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2022年9月23日 (金)

岸田政権の終わり?…青木の法則から見る

 859回目のブログです

20229231

   山間秋夜(山間の秋夜) 真山民

  夜色秋光共一欄(夜色秋光共に一欄)
  飽収風露入脾肝(飽くまで風露を収めて脾肝<ひかん>に入る)
  虚檐立尽梧桐影(虚檐<きょえん>立ち尽くす梧桐<ごどう>の影)
  絡緯数声山月寒(絡緯<らくい>数声山月寒し)

 更け行く秋の夜の色と月の光が共に欄干を照らしている。
 秋風と白露に満ちた夜の冷気を心ゆくまで腹一杯に吸い込みながら、
 誰もいない軒先の青桐の影が落ちている辺りに立ちつくしていると、
 静寂を破ってコオロギが急に鳴き出し、その声に山上の月の一層の寒さを
 覚えたのである…。

 真山民(しんさんみん)は1274年ごろの南宋の詩人。更け行く秋の夜の景色をありのままに詠った名詩あり、詩吟でもよく吟じられます。

 荒れ狂う台風14号の到来。これに身を低くして過ごさなければならないどころか、河川の氾濫、土砂の崩れ、強風の嵐、には抗う術もなく天地の鎮まることを祈るほかはありません。

 こんな時だからでしょうか、政界も荒れ模様になってきました。

  岸田内閣支持29% 7ポイント減、3割割る 毎日新聞世論調査

 毎日新聞と社会調査研究センターは17、18の両日、全国世論調査を実施。
岸田内閣の支持率は29%で、前回調査の36%から7ポイント下落した。内閣支持率が30%を切るのは政権発足以降初めて。前回調査でも前々回比で16ポイント減少しており、下落傾向が続いている。不支持率は64%で、前回(54%)より10ポイント増加した。
 また、自民党の支持率も前回(29%)から6ポイント低下し23%だった。

 いわゆる世論調査というものは、各社によって調査方法が異なり、例えば、時事通信であれば、個別面接方式であり信頼性は高いと言われ、毎日新聞は内閣支持率は低めの数字が出るようです。ここでは、毎日新聞のデータを使い岸田内閣の揺らぎ具合を見ていきたいと思います。

 永田町に伝わる「青木の法則」という経験則があります。“参院のドン”と呼ばれた青木幹雄元官房長官が提唱した法則で「内閣の安定度」を示す方程式であり、政界では有名です。

    【青木の法則】(青木率・アオキレシオ)

  内閣支持率(%)と与党第一党の政党支持率(%)の和が
   60ポイントを切ると、政権運営に黄信号がともり、
   50ポイントを下回ると、政権が倒れる。

 今回の毎日新聞の調査結果では。
   岸田内閣支持率(29%)+自民党支持率(23%)=52ポイント

 驚きました! 52ポイントとは、政権が倒れる寸前の数字であり重大な局面を迎えているのではないでしょうか。(まさかと思い、時事通信の世論調査結果を見ると、岸田内閣支持率(32.3%)+自民党支持率(22.4%)=54.7ポイント、たしかに青木率を意識せざるを得ない局面です)

 思い起すと、岸田政権が発足したのは令和3年(2021)年10月、首相に選出された時は、“ 聞く耳 ”を強調し“ 正姿勢 ”を唱えました。しかし、内外ともに厳しい情勢の中にあって、ここにきて、国民の支持が釣瓶落としを見せるなど、残念な状況ではないでしょうか。

 なぜ、このような事態を迎えているのかについて考えて見たいと思います。

 まず、この1年間の岸田内閣の政策に関しての取り組む姿勢が挙げられます。ほとんどの政策について先般の参議院議員選挙まで延ばしたのではないでしょうか。現下の、コロナ、経済、外交、軍事、その他もろもろ、本来ならば待ったなしで即座に取り組まなければならないにも関わらず、「聞く耳」だけは開き、ただ聞き置くだけ、そしていわゆる “検討使” と揶揄される有様。国民が求めているのは政策に対する明快な説明と実行力であり、国民のイライラ感が半端でない状況に至っていることは世論調査の数字に表れています。

 コロナについて。岸田内閣はコロナの一般インフルエンザ扱いについて消極的、ないしは責任逃れに堕しているようにも見えます。政府は、コロナを感染症「2類相当」から感染症「5類」(従来のインフルエンザと同等)に変更することに対して、現時点では現実的でないと発言。責任を回避する体質から離れられず、責任を負うことが怖くて仕方ないのでしょう、これではいつまでも現状のまま、経済の足を引っ張るばかりではないでしょうか。(欧米を見習いましょう。日本だけがコロナに怯えているのですから)

