立憲民主党の政策…その衝撃的内容!
810回目ブログです
“夕月夜 心もしのに 白露の 置くこの庭に こほろぎ鳴くも”
湯原王(奈良時代・万葉集)
月の出ている夕暮れ、心がしんみりするほどに、白露のおりているこの庭で、秋の虫が鳴いていることだ…。
秋も徐々に深まってきました。奈良時代は、今の蟋蟀(コオロギ)・松虫・鈴虫・きりぎりすなど秋に鳴く虫を総称したようであり、庭に鳴く虫に、穏やかで静かな秋の情緒を存分に感じ取ったと思われます。
翻って今、世の中は、いよいよ衆議院解散、総選挙は19日公示、31日投開票、「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちればただの人だ」(大野伴睦)ですから、必死の選挙戦、与野党激突の戦いが繰り広げられるのではないでしょうか。
さあ、どのような結果になるのか予断は許しませんが、野党第1党である立憲民主党の政策について覗いてみたいと思います。わたしは、いままではほとんど見ていなかったのですが、今回はじっくりと目を通しました、ところが、とんでもない内容が掲げられており、これが大政党の政策かと目を疑った点も多々あります。
立憲民主党の広報から全体を見ていきます。
(1)政権発足後、初閣議で直ちに決定する事項
(2)多様性を認め合い「差別のない社会」へ
(3)地域を守り、地域を活かす
(4)住まいの安心と住宅政策の転換
(5)平和を守るための現実外交
(6)みんなを幸せにする経済政策
(7)自然エネルギー立国の実現
(8)子ども・子育て政策への予算配分を強化
(9)若者の未来を創る政策プラン
9項目のうちから(1)と(2)の項目を取り上げます。
【政権発足後、初閣議で直ちに決定する事項】
1.補正予算の編成(緊急コロナ対策30兆円)
2.新型コロナ対策指令室の見直し
3.2022年度予算編成の見直し
4.日本学術会議人事で任命された6名の任命
5.スリランカ人ウィシュマさん死亡事案における
監視カメラ映像ならびに関係資料の公開
6.「赤木ファイル」関連文書の開示
7.森友・加計・「桜」問題真相解明チームの設置
・今回の総選挙で「政権奪取間違いなし」と自負している最大野党・立憲民主党が、並々ならぬ高揚感に満ち満ちていることが感じられます。「政権発足後、初閣議で他たちに決定する事項」とは大きく出たものですが、1~3は自民党でも、どの政党であっても掲げるものであり大した内容ではありません。(例えば、岸田内閣もコロナ対策に30兆円を充てると謳っています)
・ところが、4~7についての立憲民主党の文言には吃驚仰天。初閣議で直ちに決定するのが、日本学術会議人事の任命ですか? スリランカ人死亡事案、 これは何ですか、筆者も知らないことですが、みなさん良くご存じのことですか? いま、赤木ファイルですか? まだ、森友・加計・桜をだしに使おうとしているのですか?……。
・政権を奪取して真っ先にやることが「政権批判」とは呆れてものも言えず、政治は、ワイドショーではありません。立憲民主党は政治をワイドショーやSNS世論に貶めているのではないでしょうか。これでは本気に政権を取りに行っているようには思えず、また、本気で日本を背負う気概が感じられません。
・立憲民主党は偏ったSNS世論および一部インテリサヨクの世界を現実の一般社会と錯覚しているのではないでしょうか。いま、大衆社会においては、「モリ・カケ・サクラ」は古い話であり、「赤木ファイル」はピントきません、スリランカ人は名前に記憶がなく、世論調査では「日本学術会議の人事は問題なし」となっているのではないでしょうか。
・すなわち、立憲民主党は、政策実行能力には乏しく、批判能力には長けていることを示しており、まさに、野党体質にどっぷりと漬かっていると言っても過言ではないと思います。
・要は、一般の名もなき生活者の声に耳を傾け、その厳しい生きざまに顔を合わせ、お互いの心の中に日本人としての共感を添わせることが求められているのではないでしょうか。表面的なイデオロギーに寄りかかるだけでは、一般大衆≒生活者≒国民が何を考えながら生きているのかについて、想像できなくなってきているように思えてなりません。
【多様性を認め合い「差別のない社会」へ】
