中国から国内へ生産回帰…アイリスオーヤマに見る!
860回目のブログです
“水鳥の 行くもかえるも 跡たえて されども路は わすれざりけり”
道元(鎌倉初期・曹洞宗開祖)
水鳥は、秋は南に渡って行き、春は北へ帰って行く。行路には何の跡をも残さないが、しかし、水鳥たちはその行路を忘れる事が無い…。
帰る事を意識していなくても、自然な振る舞いの中で、忘れずに帰る事が出来る。「無為自然」…あるがままにまかすことを詠んだ歌です。
9月27日、安倍首相の国葬儀が執り行われました。国内では賛否両論ありガタガタしましたが、儀式そのものは簡素、厳粛に行われ、国際的な体面は取れたのではないかと思います。それにしても、国葬に反対するメディア、極左、リベラルサヨク、年配者の品の無さ、柄の悪さは、度を超えているのではないでしょうか。わたし達国民は、“葬儀” であることを認識し “暗殺” された首相を弔うに相応しい雰囲気のなかで、心静かに思いを馳せるべきだったと考えます。
さて、わが国は、中国(中共)との関係において、経済面において深いつながりがありますが、先日、大きなニュースが反響を呼んでいるようです。
■ 生活用品メーカー「アイリスオーヤマ」(年商8,100億円)が、現在中国で行っているおよそ50種類におよぶ製品の生産を、コスト削減のために国内の工場に移すことを決めたことが、報道され注目を集めています。
原材料価格や人件費の高騰、あるいは円安の長期化の影響で、中国での生産コスト、さらに日本への輸送にかかるコストが上昇しているとのことで、衣装ケースなどプラスチック製の収納用品などを国内生産に切り替えるとのことです。
中国から日本国内に生産を切り替えることで、およそ2割のコスト削減が見込めると言い、今後、園芸や除雪用品の生産の移管も検討するとのことですから、この動きは、アイリスオーヤマに限らず、他社も動きはじめるのではないでしょうか。
以前は、猫も杓子も、中国へ、アジアへと製造拠点を求めましたが、近年、中国をはじめとした各国で人件費が高騰し、労働力の確保が難しくなってきました。その反面、日本の賃金水準は30年間ほとんど停滞したままであることは周知の事実。
「海外より日本でつくった方が安上がり」という事態の出現。すなわち「物価と人件費の安い日本」の象徴的な出来事が産業界に具体的に現れたたことを意味するのではないでしょうか。
国内製造への回帰は、喜ばしいこととして受け止めなければなりません。何と言っても、GDPに寄与するわけですから。
【GDP】=「Gross Domestic Product」(国内総生産)
一定期間内に国内で産出された付加価値の総額で、国の経済活動状況
を示す。付加価値とは、サービスや商品などを販売したときの価値から、
原材料や流通費用などを差し引いた価値のこと。
ただ、国内に戻ったからと言って、ストレートに雇用拡大が進むのではありません。今や、工場生産は積極的なロボット採用により省人化をはかっているのが常識ですから。それでも、国内経済にとっては大きなプラス要因と言わざるを得ません。
ところが、日本国政府はと言えば、製造拠点の国内回帰に対して、候補地の紹介や資金調達支援などは眼中になく、それとは真逆の政策を推進すると発表。
■ 中小企業の海外進出へ担当室 政府、販路など一括支援
政府は、国内の中小・中堅企業の海外進出を支援するため「海外ビジネス投資支援室」を内閣官房に設置した。進出する候補地の紹介や販路開拓、資金調達を一括で支援し日本企業の海外での収益向上につなげる。
木原誠二官房副長官が同日の記者会見で発表した。「日本の成長力を強化する観点から、技術やノウハウを生かした日本企業の海外投資を支援する」と述べた。
(2022/8/1 日経新聞一部抜粋)
今、物価高騰の一因とも見做され、白眼視されることの多い昨今の急激な円安ですが、円安はメリットもあります。アイリスオーヤマのような大きな雇用を創出する可能性を秘めた動きに関しては「まさに円安のメリットだ」と言えるのではないでしょうか。
それにもかかわらず、時代の動きに逆行するかの如き政府の動きに対して、SNSでは「チグハグ」「アホ丸出し」との声が噴出しました。普通、円安であれば国内投資に向けるべきですから。
円安が進行する中、岸田政権は、エネルギー問題の解決に全力を上げるとともに、生産の国内回帰を支援すべき時に、なんと「海外ビジネス投資支援室」とは。岸田政権の全ての政策は不可解としか言いようがありません。
いまは、×「中小企業の海外進出を支援」ではなく、
◎「中国から日本国内への回帰を支援」が良策
滔々とした時代の流れに逆らうのではなく、冒頭の道元の歌にあるように「無為自然」…あるがままに現実を捉えることが求められているのではないでしょうか。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
海外進出企業の日本回帰だけでなく、国内企業の製品開発と競争力を高めるために必須なのが人件費以外の製造コストの低減化である。特定の業種を国が資金援助等の支援をするのでなく、日本国内の経済活動すべてを支援し、国民の生活支援にも直結するもの、それは電力の値下げである。岸田政権も宣言している新規原発の建設を進め、既存の原発再稼働をできるだけ早く再稼働させることで、電力値下げだけでなく、化石燃料の輸入量を減らすことで二酸化炭素だけでなく富の海外流出を削減でき、一石二鳥にも三鳥にもなる。
投稿: 齋藤 仁 | 2022年9月30日 (金) 08時06分