「共産党・暴力革命の方針を堅持」…政府答弁書を閣議決定
871回目のブログです
“み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて 古里寒く 衣打つなり”
藤原雅経(平安末期~鎌倉前期)
吉野山の秋風は夜更けて寒く吹き、かって都のあった里では、寒々と砧(きぬた:衣を柔らかくするために打つ)の音が聞こえて来る…。
秋から冬へ。寒い風の中で打つ砧(きぬた)の音が聞こえてくるようなリズミカルな調子の百人一首で有名な和歌です。
さて、12月12日、京都清水寺で発表された師走恒例の「今年の漢字」は『戦』に決定しました。ウクライナ侵攻・北朝鮮の相次ぐミサイル発射などが理由でしょう。
【今年の漢字:上位5位】日本漢字能力検定協会
1位 「戦」 10,804(票)
2位 「安」 10,616
3位 「楽」 7,999
4位 「高」 3,779
5位 「争」 3,661
ロシアのウクライナ侵略、北朝鮮のミサイル挑発的発射、中国(中共)の軍事的威嚇、など、世界中が所を選ばず大変な事態になっていることは日々のニュースを見ても肌に感ずるのではないでしょうか。そして、その3ヶ国がわが国の周囲に存在し、不気味に睥睨していることに留意しなければなりません。
しかし、それは国際情勢だけでなく、国内の政治情勢もきな臭くなってきました。今年7月には、世界にその存在感を見せつけていた安倍元総理が凶弾に倒れるという悲劇が生じ、それに伴う社会の歪で不安定な状況が露出してきていることに厳しい目を向けなければならないのではないでしょうか。
報道から、ある現象を覗いてみましょう。
■ 「共産党は暴力革命の方針に変更なし」政府が答弁書を閣議決定
共産党は強く否定し反発
政府は12月6日、日本共産党について、現在も「暴力革命の方針に変更はないものと認識し、日本国内において破壊活動防止法に規定する暴力主義的破壊活動を行った疑いがある」とする答弁書を閣議決定しました。
また、共産党が「いわゆる『敵の出方論』に立った暴力革命の方針に変更はないものと認識しており、現在でもこの認識に変わりはない」と強調しました。
これに対し、共産党の小池書記局長は「共産党が暴力革命の党などというのは全く事実無根の攻撃だ。『敵の出方』という表現そのものを党としては廃棄。にもかかわらず、同じような攻撃を繰り返す荒唐無稽な答弁内容だ」として政府の見解を否定し、非難しました。(12/6日テレNEWS)
共産党は、昭和26年(1951)の「51年綱領」で、「われわれは武装の準備と行動を開始しなければならない」とする「軍事方針」に基づいて武装闘争の戦術を採用し、各地で殺人事件や騒擾(騒乱)事件などを引き起こしました。
その後、武装闘争を唯一とする戦術を自己批判しましたが,革命の形態が平和的か非平和的かは、敵の出方による「いわゆる敵の出方論」を採用し、暴力革命の可能性を否定することなく現在に至っています。そして、「暴力革命唯一論」も「議会を通じた平和革命論」も間違いだと断定していますから、鵺的表現で、未だに暴力革命を捨て去っていないことは確かです。
ところで、共産党は最近覇気がなくなってきているように見えますが、実態はどうなっているのか覗いてみたいと思います。
・日本共産党のトップである「志位和夫委員長」は、22年間も委員長席に留まっています。22年間という永き年数を数えれば、若い芽はつぶされるのが必然。空気も澱んできているのではないでしょうか。共産党では、中国と同じように、実質選挙はありません。委員長は選挙で選ばれるのではないということを肝に銘じておきましょう。
・政治勢力は次の通りです。
衆議院議席数 10 / 465(人)(2%)
参議院議席数 11 / 248 (4%)
都道府県議数 140 / 2,598 (5%)
市区町村議数 2,435 / 29,425 (8%)
党員・党友数 約270,000人
