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2022年2月 4日 (金)

岸田政権のふらつきを危惧する!

 826回目ブログです

2022241

 “冬ごもり こらえこらえて 一時に 花咲きみてる 春はくるらし”
                野村望東尼(のむらもとに)

 冬の間は引きこもっていて、厳しい寒さをひたすらじっとこらえていると、一気に花が咲き満ちる春が来るものだ。人生もこれと同である…。

 野村望東尼は、幕末、高杉晋作を匿うなど勤王の志士の活躍を陰で支えた女流歌人。上の和歌は、困難に立ち向かう若き志士達を励ましたものかも知れません。

 さて、岸田政権は、政権発足後のいわゆる「ハネムーン」期間が過ぎ、徐々にその姿を見せつつありますが、そのカラーは曖昧模糊不透明なままでではないでしょうか。果してコロナ禍で苦しむ国民に安心感を与えるとともに、きな臭い東アジア情勢にきちんと対応するだけのりーダーシップを発揮しようとしているのかどうか、具体的に見ていきたいと思います。

  12月6日、政権発足後2ヶ月経過した折、岸田首相は新たな変異株「オミクロン株」の広がりを踏まえて「ワクチンの接種間隔をできる限り前倒しする」と表明しました。ところが翌7日、後藤厚生労働相は「現状で全国民を対象に接種間隔の前倒しを一律に行うことは困難」と説明。それを受け、翌9日岸田首相は、米ファイザー社との供給契約に関し「スケジュールの前倒しについて交渉を進めている」と軌道修正。何と、スケジュールが見通せていないことが明らかになるとともに、政権内のコミュニケーションがばらばらであることが露呈しました。

 【新型コロナワクチンの接種状況】(令和4年1月31日現在)

   1回以上接種者   101,443,165  80.1%
   2回接種完了者   99,757,353  78.8%
   3回接種完了者   4,081,217      3.2%

となっており、3回目の接種が大幅に遅れ、もたついていることは明白です。1月末の接種目標である1470万人に対して408万人と3割弱、国民全体の接種率は何と3.2%という体たらく。すでに1回目接種、2回目接種の知見があるにかかわらずですから、新政権の「対コロナ体制の確立」および「ワクチン・飲み薬の確保」において著しい怠慢があったと言われても反論できないのではないでしょうか。“too late”!

  北朝鮮のミサイル発射が相次いでいます。
    ・1月 5日 1発
    ・1月11日 1発
    ・1月14日 1発
    ・1月17日 2発
    ・1月27日  ?
    ・1月30日 1発
連日の発射に不気味さを感じます。1月30日発射されたミサイルは、最高高度約2,000km程度で30分程度、約800km程度飛翔し、落下したのは日本海の我が国の排他的経済水域外と推定。通常より角度を上げて高く打ち上げ、迎撃が難しい「ロフテッド軌道」で打ち上げられた中距離以上の弾道ミサイルであったと考えられています。

 岸田総理大臣は「弾道ミサイルの発射は国連決議違反であり、これは抗議も致しましたし、大変“遺憾”なことであると思っております」 と述べています。またしても遺憾砲の連発です。

 【遺憾】とは、「残念なこと」「 (相手のしたことに対して)不満な様子」「困ったと思うこと」という意味です。岸田総理は、おそらくは、北朝鮮の振る舞いに対して多少不満があり、困ったことをしてくれるなよという、心が揺れ動いた位の心境でしょうか。言葉遣いに甘い~甘い姿勢が如実に表れていると思わざるを得ません。

 しかし、これで良いのでしょうか。国を根底から揺るがすような有事の際には、品位云々ではなく、全身全霊を傾け、なりふり構わぬ厳しい言動でもって国難突破に努めるべきではないでしょうか。“遺憾”(イカン/いかん)なんて言葉では、せせら笑いでお仕舞いにされるだけだと言わざるを得ません。

  2月1日、衆議院は本会議で、中国の、新疆ウイグル自治区、チベット、南モンゴル、香港などにおける近年の人権侵害を国際社会の脅威とみなす決議を賛成多数で採択しました。しかしながら、よく見れば、当初の案とは比べ物にならない代物に改定・改悪されていますので、それをご覧ください。

 <タイトル>
 当初案:新疆ウイグル等における深刻な人権侵害に対する非難決議
 決 議:新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議
 <タイトルや文面に>
 決 議「中国」を一切明示していない。

 まず、「中国」文言は一切ないため、中国を非難したことになっていません。さらに、「人権侵害」⇒ 「人権状況」いう極めて穏やかな文言に修正、「非難決議」⇒「決議」に変更し、人権侵害に対して非難していないことになりました。

 これは、与党の自民党・公明党執行部によって骨抜きされたものであり、これこそ改悪そのものと言わねばなりません。自民党内の媚中派や、全てが媚中派である公明党(≒創価学会)に配慮し、中国に忖度したものであり、これこそ、親中三羽烏(岸田首相・林外相・茂木幹事長)による岸田外交の真骨頂と言うべきかも知れません。

 これに対して、共産党の小池書記局長は、「『深刻な人権侵害』に対する非難決議から大幅に後退、『非難』という文言すら削除、『人権侵害』は人権状況へと修正、なんでわざわざ『中国』という国名を外すのか」と、政府・自民党・公明党の弱腰を厳しく批判しています。

 日本共産党から弱腰といわれる岸田自民党か取りまとめ提案した「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」は、果して苛斂誅求の弾圧政策を是とする中国に些かでも影響を与えると考えられるでしょうか。決議は穏やかな文言ばかりであり、ましてや「中国」を名指しさえしていないのですから、蛙の面に水ではないかと思います。

 冬季北京五輪が終われば、参議院でも決義されるでしょうが、願わくば、「参議院の良識」を発揮していただき、中国・人権侵害・非難決議の文言に戻した参議院決議に修正されることを望みます。

 最後に。今、菅義偉前首相に対する「再評価」の声があがっています。ワクチン100万人接種を怒涛の勢いで実現した実行力、1年364日休まず、ふらふらせず仕事一直線、懸命に国民のために力を尽くしたことが今になって見直されているのです。

 巷間、安倍首相には国家観が、菅首相には実行力が、岸田首相には何があるのだろうか、と問われています。岸田首相にはぜひ、明快な答えを出してほしいものです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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