衆議院議員選挙・異聞!
813回目ブログです
“時ありて 花ももみぢも ひとさかり あはれに月の いつもかはらぬ”
藤原為子(鎌倉後期の代表的歌人)
花も紅葉もそれぞれに決まった時期があって盛りを見せるのに、月はいつもかわらぬたたずまいで空にあることです…。
春の花、秋の紅葉、それぞれ、一年の内の短い時期だけですが、思い切り美しい姿を見せます。それにくらべ「月」はいつも変わらぬ存在を示しています。そうした不変のものの「あはれ」の情趣がしみじみと心に沁みるのは、盛りの時を経てはかなくなってゆく花、紅葉、そして人生への愛惜でもあります。
10月31日は、総選挙(衆議院議員選挙)が行われました。今回は、なかなか予測通りに行かなくて、番狂わせの続出、そして、いろいろな特異な現象が生じていますので、検討してみたいと思います。
今回の解散選挙名は、未来選択選挙(岸田総理)、コロナ脱却V字回復解散(安倍晋三元総理)、逃げ恥解散/一強政治終焉解散(立民・枝野代表)、政権交代選挙(日共・志位委員長)、改革イエスかノーか解散(維新・馬場幹事長)、大急ぎ解散(自民・閣僚経験者)などさまざまでした。
【49回 衆議院選 各党の獲得議席】
(小選挙区)(比例区)(合 計) (公示前)
自 民 189 72 261 276
公 明 9 23 32 29
維 新 16 25 41 11
立 憲 57 39 96 110
国 民 6 5 11 8
共 産 1 9 10 12
れいわ 0 3 3 1
社 民 1 0 1 1
N 党 0 0 0 1
無所属 10 - 10 11
(計) 289 176 465 -
・自民党は、過半数(233)を占めるとともに、国会運営で委員会を主導できる絶対安定多数(261)に単独で達しました。大勝利と言えるでしょう。
・立憲民主党は、公示前よりも14減少し、政権交代どころか惨敗と指摘されています。
・日本維新の会は、大阪の小選挙区での立候補区は全勝(∴自民は全敗)、合計で11から41へと激増、まさに劇的な勝利と言わねばなりません。
・ここから、改憲勢力をカウントしてみましょう。公明党は改憲勢力ではないとも考えられます。微妙なところ、公明党(支持母体は創価学会)は改憲の足を引っ張るような気がしますが、みなさんはどのように判断されますか…。【衆議院定数の3分の2は310議席】
(A)自民(261)+維新(41)+公明(32)+与党系無所属(7)=341
(B)自民(261)+維新(41)+与党系無所属(7)=309
(C)自民(261)+維新(41)+国民民主(11)+与党系無所属(7)=320
・異聞①
小選挙区で大物議員と言われる候補者が多数落選したこと。甘利明(自民:落選・比例復活)、石原伸晃(自民:落選)、辻本清美(立憲:落選)、小沢一郎(立憲:落選・比例復活)、平井卓也(自民:落選・比例復活)、野田毅(自民:落選)、桜田義孝(自民:落選・比例復活)、平野博文(立憲:落選)、中村喜四郎(立憲:落選・比例復活)などなど。この人たちは田畑の草取りを怠っていたのでしょうか、あるいは、選挙民から嫌われていたのでしょうか。
・異聞②
マスコミの予想は惨敗。1社を除いて、すべての新聞・テレビは「自民、過半数割れも」と予想していましたが、結果はご覧の通り「自民、絶対安定多数を確保、立憲敗北、維新躍進」となりました。
その1社は朝日新聞社、10/25の記事「自民が単独過半数確保の勢い、立憲横ばい」「自民は、政権を奪還した2012年の衆院選以降、国会を安定的に運営できる絶対安定多数(261議席)を確保してきた。接戦となっている74の選挙区の勝敗次第では、今回もこれを獲得できる」…自民党サイドは、この報道は、朝日による自民の気を緩ませる策略だとして、猛然と追い込みをかけたと言われます。選挙は最後の3日が命取り。とすれば、朝日の報道が自民党を圧勝させた一因と言えなくもありません。
・異聞③
自民党石原派・最高顧問/山崎拓氏、立憲・辻本清美候補を応援。山崎拓元副総裁が、10/27大阪10区(高槻市)に立候補している立憲民主党辻本清美副代表を応援、大変な物議を醸しています。わたしは、高槻市の隣の市に住んでいますが、吃驚と言うよりも、どっちらけ、開いた口が塞がりません。本来応援すべき自民党候補者も立っているのですから全くの筋違い、呆けたとしかしか言いようがありません。自民党重鎮の山崎氏と立憲副代表の辻本女史が2人並んで演説をしている姿を想像してみてください。矜持のないこと、恥ずかしいとは思わないのでしょうか。これによって辻本女史も票を大きく減らしたと思われます。