1. 選択的夫婦別姓制度を早期に実現
2. LGBT平等法の制定/同性婚を可能とする法制度の実現を目指す
3. DV対策や性暴力被害者支援など困難を抱える女性への支援を充実
4. インターネット上の誹謗中傷を含む、性別・部落・民族・障がい
国籍、あらゆる差別の解消を目指すとともに、差別を防止し、
差別に対応するため国内人権機関を設置
5.入国管理・難民認定制度を改善、透明化するとともに、
入国管理制度を抜本的に見直し、多文化共生の取り組みを進める
・この項に掲げられた点がそんなに急ぎ法律対応すべきテーマとは思えません。また、これらは、国の根幹に関するするものであり、ゆっくりと検討を加えればよいと考えます。それにしても、差別を声高に叫ぶほどわが国はそんなに間違った状況に置かれているとは考えられません。偏った思想に基づく点も多々あり、議論を尽くし、将来への禍根を残さないよう留意すべきではないでしょうか。
・立憲民主党はやはり、先鋭化しているように見えます。たしかに、岸田首相が、新自由主義の見直し、成長と分配の好循環、民間企業の研究開発の税制支援など、本来ならばリベラル政党が掲げる政策をすべて取り上げてしまいましたので、立憲民主党としては、サヨクイデオロギー政策ばかりを大きく掲げざるを得ないのも止むをえないのかも知れません。…しかし、また、基本的に左翼体質の党でもありますから、逆に生き生きとして来ているとも考えられます。
・その証拠に、今回の総選挙では、できるだけ野党候補を一本化しました。そして、総選挙後に立憲民主党が政権を樹立した暁には、共産党は立憲民主党に “閣外協力” することに合意。閣外協力と言えば柔らかく聞こえますが、すでに、共産党は立憲民主党の選挙事務所に堂々と出入りしていると言われ、まさしく、日本共産党と立憲民主党、いわゆる『共・民合作』が成立したことを示しています。(立民が共産に飲み込まれることを危惧しますが、体質がほぼ同じであればその心配もするだけ無駄というもの)
・最後に、立憲民主党には、政権を担った3年3ヶ月の無残ではあっても得難い経験があるはずです。その反省に立ったうえで政権を担うおうとすべきであり、単に権力志向だけで担おうとするのは、無責任の誹りをうけるのではないでしょうか。よくよく考えていただきたいものです。
選挙の結果はどうなりますでしょうか。
みなさんは、どのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
立憲民主党の掲げる政策には実在する「国家」の重さ、数千年の歴史を重ねた末に存在する世界の国々、民族の存在の重さへの理解と認識が全く欠けている。「みんな仲良く、みんな大好き」という先生の呼びかけに「は~い」と異口同音に和する幼稚園児そのものと同じである。ただし幼稚園児でも先生の言葉は「おはようー」と同じ程度の意味しかないことを知っている。仲良しのはずの友だちが理由もなく意地悪をするし、仲良しの子もいれば気の合わない子もいる。園児であろうと大人であろうと各人の生育環境・家庭環境や個人の性格・資質も異なる。人間は工場で生産された画一商品ではない。園児を一派一からげにして「みんないい人、みん幸せ」という呼びかけを偽善・虚言と感じ取っている園児もいるだろう。大人びたその園児のほうがよほど社会から見れば健全な子だろう。立憲民主党の掲げた「政策」「迷言」は無色透明・無国籍の「地球人」またはコスモポリタンなら納得できるかもしれない。しかし実在の国家ならそれぞれの国家・民族に2021年の現在に至る歴史があり、自国をとりまく善意悪意の思惑をもった近隣諸国があり、そして国内事情がある。即ち人間も国家も具体的な時間の中を具体的な影響力を及ぼしあって生きている。男性と女性を「人間」という言葉でひとくくりして性差を無視する愚かさ、日本と韓国を同じアジア人あるいは隣の友人という言葉でひとくくりする単細胞には唖然とするだけである。付け加えるならば、立憲民主党の掲げた言葉を眺めていると、単に政権与党の政策を何とか批判したいという少数派の意見・愚痴を連ねただけにみえるがそれは言い過ぎだろうか。
投稿: 齋藤仁 | 2021年10月15日 (金) 08時06分