しき紅葉が今か今かと待たれます。
そうは言っても、世のなかは騒然とした雰囲気に包まれており、なかなか穏やかな季節というわけには行きません。9月29日、自民党総裁選が行われましたのでその生々しいところを振り返り、素人ながらの雑感を述べたいと思います。
【1回目投票】(票)
河野太郎 岸田文雄 高市早苗 野田聖子
議員票 86 146 114 34
党員票 169 110 74 29
(合計) (255) (256) (188) ( 63)
【決戦投票】(票)
岸田文雄 河野太郎
議員票 249 131
都道府県票 8 39
(合計) (257) (170)
・1回目投票で、マスコミの予想は、①河野、②岸田、③高市、そして河野氏は圧倒的に優位であるが過半数に届かないとしていましたが、何と岸田氏がトップ、そして議員票で高市氏が2位、河野氏の中央政界での不人気が際立ちました。そして、決選投票では岸田氏が圧勝、河野氏を寄せ付けませんでした。
・河野氏の敗因を探ってみれば…。
① 河野氏を積極的に援護したのが、小泉進次郎環境相と石破茂元幹事長。“小石河”(小泉・石破・河野)連合の結成となりましたが、これがアダ、1+1+1=3を狙ったのでしょうが、1+1+1=-2、変人連合はマイナスに作用したようです。
② 親族企業「日本端子」と中国をめぐる懸念が浮上。「日本端子」は車載用の端子やコネクターなどを製造、中国の子会社を通じて中国とは深い繋がりがあり、河野氏の掲げる再生エネルギー政策に懸念あるとの指摘が選挙中に発覚したこと(河野氏4,000株保有)。また、この会社から河野事務所に6,700万円の献金がなされたことも判明。(週刊文春)
③ 河野氏の人間性を失言などから。「日本語の分かる奴、出せよ!」(官僚へのパワハラ)「堂々とブロック」(ツイッターのブロック機能を使って、気に食わない発言をブロック)「国会で説明責任を果たすのは政府だから “政高党低” であるべきだ。部会で “ギャーギャー” やっているより、副大臣・政務官チームを非公式に作ったらどうか」(自民部会を軽視)
・政治はマツリゴトでもあり、権力闘争の場でもあります。今回の自民党総裁選を見ても、曖昧な意思表示、裏切り、合従連衡、何でもあり、それを綺麗ごとで済まそうとするのは余りにも安易な姿勢と言わねばなりません。
・自民党の派閥について、評論家はとかくその弊害を説きますが、考えても見てください。「人間、二人寄れば争いが起き、三人寄れば派閥ができる」という箴言があり、ましてや、380人もの国会議員が集まれば、派閥は必然的なものだと考えられます。もちろん、弊害もあるでしょうが、多様性、安定性、執行部のチェック、勉強会、若い議員の育成などの効用も考えなければなりません。
・今回の4人の候補者の政策論争を目にすれば、自民党における政策の幅の広さに吃驚させられます。そうとすれば、自由民主党を「1つの政党」ではなく「派閥と呼ばれる政党が複数集まった、長期連立政権」と捉えても良いのではないでしょうか。
・過去の自民党史を振り返ってみ見れば、血沸き肉踊る場面が見られます。今回の総裁選挙において、自民党国会議員は、欣喜雀躍、勇気百倍、生き生きとした時間を過ごせたのではないでしょうか。野党の方々も、内心、羨ましく感じたに違いありません。
【これまでの決戦投票】(票)
昭和31年 石橋湛山(258) 岸 信介(251)⦅逆転⦆
昭和35年 池田勇人(302) 石井光次郎(194)
昭和47年 田中角栄(282) 福田赳夫(190)
平成24年 安倍晋三(108) 石破 茂(89) ⦅逆転⦆
令和 3年 岸田文雄(257) 河野太郎(170)
・共産党の志位委員長は「表紙を変えただけだ」と批判しましたが、他党を非難する前に、自党の選挙システムのあり方に目を向けなければなりません。少なくとも、自民党は民主的な選挙を経て総裁を決定していることを認識すべきではないでしょうか。
・共産党規約13条から
『党のすべての指導機関は、党大会、それぞれの党会議および支部総会で選挙によって選出される。中央、都道府県および地区の役員に選挙される場合は、二年以上の党歴が必要である。
選挙人は自由に候補者を推薦することができる。指導機関は、次期委員会を構成する候補者を推薦する。選挙人は、候補者の品性、能力、経歴について審査する。
選挙は無記名投票による。表決は、候補者一人ひとりについておこなう。』
建前では、選挙で選ぶことになっていますが、実態は異なり、この規約にあるように、「候補者を推薦」はできますが「立候補の規定」がありません。しかも「指導機関は、次期委員会を構成する候補者を推薦する」とあり、つまり、指導部が次のメンバーを推薦する仕組みになっているのです。実質は、これで決まってしまいます。
現在、220人を超える中央委員、準中央委員について、実態は、委員長、書記局長の数人の幹部で決めていると言われています。まさしく中国共産党と同じだと考えられます。
こんな実態と比較すれば、自民党の総裁選がいかに民主的か理解できるのではないでしょうか。そうとすれば、表紙も変えられない日本共産党の志位委員長が自民党の総裁選に異を唱えるべきではありません。(因みに、志位委員長は平成12年(2000)から現在まで、21年間の長期に亘る在任となっています)
それにしても、自民党総裁選は興味深く見させていただきました。新総裁には、権力を正しく行使し、国家、国民のために尽力いただきたいと願う次第です。
みなさんは、どのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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大衆を洗脳するプロパガンダを最も上手に駆使してきた国は米英の両国だろう。アジア・アフリカにキリスト教を広めてきた宣教の知識、言葉も慣習も全く異なる未知の国々で貿易を行い、時に植民地として異文化の民族を支配してきたノウハウの多くが、現在の米英両国の外交の場面、大企業や米英の民間の財団を通じての慈善活動など、様々な場面で世界の人々を巧みに洗脳、誘導していることだろう。「脱炭素」運動も一つの例だろう。ロシアや中国も米英に対抗できる高いプロパンガンダ力を持っている。ただしロシアや中国・北朝鮮などの宣伝・洗脳は、政治的自由も言論の自由も奪われた自国民に対して有効であっても、自由社会に生きる他国民に対しては効果が小さく、しかも持続しない。プロパガンダ効果を維持するには対象国に膨大なカネとヒトを送り続ける必要がある。簡単にいえば米英のプロパガンダは他国民でも「自発的に信じさせる」力を持っているが、ロシアや中国のそれはカネやヒトという薬が切れれば、洗脳も解けてしまうという弱さがあるということだ。せめて日本国の指導者たらんとする政治家と日本の大手メディアは。米中などの他国のプロパガンダの虜、他国の代弁者とならないことを願いたい。
投稿: 齋藤仁 | 2021年10月 1日 (金) 11時29分