« 国の基幹統計でまたも“偽装”…統計の信頼性を確立せよ! | トップページ | “謹賀新年”…令和4年の夢を語る! »

2021年12月31日 (金)

マイブログ注目ベスト3…令和3年を振り返る!

 821回目ブログです

202112311

  “外山ふく 嵐の風の 音聞けば まだきに冬の 奥ぞ知らるる”
            和泉式部(平安中期・千載和歌集)

 外山(人里近い山)を吹く嵐のような風の音を聞くと、早くも深まりゆく冬の寒さの厳しさが思い知らされることだ…。

 年の暮れになって一気に冬の厳しい寒さを感ずるようになってきました。振り返れば、昨年に引き継ぎ、この一年、大方の人にとっては大変な年でもあり、内外ともに混迷を極めた年でもあったと言わざるを得ません。

 今、いわゆる新型コロナの猖獗が収まりそうになっては来ていますが、変異株であるオミクロン株の感染が蔓延するかもしれず、予断を許さないところではないでしょうか。

 その他、激突する米中覇権戦争、ふらふらしている岸田内閣(たとえば、金融所得課税、国会議員の文書交通費、コロナに関わる入国制限、子育て世代への10万円給付、北京五輪の外交ボイコット、企業の自社株購入制限…など)、本当に大丈夫でしょうか、不安が高まってきています。

 何はともあれ、本日が大晦日、令和3年(皇紀2681年、西暦2021年、丑年)が過ぎてゆきますので一年を振り返りたいと思います。恒例のごとく、小ブログから反響の大きかったものを3点選びました。

① 対中弱腰外交の証拠…情けなや日本の現実!(1/8)

 外交ジャーナリスト・手嶋龍一氏と元外務省主任分析官・佐藤優氏の対談のなかに、看過できない重要な個所があり、それを紹介しました。習近平政権が「一帯一路」国際サミットに自民党二階幹事長を招いた折りの実話。  

 ……【佐藤】二階幹事長は、単に政権党を代表して北京に出かけていっただけではない。当時の安倍晋三総理の親書を携えていったんですね。

【手嶋】それによって習近平主席との会見を果たしたのです。「安倍親書」は、日中双方にとって極めて重要な外交上のツールになりました。中国側もなかなかにしたたかで、在京の中国大使が事前に親書の中身を知りたいと持ちかけ、当時の今井尚哉秘書官が親書の内容を明らかにしたところ、中国側から「これでは不十分だ」と一度は突き返されてしまいます。

【佐藤】安倍親書には「一帯一路」構想へ日本がどう応じるか明確にされていなかったからですね。

【手嶋】その通りです。その結果、日本側は中国の要求を容れる形で、「一帯一路を支持する」と中身を書き換えてしまいました。日本政府は、この「安倍親書」を通じて、習近平政権が進める「一帯一路」構想に明確な支持と協力を表明してしまったわけです。

 これに反対する安倍外交の司令塔、谷内正太郎国家安全保障局長は、今井秘書官との軋轢を深めることになり、谷内辞任の伏線となったのです。この一件によって「日本は揺さぶれば操れる」という誤ったメッセージを北京に送ることになってしまったのです。

【佐藤】この「安倍親書」は、その後の安倍総理の中国訪問と、習近平国家主席の国賓としての訪日招請に繋がっていったのですから重要ですね。……

 それにしても、『安倍親書』を、前もって中国側に見せ、それを修正して、相手から承認を貰うなんて、これはまさしく国を売ることと同じであり、独立心の欠如を示すものであり、恥を知れと言わざるを得ません。こんな人が与党自民党の幹事長だということを肝に銘じておく必要があります。

② 『新疆ウイグル自治区』…人権か利益か、それが問題だ!(4/23)

 今、新疆ウイグル自治区では、ウイグル人女性への断種(強制不妊手術)が実施されるという実質的には「ジェノサイド」(民族絶滅政策)や、100万人という膨大なウイグル人が強制収容、強制労働させられている「人権弾圧」の実態を取り上げました。

 欧米の各社は「新疆綿」を使った衣料品の販売を中止する意向を発表しましたが、わが国を代表する企業が人権問題をどのように考えているのかピックアップしました。

 ★良品企画(無印良品)
  「国際機関が発行するガイダンスにのっとり独立した監査機関に調査を依頼し、重大な問題点はなかった」として『新疆綿』を使った衣料品の販売を続けると強調。しかし、松崎暁社長は記者の質問には一切答えず。

 ★ファーストリテイリング(ユニクロ)
  「人権問題というより政治問題であり、われわれは常に政治的に中立だ」と柳井正会長・社長は表明、しかも、新疆産綿の使用の有無さえもノーコメント。

