新聞業界の苦境続く…昨年180万部減!
824回目ブログです
“何事も かはりはてたる 世の中を 知らでや雪の 白く降るらむ”
佐々成政(戦国武将)
何もかも変わってしまった世の中なのに、そうとは知らないからであろうか、去年と同じように雪は白く降っている…。
世の中は変転極まりなく、そのなかで懸命に生き延びてきたとしても、まさしく時代の移り変わりは如何ともしがたく、昔の良き日々が思い出され、そうであればこそ辛さが一層つのるもの。そんな時、白い雪が何事もなかったかのように降っている。雪でもいい、この悔しさを知ってほしいものだ。…という戦国武将・佐々成政の心の内は、わが国のリーダーを自負してきたであろう、新聞業界の呻きでもあります。
新聞業界が、衰退への歩みが止まらないばかりか、ますます加速化している実態をみてみましょう。
わが国の新聞は、昭和41年(1966)に3,000万部台に乗り、1990年代末には5000万部超まで拡大、以後は下降一直線、本年中に一般紙が3000万部割れ目前となっています。
■ 新聞発行部数の推移(朝夕刊セットを1部で計算)単位:万部
合計 一般紙・スポーツ紙 対前年減少部数
2021年 3303 3066 237 ▲180
2020年 3509 3245 264 ▲242
2019年 3781 3488 293 ▲195
2018年 3990 3682 308 ▲194
2017年 4213 3876 336 ▲106
2016年 4328 3982 346 ▲ 87
2015年 4425 4069 355 ▲100
2014年 4536 4169 368 ▲144
2013年 4700 4313 387 ▲ 60
2012年 4778 4372 405 ▲ 37
2011年 4835 4409 425 ▲ 82
2010年 4932 4491 442 ▲ 75
2009年 5035 4566 469 ▲ 90
2008年 5149 4656 493 ▲ 40
2007年 5203 4696 507 ―
上記2021年の数字は、先日公表された日本新聞協会の10月時点の部数ですが、とにかく半端でない部数の落ち込みです。数字をざっくりと眺めれば…、
・現 在 令和 3年(2021) 3,000万部
・10年前 平成23年(2011) 4,400万部
・20年前 平成13年(2001) 4,700万部
ここ8年間の数字は、誰が見ても容易ならざる状況であることは一目瞭然と言わねばなりません。
新聞は、全国紙(読売・朝日・日経・毎日・産経)、ブロック紙(北海道・中日/東京・西日本・河北・中国)、地方紙のいずれも苦戦、特に全国紙は極めて厳しい対応を迫られていると思います。
有力紙の夕刊発行廃止の動き、淘汰と合従連衡の本格化、赤字事業の見直し、選択と集中、人員削減・合理化、経費削減など、あらゆるものが視野に入っていると言われています。
これはわが国だけではなく、アメリカでは「2004年には8,891紙が発行されていたが、4分の1の2,155紙が廃刊。新聞広告の売り上げは、2005年の494億ドルから、2020年には88億ドルへと8割減少。編集局の人員は2004年の7万1640人から、2020年には3万820人へと半分に落ち込む」という実態があります(東洋経済1/10)
何とも、聞きしに勝る状況にうなされます。わが国では、あと5~6年で最終局面を迎えるのではないかと言った議論が真剣に語られる段階にきているようです。
確かに、わが国の有力新聞社は、豊富な不動産を保有しており、不動産会社だと揶揄されもしていますが、いつまでも不動産だけに頼ることは出来ないのではないでしょうか。
例えば、1社の決算を見てみましょう。
【朝日新聞社:2021年3月期決算・連結】
売上高 2,937億円(前年比△16.9%)
営業利益 △70億円(前年は 24億円の黒字)
経常利益 △5億円(前年は131億円の黒字)
純利益 △442億円(前年は107億円の黒字)
※△442億円の最終赤字となり厳しい対応を迫られた。
【朝日新聞社:2021年度中間決算・連結】
売上高 1,315億円(前年同期比△5.4%)
営業利益 31億円(前年同期△93億円)
経常利益 68億円(前年同期△82億円)
純利益 50億円(前年同期△419億円)
※減収増益で一応赤字脱出となっている。
新聞社は、苦しい経営を余儀なくされており、まだまだ苦難の道は続くものと思われます。そうした中で生き延びていくためには読者との間に堅くて熱い信頼感がなければなりません。
そうだとすれば、例えば、リベラルを主張の根底に置くならば、自らにダブルスタンダードを許すことは絶対にやってはなりません。新聞が国民の信頼を失っているのは精神において真摯な姿勢が見られないからであり、そのことを若者は見抜いています。今こそ紙面転換が急務。
今、若者が求めているのは「普通の感覚での愛国心」ではないでしょうか。それを、誠実さに裏打ちされた“真のリベラル”の立場で打ちださない限り、若者は新聞に見向きもしません。SNSの世界の方が肌に合うからです。
考えてもいただきたい。今の一般的な新聞論調は、上から目線の、サヨクイデオロギー芬々とした “偽リベラル”であり、そんな姿勢では若者の共感を得ることはできないのではないでしょうか。
何はともあれ、明日からの新聞は、リベラルであれ、保守であれ、「瑞々しい愛国心」を新しい切り口で表現する、創造性豊かな紙面に彩られることを望みたいものです。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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