音読プリントを読む…徹底反復の効果!
840回目ブログです
“わが宿の 池の藤波 咲きにけり 山ほととぎす いつか来鳴かむ”
詠み人知らず(柿本人麻呂?)
わが家の庭先の、池のほとりの藤の花が見事に咲いた。山ほととぎすは、いつここに来て鳴いてくれるだろうか。早く来て鳴いてほしいものだ…。
ロシア対ウクライナの戦争は、いつ終結するのでしょうか。5月9日のプーチン大統領の対独戦勝記念パレードでの演説に耳を傾けても、戦争を終わらせる雰囲気は見せず、まだまだ続行するように窺えます。
こんな時は、時には身近なものに目を注ぎ、一時の安らぎを得たいものと、読みやすい本に触れてみることにしました。折しも、5月5日は「こどもの日」でもあり、たまには童心に帰るのも良いのかなと思った次第です。
そのきっかけは、読者が感銘を受けた「私の一冊の本」というエッセーが投稿された新聞記事に興味を引いたからに他なりません。エッセーを簡単に要約します。
■ 『大好きな詩で私のリハリビ』 高齢の女性(82歳)
かつて孫がお世話になった陰山先生の徹底反復シリーズ。そのうちの『徹底反復 音読プリント』(小学館)にまさか80歳を超えた私がお世話になるとは思いもしなかった。
数年前から「顎関節症」と言われ、口を大きく開けることができずに困っている。そんなことを施設のお友達に話したら、この本を貸してくださった。この本を毎日音読されていた。
「お口の準備運動」から始まる。北原白秋の詩、草野心平、金子みすゞ、高村光太郎、宮沢賢治…、特に賢治の「雨にもマケズ」と光太郎の「道程」は小学生の頃、弟たちと何度も音読した詩だ。
この本で音読を続けていると口を開けたり喋ったりすることが幾分スムーズになった気がした。そして、頭の回転も速くなってきたような気がする。気のせいだろうか?
4月25日、産経新聞の『ビブリオエッセー』より
(ビブリオとは本のこと)、見事なエッセー。優しく語り掛ける内容、起承転結、流れるよう文体、これが82歳のエッセーとは恐れ入ります。
わたしは早速、この本を2冊(①・② 各冊500円)買い求めました。
陰山先生は教育者として著名。基礎学力向上のためのメソッドの開発をすすめ「百ます計算」「科学実験」「日常生活を見直すチェックシート」など、さまざまな工夫を重ね、大きな成果を上げています。尾道市立土堂小学校校長(公募)、立命館小学校副校長、政府の教育再生会議委員、大阪府教育会委員長などを歴任。
ある雑誌で、陰山英男氏(陰山ラボ代表)と齋藤 孝氏(明治大学教授)の対談が載っていますが、冒頭で、齋藤 孝教授は「小学校一年生の時に言葉というものが好きになれば、国語について一生苦労することがない…」と述べ、陰山英男代表は「当たり前のことにいま頃気づいたのですが、勉強嫌いがいつ生まれるかといったら一年生の時なんですね…」と、お二方とも幼少期の国語教育の果たす役割を述べています。
陰山先生は、こうも述べています。
・「1年生から2年生までは学力は結構上がったり下がったりします。しかし、3年生である程度のレベルに到達すると、6年生までほぼ順位が変わらない。そう考えると、1年生の段階で学力を一定レベルまで高めておけば、3、4年生で躓くことが少なくなります」
・「小学一年生の学習が、人生のレベルを決める。音読をやって計算が速くなるとか、「百ます計算」を続けて社会科の点数が上がる、ということは日常的に経験することです」
・さらに、漢字は特に基本的に大切であり、学年別漢字割り当ては、1年生80字、2年生160字ですが、それぞれ1学期の早期に覚えることが良いとのこと。
・学習意欲のとぼしい子には、音読から学習習慣を。音読は長い物語であっても次々と暗唱してしまうという点で際立ち、子どもたちが予想を越えて伸びるのです。音読は脳を最も活性化させることが実証されています。
・音読プリントの使い方。①毎日、10分続けよう、②レベルにあわせて、好きな作品から、③はじめる前に、お口の準備運動を、④大きな声で、テンポよく、⑤ひとつの作品を繰り返し読もう。
それでは、どのような文章が選ばれているのか見てみましょう。驚くのは、若かりし頃、読んだ有名な作品ばかりだということです。(一部を抜粋)
【初級】 わたしと小鳥とすずと (金子みすゞ)
雨ニモマケズ (宮沢賢治)
俳句 古池や 蛙飛こむ… (松尾芭蕉)
竹取物語(いまはむかし、…)
春暁(春眠、暁を覚えず) (孟浩然)
坊ちゃん (夏目漱石)
【中級】 道程 (高村光太郎)
和歌 白鳥は 哀しからずや… (若山牧水)
蜘蛛の糸 (芥川龍之介)
枕草子 (清少納言)
徒然草 (吉田兼好)
論語(学びて時に之を習う) (孔子)
啓発録(稚心を去る) (橋本左内)
【上級】 薔薇二曲(薔薇ノ木ニ…) (北原白秋)
小景異情(ふるさとは遠き…)(室生犀星)
千曲川旅情の歌 (島崎藤村)
和歌 石走る 垂水の上の… (志貴皇子)
学問のすゝめ (福沢諭吉)
おくのほそ道 (松尾芭蕉)
方丈記 (鴨 長明)
平家物語(祇園精舎の鐘の声…)
孟子(天の試練) (孟子)
取り敢えず、声に出して読んでみました。すべての漢字に「振り仮名」が付いており、読むことには困りません。どれを選んでも名文、リズミカルに音読できます。音読がこんなに気持ちが良いとは思いもよらず、結構楽しめるものです。わたしは別に顎関節症を患っているのではありませんが、脳の活性化にしばらく続けてみたいと考えています。
ご参考までに…。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
多くの示唆に富んだブログを拝見しました。論語塾で進めているものもあり、ある程度効果を実感しています。さっそく子供たちに詩などの音読を取り入れてみます。
投稿: 野﨑 | 2022年5月13日 (金) 11時46分