ロシア・プーチン・ジェノサイド!
837回目ブログです
『手鞠をよめる』 良寛
(長歌)
“冬籠り 春さり来れば 飯乞ふと 草の庵を 立ち出でて
里に行けば 玉鉾の 道の巷に 子どもらが 今を春べと 手毬つく
一二三四五六七(ひふみよいむな) 汝がつけば 吾はうたひ 吾がつけば
汝はうたひ つきて歌ひて 霞立つ 長き春日を 暮らしつるかも”
(反歌)
“霞立つ 長き春日を 子供らと 手毬つきつつ 今日も暮らしつ”
[長歌] 春になり暖くなったので、食物の施しを乞うとて、草庵を出て、里に行くと、道の辻で、子供たちが、今は春だというばかりに、手鞠をついて遊んでいる。「一二三四五六七(ひふみよいむな)」と、おまえたちが鞠をつけば、私は歌を歌い、私がつけば、おまえたちは歌い、ついては歌って、霞の立つ春の長い一日を、日が暮れるまで過ごしてしまった。
[反歌] 霞の立つ春の長い一日を、子供たちと手鞠をつきながら、今日も過ごしてしまった。
良寛和尚の「手鞠をよめる」歌。良寛さんの子供らと遊ぶのどかな一日、これぞ穏やかな真の平和というものでしょうが、今、行われているロシアのウクライナ侵略戦争は、それとは真逆であり、虐殺、極悪非道、阿鼻叫喚の様子を見せています。
ロシア・プーチンのこの度の侵略戦争の目的は何であるのかについて、2月24日の開戦直後にロシア国営タス通信が「誤配」した、『勝利宣言』(ロシアは歴史的完全性を回復する)と題する文書にある、反西側・大ロシア主義の世界観を見てみましょう。
『ウクライナの解放は、
・大ロシア人(=ロシア)
・白ロシア人(=ベラルーシ)
・小ロシア人(=ウクライナ)
からなるロシア世界の分裂を終結させ、キエフ大公国をルーツ
とする兄弟民族の団結を復活させる歴史的責任を担ったものである』
これが事実だとすれば、ロシアによるウクライナ侵略は、確信犯的な国際秩序への挑戦であり、あからさまな“大ロシア主義”の発露だと言えるのではないでしょうか。更に突き詰めれば、ロシアの歴史上最大版図であった各国への恫喝と睨みを利かすことでもあります。したがって、ウクライナへの侵略は、プーチンにとっては“聖戦”を意味するものであり、何をやってもかまわず、まさに正気の沙汰ではないことになります。
バイデン米大統領は4月12日、ロシアのウクライナ侵攻が「ジェノサイド(集団虐殺)」に該当するとの見方を初めて示しました。これまでは、戦争犯罪と呼んでおり、ジェノサイドという言葉には慎重でしたが、ロシア軍撤退後に発見されたウクライナ国民の大量虐殺を見れば、ジェノサイドと呼ばざるを得なくなったものと思われます。
キーウ攻略に大失敗したロシア軍には、残虐性で有名な「チェチェン軍」が配置され、彼らが民間人の大虐殺を行ったと見られています。チェチェン軍を動員したプーチンはその責を負わねばなりません。
ウクライナの地方・中央当局は、戦争犯罪疑惑への広範な捜査に乗り出しており、ロシアと同国兵に確実に責任を負わせるべく、国際法廷の場で説得するための強力な証拠固めを進めています。
監視カメラの映像や衛星画像の解析にあたっているほか、顔認証ソフトウエアといった先端の科学捜査技術と現場での地道な捜査を組み合わせて犯人捜しを行っていると報道されています。(4/13 Wall Street Journal)
いま、現実に大量虐殺が行われていますが、ロシア、プーチンは「フェイク写真」だと言い逃れをするのが常であり、ジェノサイドに認定されるには、確実な証拠が必須です。
ジェノサイドと言えば、第2次世界大戦のホロコーストでユダヤ人600万人が殺されたことです。国連のジェノサイド条約は、「国民的、民族的、人種的または宗教的集団の全部または一部を破壊する意図をもって」、次のいずれかをジェノサイドと規定。
1.集団の構成員を殺すこと
2.集団の構成員に対して重大な肉体的または精神的な危害を加えること
3.全部または一部の肉体の破壊をもたらすために、意図された生活条件
