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2022年4月 1日 (金)

戦争・侵略・侵攻・侵入…ロシア対ウクライナの実態は!

 834回目ブログです

2022411

   春夜喜雨(春夜、雨を喜ぶ) 杜甫

  好雨知時節(好雨 時節を知り)
  当春乃発生(春に当りて 乃ち発生す)
  随風潜入夜(風に随いて 潜かに夜に入り)
  潤物細無声(物を潤して 細やかにして声無し)
  野径雲倶黒(野径 雲は倶に黒く)
  江船火独明(江船 火は独り明らかなり)
  暁看紅湿処(暁に 紅の湿おう処を看れば)
  花重錦官城(花は 錦官城に重からん)

 恵みの雨は降るべき季節を知り、春になるやここぞと降り始めて万物の成長を促す。雨は風に吹かれつつ、人知れず夜も降り続き、ひっそりと音も立てずに万物を潤す。野の小道も雲も闇に埋もれ、長江を行き交う船の灯りだけが赤々と輝く。雨の一夜が明けて、赤い花が湿っているところを見ると、この成都の町・錦官城のいたるところに、さぞかし雨に濡れ重たげな春の花を見ることだろう…。

 しとしとと降り続く春の雨。こんな時は詩聖と言われた杜甫の名詩「春夜喜雨(春夜、雨を喜ぶ)を鑑賞してみてはいかがでしょう。

 とは言いながら、遠くのヨーロッパ大陸では、ロシアとウクライナで、干戈を交えた(たて&ほこ、戦争のこと)状態、いや、化学兵器、生物兵器、核兵器までもが取りざたされる戦争が行われている今日、心から情趣に浸る気持ちにはなれません。

 私たちは、ロシアとウクライナの戦闘状況に関しては、マスメディアやSNSから流れる情報以外に知るすべを持ちませんが、それを見るにつけてもロシアの大掛かりな爆撃にと、それに対抗するウクライナの士気の高さに目を奪われます。

 しかしながら、わが国のマスコミは、この紛争をどう位置付けているのでしょうか。2月24日から始まったこの戦いの名称として、日本では「ロシアによるウクライナの侵攻」あるいは「軍事侵攻」という表現が一般的になっていますが、言葉の意味として、とりあえず、手元の辞書を引いてみましょう。

  「戦争」国家が他国に対し、自己の目的を達するために武力を
      行使する闘争状態。

  「侵略」国に攻め入って土地や財物を奪い取ること。
      武力によって、他国の主権を侵害すること。

  「侵攻」他国や他の領地に攻め込むこと。

  「侵入」他の領分を侵して強引に入り込むこと。

 現在、ロシアとウクライナの間で争われている状態は、ロシアのウクライナ領土一部占領、主権の侵害、大量破壊、大量殺害、女子や子どもを含む非戦闘員への無差別攻撃と殺害、250万人を超える難民、などを考えれば…。

        戦争 > 侵略 > 侵攻 > 侵入

 日本語でのイメージでは、本来は「戦争」という表現が正しいのではないでしょうか。それにもかかわらず、マスメディアでは、未だに「ロシアによるウクライナの侵攻」という表現を使用していることには納得がいきません。最低限でも「侵略」、あるいは「戦争」という言葉を使い、実態を正しく、厳しく認識する必要があるのではないでしょうか。

 欧米のメディアによる表現を、ジャーナリストの今井佐緒里氏の参考資料から引用します。

 ニューヨーク・タイムズ。「Russia-Ukraine War」(露ウ戦争)
 ワシントン・ポスト。「WAR IN UKRAINE」(ウクライナでの戦争)
 米CNN。「Russia invades Ukraine」(ロシアのウクライナ侵略)
 英BBC公共放送。「War in Ukraine」(ウクライナでの戦争)
 英ザ・タイムズ。「Russia-Ukraine war」(露ウ戦争)
 英フィナンシャル・タイムズ。「War in Ukraine」
                                              (ウクライナでの戦争)
 英ガーディアン。「Russia-Ukraine war」(露ウ戦争)
 仏公共放送 France Info。「Guerre en Ukraine」
                      (ウクライナでの戦争。Guerre/ゲールとは戦争の意)
 仏『ル・モンド』。「Guerre en Ukraine」(ウクライナでの戦争)

 とりあえず、英・仏・米のメディアで使われている言葉を記しましたが、すべてが、「侵略」「戦争」という言葉であり、わが国のように、甘い言葉は全くありません。

 ウクライナの問題は遠い~遠いヨーロッパ地域の他人事だと考えるのは間違いではないでしょうか。考えてもみましょう、わが国は「北方領土」(歯舞群島・色丹島・国後島・択捉島)を、ロシア(旧ソ連)に略奪されたままになっており、現在においても、ロシアと厳しく対峙しているのですから。

 そのためにも、あの狡猾なロシアのことであり、容易なことで北方領土を返還してくれないことを覚悟し、辛抱強くロシアの弱体化、脆弱化を待ち、一瞬の心の隙に入り込み返還の実をあげることしか道はないように思えます。

 と考えれば、南の尖閣諸島への防衛力の大幅強化とともに、北方への防衛力充実化も早急に対処しなければなりません。そして、基本的には自主防衛の実をあげる体制を志向すべきではないでしょうか。

 それにしても、政界リーダーの国家防衛への認識があまりにも軽いことに、大いなる危惧を覚えます。ごらんください。2月24日のロシアによるウクライナ侵略開始を聞いて政界の重鎮が発した言葉を…。

 プーチンのようなリーダーが出てきても、侵略されないために
  憲法9条があるんだ』        (共産党の志位和夫委員長)

 『日本の領土が侵略されたら、米軍があらゆる能力で守ってくれる
                      (林芳正外務大臣)

 『日米同盟で今後も国民の命や暮らしを守れると信じております
                    (岸田文雄総理大臣)

 この段に及んでも、9条」「米軍」「日米同盟、これに日本人すべての命をゆだねる発言をするとは。主体的精神も危機意識の欠片もない愚かな発言であることを指摘したいと思います。まずは、岸田総理、林外相、志位委員長含め、全国民の覚醒を求めるべきではないでしょうか。

 福沢諭吉は強靭な主体的精神を「独立自尊」と呼びました。国家のリーダーには、この言葉を心に刻み付けていただきたいものです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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コメント

日本共産党の発言は「信じない・聞き流す」のがベスト。その理由はイデオロギー政党は「時勢に応じて党利党略で政策や発言を変える」ことはソ連や中共、北朝鮮などをみればわかるから。憲法9条成立時に反対したのも共産党、護憲を叫ぶのも共産党。しかし自民党もそれを笑えぬ。岸田首相・林外相という「決断力ゼロの過保護おぼっちゃま」に国家の命運を預けて国民も保守の「国会」議員も是とするのか。アメリカにとって与しやすく、中国にとって牛耳りやすい「サムライ日本」。語るに言葉なし。それにしても日中議連のトップにいた林外相が「いざとなったらアメリカが守ってくれる」と語る「いざ」の相手は中国だという自覚のないことに驚く。「学歴は知恵を生まず創らず」か。政権のトップに立とうという政治家には「山寺での自炊と座禅」修行を必修科目にすべきか。

投稿: 齋藤仁 | 2022年4月 3日 (日) 09時33分

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