衰えたりと言えども、大変な政治勢力であることに改めて気づかされます。そのうえ、暴力革命を捨て去ったわけではありませんから、注意を怠らないことが肝心ではないでしょうか。
・日本共産党の機関紙である『しんぶん赤旗』が、共産党の収入の8割を占めているのですが、虎の子の「しんぶん赤旗」の部数が大きく減ってきているのです。2019年に100万部の大台を割りました。
『しんぶん赤旗』日刊紙 20万部
日曜版 80万部
・今、共産党の基盤が揺らいでいます。日本共産党に入党すれば、党員は以下の義務を負うことになります。
【共産党員の義務】
・党費を納入すること(金額は実質収入の1%)
・『しんぶん赤旗』を購読すること
・党の組織に所属し、活動をすること
現状は、党費の納入が3~4割も滞っていると言われます。新聞『赤旗』は、1980年には355万部、1997年には230万部、2017年には113万部、そして、2019年には100万部弱というまさに釣瓶落としのありさま。
『赤旗』事業は党の財政収入の8割を占める重要な事業。2020年分の政治資金収支報告によると、機関紙誌・書籍等事業収入は、173億8413万円と収入の81.5%を占めます。党費収入は5億4907万円で収入の2.6%、寄付が9億2512万円で同4.3%ですので、機関紙誌・書籍等事業の収入が圧倒的であることは明白です。それにもかかわらず新聞『赤旗』の購読数が激減しており、財政的は苦しい状況に陥っているのは間違いありません。(一部篠原氏の論稿より)
これだけの苦境を抱えた共産党の行方はどうなっていくのか不明ですが、このまま衰退して行くのか、活路を見出すべく過激路線へ突っ走るのか、予断は許さないのではないでしょうか。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
(続き)も存在するということだろう。もう一つの理由は19世紀からの欧米の熾烈な帝国主義・資本主義競争の負の遺産として共産主義思想が生まれ、それを社会制度として具現化しようという共産主義革命が起きた。その一連の時代の流行の中で日本共産党が誕生したということである。つまり帝国主義の最も負の側面のアンチテーゼとして共産党は生まれた、ハズであった。だが思想としての魅力と現実社会のそれとは全く異なる。共産主義思想はあくまで思想の世界のものであって、人間性の本質を全面的に受け入れてそれを社会制度に、というものではない。宗教と同じで特定の宗教のドクトリンをそのまま社会制度とする宗教国家(中世の西欧や現代のイランなど)が国民の生活を束縛する収容所国家を創ってしまうのと同じである。時代の寵児としての共産党国家はソ連や東欧、チャイナや北朝鮮などどこの国でも失敗した過去の遺物である。結局、時代の寵児としての魅力を失った共産党を多数の国民が支持することはありえない。と残る道は社会の不満派の一つとして万年極少政党として生き残ることである。ただし社会の不満派をなす人たちは団結できない。個々人が持つ不満は他人と共有できないからであり、その解決法も党員の数だけ多くなるからである。結局、不満派・不平派は与党を批判し、社会を批判することが生きがいであり、存在価値であって、彼らが党派を成して具体的な何かをすることはできない。日本共産党が「革命の旗」を下ろすことができないのは、それを下ろせばただの不満派集団に成り下がるだけだからだ。
投稿: 齋藤 仁 | 2022年12月16日 (金) 08時20分
日本共産党に限らず世界各国に共産主義政党が存在した理由は二つある。一つはいかなる社会や組織も多数派と対立する少数派、そしてさらに少数のどちらにも属さない異端派・現状不満派が存在する。チャイナでは共産党が多数派を成し、日本では全国民の3%に満たないように、時世や国情に応じて共産党に与する人の率は変わるが、個人の不満を社会や国の責任に転嫁する人間は何時の時代に
投稿: 齋藤 仁 | 2022年12月16日 (金) 07時59分