を集団に故意に課すこと
4.集団内における出生の防止を意図する措置を課すこと
5.集団の児童を他の集団に強制的に移すこと
殺戮者プーチン・ロシアを、この5項目のひとつでも該当させれば良いのですが、それには明確な証拠が必要であり、その一部をプーチンの言動から拾って見ましょう。
・「ウクライナには実体がなく、それゆえに生存権はない」
(…ウクライナの独立国家としての歴史的存在を否定)
・「ウクライナはナチス国家だ」
(…という理由で、ウクライナの皆殺しを狙う)
・「ウクライナ人は少なくとも1世代は再教育が必要で、それにより
必然的に脱ウクライナ化がなされる」
(…ウクライナ人を消極的ナチスとみなし、有罪だと認識する)
さて、ロシアがなぜこのような残虐な国家になってしまっているのでしょうか、それには、宗教哲学にありそうです。キリスト教(正教)は原始キリスト教の流れを継承しているために「政教一致」であり、ロシアとウクライナは次のようになっています。
【ロシア=ロシア正教】 対立 【ウクライナ=ウクライナ正教】
プーチン氏はロシア正教との結びつきが固く、3月14日ロシア正教のキリル主教は、ロシアのウクライナ侵攻を全面的に支持すると発言しました。大虐殺を肯定するなんて、政教一致ならば仕方がないのでしょうか。
プーチン大統領の体質、ロシア正教の体質に嫌気が指したのでしょう、ハイテク分野の人材、科学者、銀行家、医師など、大量の知識人が出国しています。(2012年のプーチン大統領3期目以降、ロシアを離れる人が増加していることにご注目ください)
【ロシア出国者】
2005年: 6万9,798人
2010年: 3万3,578人
2011年: 3万6,774人
2012年:12万2,751人(プーチン大統領3期目)
2013年:18万6,382人
2014年:31万0,496人
2015年:35万3,233人
2016年:31万3,210人
2017年:37万7,155人
2018年:44万0,083人
2019年:41万6,131人
2020年:48万7,672人
(4/11 Wall Street Journal)
プーチン大統領の圧政、国情のあり方への不満から、年間50万人もの知識人が出国とは問題が大きすぎるように思えてなりません。
わが国も、ロシアへの対処に万全を期さねばならないと考えます。果断なスピードが求められており、岸田総理の対処では余りにも遅すぎるのではないでしょうか。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
政体や政権の質の如何に関わらず政府として守るべき条件が二つある。一つは外敵から国家・国民の生命・財産を守る防衛能力の確保、もう一つは国内に立法・司法・行政の三権の独立が担保されていることである。世界には三権分立の成文法をかかげながら実質的には政府が三権を一手に握っている国や、影の組織を使って反政府の言動を圧殺している国が多い。中には法治国家のカタチにするために国内法に超越する特別法を作って指導者の意のままに国家を運営している国もある。人間は動物と違い、いかなる環境にあっても「精神の自由」を求める生き物である。モノに満たされれば檻の中にあっても生きられる動物とはそこが大きく異なっている。現代版専制国家は、外敵から守られ、モノさえ満たされれば、どんなに管理・監視されようと国民は幸せだと本気で信じているのかもしれない。スターリンも毛沢東も、その後継者たちも。しかしまた三権分立を守り、少数派の意見にも耳を傾けるが、外敵にも耳を傾ける「善良過ぎる」指導者も国民にとって困った存在である。なぜなら侵略は敵国の都合のいい時に突然起きるからである。侵略されたら独裁者でも守ってくれる「命」も「モノ」も一挙に失ってしまう。平和時に防衛力を強化しない、外敵から見れば隙だらけの指導者も別の意味で国民にとって迷惑な存在である。
投稿: 齋藤仁 | 2022年4月22日 (金) 08時51分