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2022年5月 6日 (金)

独裁・専制・権威主義 … 中国とロシアの限界!

 839回目ブログです

2022561

 “かぎろひも にほふばかりに 岩間照り 尾照り峰照り つつじ花咲く”
                 和田厳足(幕末・熊本藩士)

 立つ陽炎も色美しく見えるほどに、岩のはざまにも、山の尾根にも峰の上にも、色を映しつつ、つつじの花が咲いている…。

 近所の家の垣根に躑躅(つつじ)の花が咲いています。赤、白、ピンク、全面おなじ色のところもあれば、赤色、白色のツートーンカラーもあり。毎年、豊かな色合いを見せてくれる躑躅は、4月から5月にかけて目の保養になります。しばらくすると、皐月(さつき)が満開を迎え、晴れ渡った空をバックに眺めれば一層伸びやかな気分にしてくれるのではないでしょうか。

 さて、このような時、国際情勢は混沌としており、連日のごとくロシアの対ウクライナ侵略戦争のニュースばかりを目にしていますが、忘れてはならないのが中国(中華人民民共和国)の現状です。

 今、中国では、上海をはじめとする大都市でコロナ対策のための「ロックダウン」(都市封鎖)が行われており、大問題を生じておりますので、実態について見ていきたいと思います。

 上海に続き北京も一部ロックダウン、中国全土で1億6500万人に影響

 北京と上海が新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)に入っており、上海の住民は疲弊し、北京では封鎖拡大への恐怖に火がついている。
 上海では、全市的なロックダウンは数週間に及び、人口2500万人が、自宅や居住地区から出られない状況にある。北京も一部を対象にロックダウンを開始。
 中国全土では少なくとも27都市で部分的、全市的なロックダウンが実施され、CNNの計算によれば、最大で1億6500万人が影響を受けている。
             (2022/04/29 CNN一部抜粋)

 中国では、武漢ウイルスの発生を都市封鎖によって全面解決したとの奇妙な自信から、それを自画自賛、現在も厳格な「ゼロコロナ戦略」を続けています。しかし、その後、新型コロナウイルスは、アルファ株からデルタ株へ、そして感染力の高いオミクロン株などへと変異株が猛威を振るう中、世界の対応に変化が起きていますが、中国は、依然として「ゼロコロナ戦略」に固執し続けており、その戦略を維持することに疑問符が突き付けられています。

 上海は、人口2500万人がロックダウンの影響で機能不全状態に陥り、混乱が拡大。住民は、食料の不足、受診困難な医療機関、劣悪な環境の隔離施設、などの情報をSNSで拡散、憤りの声が広がる異例の事態となっていますが、当局は依然として強硬策を講じたままです。

 北京では、一部、居住区からの外出を禁止、学校閉鎖、大手病院の閉鎖、映画館などの娯楽施設なども閉鎖、これを受けて、住民は、ロックダウンが広がることを恐れてパニック買いに走り、スーパーマーケットには長蛇の行列という状況です。

 その他、杭州(人口1220万人)蘇州(同1270万人)ハルビン(同950万人)など20都市以上で部分的、全市的ロックダウンが実施。

 ロックダウンや移動制限の経済的影響ははかり知れず、3月の失業率は21ヶ月ぶりの高さに上昇、自動車メーカーのフォルクスワーゲンやテスラ、アップルのiPhoneを製造するペガトロンなどは操業停止。中国の通貨、人民元は2020年11月以来の水準にまで急落。(CNNより)

 ところで、欧米諸国は「ゼロコロナ」を放棄。新型コロナの消滅は不可能だという前提で、ワクチン開発・接種、治療薬の開発によって“ウイルスと共存・共生しながら社会を正常化していく”方針の「ウイズコロナ」に転換しました。

 イギリスでは、昨年7月、ジョンソン首相は、集会、飲食店制限の解除、制限措置の大半を撤廃。そして今年2月24日、新型コロナ対策のすべての法的規制を撤廃しました。しかし、「このウイルスはなくならない。そのため、今日は新型コロナに対する勝利宣言できる日ではないが、感染のピークは過ぎて感染者数は減少している」とも発言。英国は新型コロナ感染再拡大や新たな変異株への備えをしつつ「日常への移行」を完了すると宣言しました。