 経済について。急速な円安、物価の高騰、電力問題、少子高齢化、移民、経済安保、など、経済問題には難題が多く、総合的な対策が求められます。特に一般庶民は物価上昇についての政府の具体的な対策を求めているのですから、政府として丁寧に説明すべきではないでしょうか。わたし達一般庶民はそれを見ているのです。

 安倍首相の国葬儀について。まず問題となったのが、当初国葬にかかる費用として2億5千万円と発表したこと。そんなバカなことはないとの世間の反論が出て16億6千万円に修正。なぜ国葬を行うのかということに対しての明確な説明と信念が岸田首相に無かったことです。

 報道では「安倍元首相の国葬は、最大派閥の安倍派に配慮したもの。内閣改造人事でも安倍派の有力者を処遇。岸田首相としては、安倍派に恩を売って政権基盤を安定させようという思惑だった。しかし、国民の声を背景にした国葬ではなく、岸田首相の政治的な意向が透けて見えてしまっていることもあり、国葬反対が急増していると思われる」(前自民党の閣僚経験者)

 統一教会について。統一教会の問題を巡る岸田政権の対応について、「評価する」との回答は、毎日新聞で12.0%、時事通信で12.4%。自民党の対応がぐちゃぐちゃであり、不誠実と言わねばなりません。宗教、信仰、心性に鑑みて、答えるべきことと答えないこととをしっかり分けて回答すべきでした。何せ、統一教会は、胡散臭い存在であることは「霊感商法」「集団結婚式」「献金システム」「事業ビジネス」などを見れば一目瞭然ですから、誤解を生まないよう細心の注意を払わなければなりません。そして、まちがっても「魔女狩り」に堕してはならないことは言うまでもありません。

 エリザベス女王の国葬について。エリザベス女王の国葬参列については、岸田文雄首相の動向も報じられました。それが何と『岸田首相が、国葬への参列を見送る方針を固めた』という趣旨でした。BBCによると、当然ながら、御2人分の招待状であり、天皇陛下、皇后陛下の両陛下は、ウェストミンスター寺院で執りおこなわれるエリザベス英女王の国葬に参列されました。

 しかし、招待状が両陛下への2通ならば、そもそも岸田首相は招待されていないはず。あたかも、参列の予定があったかの報道に “見送るとは?” という疑問がわき上がっています。天皇、皇后両陛下に対して僭越、不遜の誹りを免れません。岸田首相・外務省・内閣府はどうかしていると言わざるを得ません。

 青木率50%割れ目前、岸田内閣は風前の灯でしょうか。

 正統なる政治姿勢に戻られることを祈ります。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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コメント

隋・唐の時代に始まり清末まで続いた科挙制度は高級官吏採用試験で教養と作文力や言語の理解・判断力などが問われた。大陸文化に学ぶことの多かった日本だが宦官と科挙は採用しなかった。鎌倉期から幕末までの武家政権も当然ながら採用しなかった。一族郎党や国家の生死や盛衰に関わる判断は最高度の資質であって官吏の言葉は訂正できても武士の発する言葉は撤回不可であり、まさに武士に二言なしの世界である。明治の政治家の精神と教養は幕末までの武家社会で培われていた。だが大正・昭和になると明治に始まった教育制度を経た高等文官試験合格者が政治家や高級官吏となって国の指導者となった。軍隊も足軽上がりでなく、陸軍大学などを経た成績優秀者が指導者層を成した。現場での実践力よりも知識と論理重視の選抜方法は科挙の秀才、江戸の昌平坂学問所の秀才を選ぶ方法であっても、組織の長を選ぶ方法としてはベストではない。だが未だに平和ボケに浸ったままの日本人は自身を守り家族を守り国を守る指導者の選び方も知らない。岸田首相は政策提言をできない事務方官吏に似ている。誰ともどこの国とも事を荒立てない、判断できない、責任を取りたくない、メディアから嫌われたくない、ナイナイの性格資質は知識教養とは全く別のものだが、いずれにしてもGNP三位の大国の指導者としては落第であり、選んだ自民党議員の責任も重い。もちろん立憲民主党の類の左派は論外である。

投稿: 齋藤 仁 | 2022年9月23日 (金) 09時52分

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