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2022年3月11日 (金)

ウクライナ・ゼレンスキー大統領の言葉!

 831回目ブログです

20223111

    “君者舟也、庶人者水也”(荀子)
     (君なる者は舟なり、庶人なる者は水なり)

 為政者が船を浮かべることが出来るのは、水に支えられているからであり、水に例えられる人民の信頼をかちとるためには、為政者は何をすれば良いのでしょうか。それについて『荀子』は、つぎの三項目をあげています。

  (1) 公平な政治、人民のための政治を心がける
  (2) 社会の規範を尊重し、すぐれた人物に敬意をはらう
  (3) 賢者を登用し、有能な人物に仕事をまかせる

 さて、ロシアウクライナの戦争は、ロシア側の見通しでは2~3日で片が付くと思われていたようですが、ウクライナのゼレンスキー大統領の予想外の抵抗で決着はつきそうにありません。

 この戦争で、ロシアの侵略がますます露骨になり、ウクライナの一般市民の被害は、インフラはもとより、建物の倒壊も著しく、多数の死傷者、国外への避難民、それも、老若男女200万人超、など悲惨な状況を露呈しています。

 これに対して、ウクライナの軍と国民は打倒ロシア軍の意気を高く持ち懸命に防戦に努めています。ご存じのように、ロシアのプーチン大統領はKGB出身、独裁専制の暴君、したがって、ロシアは情報戦、暗殺、スパイでは際立った力を有しており、ウクライナ政府要人の暗殺を含めた切り崩しを図っているものと思われます。

 そんな中で、ウクライナのゼレンスキー大統領は、前歴がコメディアンとは思えないほどの祖国を守る新たなリーダーの姿を見せつけています。ご覧ください。

 【ゼレンスキー大統領の言葉】

 (戦争回避のためプーチン大統領に電話したが、応じてもらえず)
  「冷戦も、熱い戦争も、ハイブリッド戦争もいらない」
  「戦争はいらない、しかしもしウクライナが攻撃されるなら、
   自分たちは国を守る」

 国土や自由が奪われようとすれば防衛する」(2/24)

 「私たちは、自由のために戦い続けます。
   たとえ子供がシェルターの中で生まれても」(2/27)

 (ハリコフの州庁舎が立つ「自由」という名の広場への攻撃に)
  「これは自由の代償です」
  「我々は自由のために戦っている」
  「我々は子どもたちが生き続けることを見届けたい」(3/1)

 (全ロシア人へのメッセージ)
  「戦争はあらゆる人々から安全を奪う。
   それによって最も犠牲になるのは誰だろう。人々だ。
   最も戦争を望まないのは誰だろう。人々だ。
   戦争を止められるのは誰だろう。人々だ。
   ロシア人は戦争を欲しているのだろうか? 
   その答えはあなたたちにかかっている(2/24)

 (EU首脳への支援呼びかけ)
  「我々は、欧州の理想のために死んでいく」
  「生きて会えるのはこれが最後かもしれない」(2/24)

 (米国から国外脱出の提案を受けたにもかかわらず断った際)
  「戦闘が続いている。
   必要なのは弾薬であり(避難のための)乗り物ではない」

 (キエフ市街地で閣僚などと共に自撮りした動画を配信)
  我々はここにいる。国を守る
  「軍に武器を捨てるよう命令したとの情報がネットで流れているが、
   フェイクニュースだ。武器を捨てることはない。我々の土地、国、
   子どもたちを守る」

 「国家の未来はすべて市民にかかっている。
   戦闘経験があり、国の防衛に関われる人は来なくてはいけない」

 「わたし達は確実に自分たちの守るべきものが何かを知っている。
   我々は、間違いなく勝利する。
   私たちの兵士一人一人に栄光を。そしてウクライナに栄光を

 ゼレンスキー大統領の素晴らしい言葉に敬意を表したいと思います。悲壮な決意、決死の覚悟で国を守らんとするゼレンスキー大統領にウクライナ国民の91%がその行動を支持すると答えており、大統領への国民の信頼はゆるぎないと思われます。