・異聞④
立憲江田憲司代表代行「NISA(少額投資非課税制度)」にも課税と発言。10/28放映のBSフジ報道番組「プライムニュース」で、法人税や所得税の優遇税制の見直しの中で、NISAにも課税すると断言しました。(わたしも、この番組を見ていましたので、びっくり仰天、のけぞりました)、NISAとは、少額の個人投資家のための税制優遇制度であり、庶民のためのものです。後日、江田代表代行は“誤解を招いた”と釈明しましたが、党の経済政策担当としてNISAについてよく知らないのではないかとの声がSNSで沸騰したのです。まさかそんなことはないと信じますが、立憲の評価を大きく下げたことは間違いありません。
・異聞⑤
立憲/共産 共闘の是非! 立憲民主、共産、社民、れいわ新選組の野党4党は、野党共闘を呼びかける「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」との政策合意に調印(9/8)。①憲法、②コロナ、③格差、④エネルギー、⑤ジェンダー、⑥行政の透明化。この市民連合は共産党のフロント組織そのものと言えますから、有権者はその胡散臭さを感じ取ったのではないと思われます。
共産党との共闘は、はたして本当に正しかったのでしょうか。日本維新の会は、与党や野党共闘とは距離をおき、両方の受け皿になり、選挙前の4倍の議席を確保しましたから。また、国民民主党も8議席から11議席へと議席を延ばしました。
現在の東アジアの情勢は、中国の海洋進出、北朝鮮の核ミサイルなど楽観を許さない状況にあることを認識し、わが国の安全保障を、より強固にする政策を有権者に訴えなければ多数の支持を得ないのではないでしょうか。
・異聞⑥
選挙区と比例代表の重複立候補の異様さ。選挙区で落選したのに、比例区で復活当選する現行制度は問題だと考えます。甚だしい例の一部をご覧ください。
京都1区(立候補者全員当選)
勝目 康 自民 当選
穀田 恵二 共産 (比例区復活当選)
堀場 幸子 維新 (比例区復活当選)
兵庫6区(立候補者全員当選)
市村浩一郎 維新 当選
大串 正樹 自民 (比例区復活当選)
桜井 周 立民 (比例区復活当選)
奈良1区(立候補者全員当選)
馬淵 澄夫 立民 当選
小林 茂樹 自民 (比例区復活当選)
前川 清成 維新 (比例区復活当選)
当該区で全員が当選する選挙制度は何かおかしいですね。
みなさんは、どのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
| 固定リンク
コメント
立憲と共産党は連携することで政権交代を、と叫んでいたが、選挙前の議員数と前回の得票数を見れば、仮令政府のウィルス対策問題を重視しても、政権奪取など到底無理だったことは素人でもわかる。客観的には無理な政権交代がありうると国民に思わせたのは新聞・テレビのメディアである。如何なる党派であれ政権が担うべき最大の課題は「領土・領海・領空および国民の生命・財産の安全確保」であり、それ失った政権の諸政策など意味を持たない。しかも数年前から習近平中国が東アジア世界の覇権を求めて南シナ海、台湾、尖閣諸島等への攻勢を強めており、台湾や尖閣諸島への侵攻の可能性を欧米のメディアは指摘している。もし日本のメディアが国際情報を正確に報道して選挙前に、「中国軍が台湾侵攻に合わせて尖閣諸島にも上陸か?」、「台湾・南シナ海を制覇されたら日本の輸入物資は高騰する、どうする日本?」といった報道をしていたら選挙結果はどうだったか。立憲・共産連合の当選者数はもっと落ち込んでいたろう。結局、今回の衆議院選は、例によって朝日新聞が書きたて、NHKや毎日が追随するという「懲りない連中」の自己満足芝居だったが、彼らは多くの国民がオタク連の芝居に興覚めしていたことに未だに気づいてもいない。「高い自己評価と自己顕示欲の塊のひきこもり連中」が日本国内だけの閉鎖空間で騒ぐ、この幼稚な光景はいつになったら幕を閉じるのか。
投稿: 齋藤仁 | 2021年11月 5日 (金) 08時45分