 わが国も、ワクチン接種で重症化防止措置を取れば、あとは手洗い、消毒、マスク着用で感染を防止し、社会活動、経済活動を平時に戻していくという「ウィズコロナ」の方向性に向かっています。(昨年3月5日、小ブログで、立憲民主党の『ゼロコロナ戦略』は不毛なゼロリスク信仰だ!として厳しく批判しております。)

 ところで、欧米が「ウィズコロナ」に上手く転換したことを参考にして、なぜ、中国は今も不毛な「ゼロコロナ」に固執しようとするのでしょうか。(5/3 diamond online上久保教授論稿を参照)

  欧米諸国や日本など感染封じ込めに失敗したかにみえた自由民主主義諸国と対比して、中国の権威主義的な政治体制の優位性を強く主張し「感染が広がる他の国に支援する用意がある」と強烈にアピールした手前引き下がれない。

  中国のような独裁・専制・権威主義的体制は、指導者は絶対に間違うことがないという「無謬(むびゅう)性」を前提としている。指導者は常に正しく、常に勝利し国民を導いていく。これが、指導者の「権威」と「権力」の基盤である。

  権威主義的体制では、自由民主主義体制では当たり前に行われる、国民の声を聴いて妥協し、政策を修正するということは、それ自体が権威を揺るがすことになるため絶対に認められない

 今、ロシアのウクライナ侵略戦争が泥沼化しています。ロシアのプーチン大統領は3~5日で完全勝利するつもりで侵略したと言われていますが、ウクライナの国家、国民をあげての反撃に決着はつかず長期戦へともつれ込んでいるように思えます。

 突き詰めて考えれば、ロシア・プーチン大統領が「戦争遂行に失敗した」という形では、戦争を終えられないからだとも言えます。なぜならば、ロシアも、中国と同じ、独裁・専制・権威主義体制、指導者は絶対に間違うことがないという「無謬(むびゅう)性」を前提としており、失敗を認めることは、プーチン政権の「権威」と「正統性」を失わせることになるからです。

 中華人民共和国も、ロシア共和国(旧ソ連)も、独裁・専制・権威主義の体制では同じと見るべきかもしれません。そうだとすれば、ロシアのウクライナ侵略戦争の終着点は、なかなか見通せないのではないでしょうか。

 最後に。わが国は、中国やロシアのような独裁・専制・権威主義体制の国家に対して余りにも鈍感であり、いかなる局面に於いても厳しい対応をしておかなければならないと考えます。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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コメント

COVID19すなわちコロナウィルス2019と名づけられた新型ウィルスは中国政府が発表した当初より半年も前の2019年夏にすでに武漢研究所周辺で感染例が出ていたことを世界の研究者は知っている。ただWHOの精密な調査を中国政府が隠蔽と拒否を続けているために「犯人」を確定できない。そのため言及しないだけ。SARSでもMERSでも発症例から短期間で原因が究明されてきたが、今回はWHOも中国当局も世界が納得する解明をしていない。アメリカで30年以上も防疫のトップにあるファウチ博士も未だに「このウィルスがいつ終息するかわからない」と発言している。2020年初頭に武漢ウィルスを世界が知った時すでに世界の名だたる専門家が「このウィルスはいつ終わるかわからない。世界中を自由に往来できた今までの生活は一変するだろう」と断言していた。これは従来の感染症と違う「人為的なウィルス」であるため、2年ぐらいで終息する自然発生のウィルスとは違うことを彼らが知っていたことを意味する。もちろん発症させた中国当局は自然界のウィルスに手を加えた者であることを知っている。であるがゆえに「いつ終息するか確定できない人為的なウィルスとの共存は危険だ」と考えて完全な抑え込み・都市封鎖を行っている。小生はそうみている。中国・ロシアの全体主義国家と欧米の自由主義国家との競争についていえば、短期的な武力闘争では全体主義国が勝利できても長期的な戦争になると自由主義国に勝てないと断言できる。スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクのような頭脳を持つ人は人種を問わず存在するが、その発想力を生かす社会は全体主義国家に存在しない。自由主主義・資本主義の社会は意欲ある人に対して最大限の報酬をもたらす、その分、所得格差も拡大するが。

投稿: 齋藤仁 | 2022年5月 6日 (金) 08時16分

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