“中国に不穏な垂れ幕”…反習近平の動きか!
863回目のブログです
『楓橋夜泊』 張継
月落烏啼霜満天(月落ち烏啼きて 霜天に満つ)
江楓漁火對愁眠(江楓<こうふう>漁火<ぎょか> 愁眠に対す)
姑蘇城外寒山寺(故蘇城外 寒山寺)
夜半鐘声到客船(夜半の鐘声 客船に到る)
月が西に傾き夜もふけたころ、カラスが鳴き、辺りには霜の寒気が満ちあふれ、川辺の楓や漁火が、眠れずにいる私の目に飛び入ってくる。故蘇城の外にある寒山寺からは、夜半を知らせる鐘の音が、この客船にまで聞こえてくる…。
張継は中唐の政治家・詩人。都を出たころにはまだ暑さも残っていたが、もう霜の降る晩秋。秋の旅情を情趣豊かに詠った詩吟でも有名な漢詩です。
久し振りに「漢詩」でも選ぼうと思い、たまにはインターネットで渉猟しようとブラブラと遊んでいましたら、驚くべき「ニュース・画像」に出くわしました。
中国では、10月12日、北京で行われていた中国共産党の準備会議「第 19 期中央委員会第 7 回総会」が終了し、10月16日~23日まで、本会議である『中国共産党第 20 回党大会』(5年に1度)が開催されています。
その準備会議と本会議との間の10月13日早朝、驚くべき『大事件』が発生。それは、北京市内の高架橋に「独裁の国賊、習近平を罷免せよ」などと書かれた巨大な横断幕2枚が掲げられた騒ぎです。写真をごらんください。
【1枚目横断幕】に書かれたキャッチコピーをご覧ください
・不要核酸要喫飯 (PCR検査は要らない、飯が食いたい)
㊟ 核酸増幅検査=PCR 検査
・不要封控要自由 (封鎖管理は要らない、自由が欲しい)
・不要謊言要尊厳 (たわごとは要らない、尊厳が欲しい)
・不要文革要改革 (文革は要らない、改革が欲しい)
㊟ 文革=文化大革命
・不要領袖要選票 (領袖は要らない、投票用紙が欲しい)
・不做奴才做公民 (宦官は要らない、市民となりたい)
㊟ 奴才=清朝の宦官、転じてイエスマン
酸=飯、言=厳など、それなりに韻を踏んだり、「文革反対⇔改革歓迎」と語呂を合わせたり、全体として洒落た美文調の見事なキャッチコピーに感銘さえ覚えます。作者はかなりの教養人だと思われます。(強烈なのは「領袖」… 領袖とは建国の父として絶大な権限を誇り、中国社会を大混乱に陥れた政治運動・文革を発動した毛沢東氏の呼称。毛沢東主席に対してのみ奉られた最上級の敬称ですが、今回の党大会では、習近平氏を領袖と位置付けることが取りざたされていました)
それに引き換え、わが国サヨク人種のセンスの無さ、ユーモアを欠く言葉、キャッチフレーズは論外。横断幕を掲げた中国人の爪の垢を煎じて飲む必要がありそうです。ごらんください。
山口二郎氏(法制大学教授)
「安倍に言いたい。お前は人間じゃない! たたき斬ってやる!」
辻元清美女史(立憲民主党・参議院議員)
「憲法守れ! 戦争反対!」
【2枚目横断幕】
・罷課 罷工 罷免独裁国賊習近平
(授業ボイコット、職場ボイコット、独裁国賊習近平罷免)
・起来 不願意做独裁者奴隷的人們
(立ち上がれ、独裁者の奴隷となりたくない人たちよ)
・反独裁反専制救中国 一人一票選主席
(反独裁、反専制で中国を救え、一人一票で主席を選ぼう)
「これまで中国当局は、民主派への弾圧や厳しい言論統制等で、体制批判を徹底的に抑え込んできましたが、ここまで明瞭な政権批判が、公開の場で、しかも首都北京で繰り広げられるのは極めて異例なことである」と日本人の中国ウオッチャーは述べています。
今回の中国共産党大会により、習近平総書記が3選を予定されていますが、中国(中共)はいくつもの難問を抱えています。①台湾問題(侵攻・侵略)の難しさ、②経済はバブル崩壊で危機へ…など。今のまま台湾侵攻に及べば、「第二ロシア」になる可能性があり、習近平氏にはプーチンと同じ運命が待っているようにも思えます。
中国共産党は今後も安定した党、国家、社会を維持できるのでしょうか。党の組織体制は下記の通りですが、いよいよ毛沢東と肩を並べ、“習近平思想”を全国民に周知徹底させることに対して国民の反応はどうなるのか予断は許されません。
【中国共産党の組織体制】
総書記 1人(習近平)
政治局常務委員 7人
政治局員 25人
中央委員 200人
党大会代表 2,300人
共産党員 96,700,000人
さいごに。不穏な垂れ幕が中国共産党の近い将来を暗示しているのかどうか、大いに気にかかるところです。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
| 固定リンク
コメント
中国(チャイナ)に住んでいても中国人と思っていない民族も少なくないが、私は中国人だと自覚している人たちの中国と、中国共産党の支配している中国とは同じではない。本物の民主主義国は選挙によって政権が交代しても同じ日本であり同じアメリカだが、一党独裁国家の中国や北朝鮮は唐や元などの王朝と同じで政権の崩壊は国家の滅亡である。中共政権は日本人がシナと呼ぶことを蔑称として中国という言葉を日本にのみ強制し日本政府も国民もそれを受け入れてきたが、CHINA(チャイナ、シーナ、キーナ)は秦帝国に由来する地域名であり、またそこに誕生した国をそれがモンゴル人の国であっても満州人の国であっても王朝名は元、清だが、通称として地名のCHINAを用いてきた。それを日本に対してだけそれを「中国」と呼ばせてきた。つまり中共政権が崩壊したら「中国王朝」は滅亡するので、日本人は再び世界共通の呼び方でシナとすることになる。要するに中共政権とシナ人の中国とは異なり、中国共産党の軍隊はあっても中国人の国軍は未だに存在しないのであり、中共の人民軍が「国軍」に寝返れば、中共は崩壊する、その程度の存在でしかない。ただし中共独裁政権となってから七十年もたつと共産党員の利権で生活してきた人は家族など末端をいれると一億人ぐらいいるだろう。習近平が失脚してもしなくても中共一党独裁を続けたい党組織の力と、独裁そのものを破棄したいシナ国民の良識の力対決では国民に勝ち目はなさそうな気がする。ただ経済制裁や失政続きで仲間である共産党員の中から党否定の動きが強まれば別である。実際、その形での「中共王朝崩壊」の可能性の方がはるかに高いだろう。シナの歴代王朝も外敵よりも内部の反乱で崩壊した例の方が多い。
投稿: 齋藤 仁 | 2022年10月21日 (金) 08時27分