 そうは言っても、プーチン大統領のゼレンスキー大統領への追求は半端ではありません。2018年、プーチン大統領への厳しい批判で知られるロシア人ジャーナリストを亡命先のウクライナの首都キエフで暗殺、英国に亡命したロシア人元スパイの毒殺未遂、ロシア国内でも殺害事件多発。2017年、プーチン政権を批判してウクライナに亡命していた元ロシア下院議員が白昼にキエフで殺害、神経剤を使った在英ロシア人元スパイの毒殺未遂事件も発生。など、独裁者には人を殺戮することに罪悪感はないと言わねばなりません。

 ゼレンスキー大統領が、4~5月にかけ、少なくとも3度の暗殺危機を乗り越えたと英タイムズ紙が報道。ロシアの民間軍事会社の傭兵とロシアと緊密な同盟関係にあるチェチェン共和国の特殊部隊が、同大統領を暗殺するためウクライナに送り込まれ、3度暗殺を試みたがいずれも失敗に終わったと伝えています。

 ウクライナのゼレンスキー大統領には身の安全に万全の留意を望むばかりです。

 最後に。ウクライナがなぜ祖国防衛に失敗し、ロシアの侵略を許したのでしょうか。それは、下記の通りです。

 ● 核兵器を放棄した。(1994)
 ● 100万人の軍隊を5分の1の20万人に縮小した。
 ● 大国の対立に巻き込まれないよう軍事同盟にも一切加盟せず。

 1994年に核兵器の放棄(非核化)と引き換えに、ウクライナの独立や領土の保全、安全の保証を約した『ブダペスト覚書』を、露・米・英・ウクライナ間の4か国で締結しています。

 しかし、覚書の当事者であるロシアによってウクライナは侵略されているのです。それも、核兵器を恫喝の兵器としてプーチン自らが掲げるありさま。他国との約束、条約がいかに脆いものかを痛感します。

 いずれにせよ、我が国も、ウクライナの具体的な事例を、深刻なこととして学ばねばなりません。結論は、自国の防衛は、まずは自国で対処する覚悟を持つこと、そして、防衛力の時勢にあった整備拡大、同盟の実をあげること、ではないでしょうか

 ウクライナのことは他人事ではありません。

 みなさんはどのように考えられますか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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コメント

欧州最大の工業国のドイツは原発を廃止した後のエネルギー源をフランスの原発とロシアの天然ガスに依存するという大胆な政策を打ち出し、中国市場とも深く関与し、アメリカが要求する軍事費増も拒むという不可解な政策を続けてきた。それが今回のプーチンが「戦争」と称しないウクライナ侵略によって目覚めさせられたのか、軍事費の大幅増と大規模な防衛力強化計画を発表した。膨大な核兵器を有する軍事大国の指導者が「核使用」を匂わせながら侵略している現実に、第二次大戦の敗戦で打ちひしがれてきたドイツもようやく目を覚ましたようだ。冷戦時代は唯一の超大国アメリカの力がNATO諸国を守ってきたが、核の超大国が米露中の三つ巴が明らかとなった今、同盟を組んでいる国に起きた戦争でも米露中が直接核戦争にまでエスカレートしそうな問題に介入する可能性は考えられない。とすれば米露中の三国は他の二国と直接対決しない限り、核を持たない国への武力干渉はしやすくなったということだろう。米露中のように大量に核を保有する国は防衛用だけでなく、周辺地域への影響力の強化を目指している、すなわち地域の警察国家を目指していることは間違いない。しかしイギリス、フランス、そしてインドやイスラエルが核をが保有する理由は100%自衛用といってもいいのではないか。イランや北朝鮮の場合も彼らにとっては最強の自衛手段なのかもしれない。日本だけが敗戦痴呆症から抜け出せずにいる。身近なところで朝鮮戦争、ベトナム戦争を経験し、中国や北朝鮮の核開発を眼前に見ながら、政府も国民も見て見ないふりを続け、メディアは反日報道で日本国民を「亡国の民」へと追いやってきた。「侵略されても戦うな、逃げろ」。かつて非武装中立を喧伝していた社会党首の言葉を、21世紀の今、大阪維新の会の設立者が口にしている。

投稿: 齋藤仁 | 2022年3月11日 (金) 08時59分

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