 ★三陽商会
  「複数のブランドで新疆産綿花の使用を確認した。企業の社会的責任の観点を踏まえ、不適切と判断した場合は代替素材を検討したい」大江伸治社長。

 ★カゴメ
  「中国の新疆ウイグル自治区で生産されたトマト加工品を製品に使うのを2021年中に止める。人権問題が判断材料のひとつになった。」

 (株)良品企画、(株)ファーストリテイリングの2社の言い訳は苦しく、特に、ユニクロの柳井会長・社長の「ウイグル問題は、人権問題ではなく政治問題だ」との発言は、あまりにも非常識。100万人の強制収容、不妊手術の強制、親子の引き離し、子供へのウイグル語やイスラム教の禁止、などの人権弾圧に目を背けている姿勢は人間性の欠片も感じられません。

日本政府の姿勢にも問題あり。G7(主要先進7ヶ国)のなかで対中制裁を行っていないのは日本だけです。日本よ!恥を知ろうではありませんか。

③ “日本財政は破綻寸前”…これは、ウソ・フィエクだ!(11/26)

 文藝春秋11月号で、財務次官・矢野康治氏は「日本財政は破産寸前、タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなもの」と国家財政に警告を鳴らしました。

 わたしは、これをフェイクとして反論。まず、財政の健全性をより正確に測るには、政府の純資産によって測られるべきであり、わが国の純資産はほぼゼロであり、他国と比較して、問題はありません。日本国債の発行残高は2021年6月末で1223兆円ですが、特に期間が1年未満と短い国庫短期証券を除いた国債1056兆円に限ると、海外投資家の保有比率は7.2%に過ぎず、92.8%は「国内投資家の資産」になっていることです。何の問題があるのでしょうか。

 わが国は世界に先駆けて1990年代から、長期停滞に陥っています。一般的に言って、不況対策としては、積極財政、金融緩和、構造改革が上げられますが、長期停滞の原因は、何と言っても「需要不足」にあります。安倍内閣の掲げた、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略が生煮えであり、デフレ脱却・需要不足の解消に失敗しました。

 とすれば、何はともあれ、本格的な積極財政に大きく舵を取ることが求められていると考えます。岸田政権には、ちまちまとしない大胆な政策を実行に移してほしいと望む次第です。

 令和3年を振り返り、注目された3点を取り上げました。みなさまには今年1年お付き合いいただき有難うございました。小ブログは来年3月3日で丸16年、ぼつぼつ年貢の納め時かと思いますが、今しばらく続けていきますので、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

 それでは、佳いお年をお迎えください。

次回は
時事エッセー
です。

 

|

« 国の基幹統計でまたも“偽装”…統計の信頼性を確立せよ! | トップページ | “謹賀新年”…令和4年の夢を語る! »

コメント

ユニクロや無印のトップにしてみれば、「国際政治は未だに19世紀のナショナリズムが問題を引き起こしているが、国際経済はボーダーレスの世界に突入しており、その恩恵を日本も潤っている、その先頭をわが社は走っている。中国を問題視するのは間違っている」という、おそらく、それが二階元幹事長や中国べったりの大手企業トップに共通する考えだろう。国家や民族、文化、思想といった人文学・政治の分野を切り離した純粋な国際経済が成り立つと信じ切っているとしたら、歴史に無知か、カネやハニートラップで籠絡されているのか。多くの国民が日本の植民地化に危機を感じたことが明治維新の成った最大の理由だが、同時に関税自主権と治外法権という列国の軍事力を背景とした不平等条約への反発も大きい。近代史を見れば、強国は必ず軍事力を背景とした政治力で経済運営を行ってきたことがわかる。高度成長後の絶頂期の日本経済を叩き続けたのは日米同盟を盾にしたアメリカの政治力であり軍事力ではなかったか?中国の一帯一路は世界経済の繁栄のためか、それとも中国の世界帝国化のためか。脱炭素は世界のあらゆる科学者の知見を総合した結果の政策か、それとも特定の科学者や国家群や大企業の思惑という政治的理由で動き始めたことか?それは本当に世界の人々を幸福に導くためなのか、それとも特定の人々の利益追求のものなのか?政治と経済を切り離すことはできないだけでなく、国内政治が国内経済の有り様を決定してきたように、国際政治が国際経済の在り方を決定してきた。欧米の帝国主義が奴隷制度や植民地主義と表裏一体であったように、ソ連や中国の社会主義・共産主義は独裁政治と経済活動の国家管理を基盤としている。その仕組みは国外に拡大しても同じである。国内だけでなく一帯一路の先端の国においても、彼らは同じ仕組みで活動する。ウィグル人を犠牲にした中共世界をアフリカ諸国でも追及し続ける。亡国以来二千年間、ユダヤ人が守銭奴と蔑まれながらも必死に生き続けたことには同情するが、日本の商人・企業人はその二千年独立を守り続け、アジア人の誇り日本人も誇りも守り続けてきた国がある。その歴史文化の中に生まれた日本企業である。冒頭の二社だけでなく、残念だが日本の企業人として再考を願いたい親中企業は多数あるのではないか。

投稿: 齋藤仁 | 2021年12月31日 (金) 10時35分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 国の基幹統計でまたも“偽装”…統計の信頼性を確立せよ! | トップページ | “謹賀新年”…令和4年の夢を語る! »