若者の政治離れを懸念する!
847回目ブログです
“思ふこと いふべき時に いひてこそ 人の心も つらぬきにけれ”
明治天皇御製(明治44年)
思うことを言うべき時に言ってこそ人の心も貫き通すことができるのである…。
7月10日には参議院選挙の投開票がおこなわれ岸田政権の信任が問われることになります。一般的に選挙とは「民意」を問うものであり、この選挙こそが民主主義の根幹をなす制度と言われますが、民意、国民の意思というものが果して選挙に臨んで存在するものかどうか考えてみなければならないのではないでしょうか。
私たちは確かな個人として強い意思を表明しているように思っているのかもしれませんが、よくよく見れば、研ぎ澄まされた教養ある「輿論」(よろん)ではなく、付和雷同的な「世論」(せろん)の風に乗っているのかも知れません。
現在社会を席巻する「多様性」「LGBT」「データ」「実証」「可視化」「説明責任」「SDGs」「クリーンエネルギー」「脱炭素化」「改革」、従来からの「経済成長」、少し前までの「平和」「平等」「民主」「人権」…、これらは、言霊的に社会の空気を支配したものということもできます。
今、時代は「屈折点」に掛かっていると見るならば、わたし達は、国際情勢に敏感でなければならないにもかかわらず、鈍感になってしまっているのは、強い意思の「輿論」を避け、表面的な「世論」にふんわりと乗ってきてしまっているからではないでしょうか。
それを、打開するのは、若者であり、その若者が日本の未来に責任をもって意思表明しているのかどうか、分析してみたいと思います。
投票率は55.9%と戦後3番目に低い記録を出した「昨年10月の衆議院選」を振り返ってみましょう。(Wedge ONLINE・総務省)
【年代別投票率】
10歳代 43.2(%)
20歳代 36.5
30歳代 47.1
40歳代 55.5
50歳代 62.9
60歳代 71.4
70歳代以上 61.9
(全体) (55.9)
10~30歳代が低く、40~70歳代が高い。60歳代が最高投票率。
【若い世代の投票者の割合】
10代 1.7%
20代 6.9%
30代 10.7%
(計) (19.3%)
【シニア世代の投票者の割合】
60代 18.2%
70代以上 28.7%
(計) (46.9%)
若い世代の投票者の割合は、合計して、何と20%以下です。「若もの投票率低下」や「若い世代の政治離れ」がこのまゝ続けば、世の中は、シニア世代、シルバー世代に向けた政策が優遇される “シルバーファースト主義” がわが物顔に横行することに繋がり、将来世代に大きなツケを残すことになるのは間違いありません。
本来は、世代間に亘ったバランスある政策が望まれるにも関わらず一方に偏向することは「多様性」が失われ、社会の「寛容性」も維持できなくなり、ギスギスした世の中を招来してしまうのではないでしょうか。これは民主主義の危機でもあります。
もちろん、若ものの政治離れ防ぐために、地方自治体も手をこまねいているのではなく、いろいろな対策を講じつつあります。例えば、投票率のアップのために。①バスを利用した移動型の期日前投票所の設置(愛知県豊田市)、②市内の高校に移動型期日前投票所を設置(茨城県日立市)、③市内の高校生に選挙に従事してもらう取り組み(千葉県富里市)、④インターネット投票を目玉に(茨城県つくば市)、など。
「インターネット投票」などの試みは注目に値するのではないでしょうか。
さて、わが国の若者は、自国の社会と、政治についてどのように思っているのでしょうか。内閣府の調査『令和元年版 子供·若者白書 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~』から引用します。
【自国の社会に満足していますか?】 単位:%
満足/ドチラカトイエバマンゾク 不満/ドチラカトイエバフマン
日 本 38.8 44.1
米 国 57.8 35.7
英 国 56.9 34.3
ドイツ 68.9 28.5
【自国の政治にどのくらい関心がありますか?】 単位:%
ある/ドチラカトイエバアル ない/ドチラカトイエバナイ
日 本 43.5 47.0
米 国 64.9 29.4
英 国 58.9 36.4
ドイツ 70.6 27.5
若者の多くは日本社会に不満を持っているようですが、政治への関心はほぼ同程度ですから、まんざら政治に関心を失っていると言うのは即断し過ぎではないでしょうか。彼ら若者は、国家の将来、未来に対して絶望などしていなくて、意見を出す手がかりを求めてじっと静観しているように思えます。
若者たちに問いたいと思います。現下の国際情勢を眺め、独裁・専制・権威主義・ジェノサイドを志向する国家を認めますか。そして、残念ながら、わが国を取り巻く近隣諸国にはそのような国々が多く存在していることを厳しく認識しなければならないのではないでしょうか。
かつて、英国のウィンストン・チャーチル首相は、
「民主主義は最悪の政治形態と言っていい。ただし、これまで歴史上、
試されてきたそれ以外のあらゆる政治形態を除けば…。」
と述べました。民主主義には欠点もありますが、それに勝る政治形態はないと言えるのではないでしょうか。
日本はアジア最古の民主主義国として民主主義を守り、育む責務があります。
そのためには、若い諸君が、来る7月10日の参議院議員選挙において、みずからの意思で投票する「1票」が、若い世代の将来と未来を力強く創造していく機会となることを心から望んでやみません。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
| 固定リンク
コメント