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2023年1月20日 (金)

「若者の将来不安」と「政界ネポベイビーの氾濫」と!

 876回目のブログです

20231201

  “岩代の 結べる松に ふる雪は 春もとけずや あらんとすらむ”
                 中納言女王(金葉和歌集)

 岩代の結び松に降る雪は、その名の通り結ばれたまま、春になっても解けないのだろうか…。

 今日からは「大寒」で二十四節季の最終節で最も寒い時季を意味しますが、これが明けると二十四節季一番の「立春」を迎えます。冬の寒さも今しばらくの辛抱かも知れません。

 成人式(成人の日)も無事終わりましたが、若者の将来が明るいものになるように祈ってやみません。そこで、新成人の意識がどのようなものか覗いてみたいと思います。調査は、令和4年(2022)3月24日、日本財団「第46回 18歳 社会や国に対する意識調査(6ヶ国調査:各国1000人)」から、1項目だけ抜き出します。

 【自分の国の将来についてどう思っていますか?】単位:%

       良くなる 悪くなる 変わらない どうなるかわからない
 中国    95.7   1.2   0.7   22.4
 インド   83.1   3.9   3.8    9.2
 イギリス  39.1  31.0  10.9   19.0
 アメリカ  36.1  27.5   9.0   27.4
 韓国    33.8  20.2  32.5   13.5
 日本    13.9  35.1  20.3   30.7

 やはり!というか、日本の若者はわが国の将来に対して、極めて悲観的な認識を持っていると見なければなりません。良くなる「13.9%」に対して 悪くなると思う新成人が3倍の「35.1%」もいるのですから。異常な数値であり大きな問題です。

 これについては、政治の責任は特段に重いと言わざるを得ません。経済の成長はもちろんのこと、社会の不合理な仕組みにメスを入れる大胆な政策を取らないと国の活力が失われることは火を見るよりもあきらかではないでしょうか。

 それに対して、政界の方はどんな状況でしょうか。今、増殖する「政界ネポベイビー」(世襲議員)について考えて見たいと思います。

 ネポベイビーとは「ネポティズム(縁故主義)ベビー」を略した造語で、近年、ハリウッドなど芸能界が、有名俳優・タレントなどの子どもに席巻されていることを揶揄する言葉。「縁故主義」の高まりの背景には、高度情報化社会においては、「情報の優劣」よりも、「人々の関心や注目をより多く集めること」が価値を持つという「アテンション・エコノミー」と言われる現象が挙げられます。

 とは言うものの、芸能界はそれなりに厳しいものがあり、芸能界の「ネポベイビー」たちにまったく実力も個性もなければ、いずれ、活躍の場を失うことになるでしょう。

 ところが、政界のネポベイビー、世襲議員はどうでしょうか。とりあえず現状を見ていきましょう。(世襲議員の定義は、議員本人と配偶者の3親等内に国会議員、地方議員、地方首長などがいた場合を指します)

 世襲議員の割合は、1960年には全体の約3%と、非常に小さいものでした。

 日本の国会議員の定数は713名(衆議院は465人・参議院は248人)ですが、3人に1人が世襲議員。衆議院の自民党に限れば、驚くなかれ40%が世襲です。アメリカ、イギリス、オーストラリア、韓国、などの民主主義国家での世襲比率5~8%と比べても圧倒的な高さとなっています。

 平成元年(1989年)~令和3年(2021年)の32年間を見ても、19人の総理大臣を輩出しましたが、世襲でない首相はたったの6人しかいません(宇野宗祐、海部俊樹、村山富市、菅直人、野田佳彦、菅義偉)。世襲率は70%という高さです。

 (世襲への誘因)国会議員の身分があまりにも恵まれているからと言えるでしょう。オイシイ果実は、赤の他人には絶対渡したくないという一族の論理があり一族の利権確保の要素が、極めて強い動機になります。当選すれば、「高額報酬」「政治権力」「高待遇」がすべて手に入ります。

 ・(三バン)選挙は昔から、「地盤(地元の後援会組織)」「看板(地元での知名度)」「カバン(資金力)」の3つの要素が大事と言われます。そのうち特に特に大事なのは「カバン」でしょう。そして驚くなかれ、政治家の政治資金管理団体は、その資産を無税で身内に引き継げるので、親から子への「無税での贈与や相続」も行えてしまうのです!

 【縁故主義の弊害】

 ・政治家としての資質に欠けた者が議員や大臣など国の要職につく
 ・2世以外の政界への参入が難しくなる
 ・有権者の政治への参加意識を低下させる
 ・政治家の多様性がなくなる
 ・有権者の選択肢を減らす
 ・世襲議員と対抗するために、対立候補はより地元利益誘導型の選挙を
  行うようになる

 【世襲議員のメリット】

 ・相対的に選挙活動にそこまで時間を割く必要がないため、
  立法活動に時間を割ける
 ・非世襲議員と比べて、若くして政治家になりやすい
 ・政治家になる前に、多様な経験ができる
 ・若いうちから、政治家としての英才教育が受けられる

 世襲の弊害とメリットは岡本純子女史の論稿から引用しましたが、議員には本来の選良としての自覚を持ち、国家・国民のための政治を志してほしいものです。金の亡者、権力の亡者、道徳感の欠落者、常識のない議員が多すぎるのではないでしょうか。与えられた地位から滑り落ちる議員を毎度毎度見せつけられる国民の気持ちに思いを馳せてほしいものです。

 優秀な人材が政治を担わないと、日本の衰退と混迷は一層深まるばかりではないでしょうか。

 将来に悲観的な18歳の若者に明るい光をかざすことこそが政治家の大きな使命でなければなりません。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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コメント

今日の日本国家の体たらくを語るには次のようなことをまず指摘しておきたい。昭和20年の敗戦後のGHQによる日本弱体化政策と昭和26年のサンフランシスコ講和条約後の吉田首相等に代表される指導者たちの国家観の欠陥が、今日の日本の体たらくをもたらした。GHQの最大欠陥はルーズベルト・トルーマンと続いた民主党政権の欠陥であり、それはソ連・ロシアおよび中華民国・中共のチャイナがともに建国以来一貫して内には専制・全体主義、外には領土拡張を民族の常識的な国家観・社会観をもっているということを理解していなかったということである。共産主義は単に20世紀流行の衣装をまとっただけであって、衣装の中の肉体は中世と変わっていないロシア人、漢人だったということである。戦後七十余年、日本は苦しんできたが、戦勝国のアメリカやイギリスも同じく苦しんできたことは米ソ冷戦やその後の対露、対中に明らかである。欧州大戦勃発時の本質的な問題を理解できないまま世界大戦に拡大したアメリカ指導部の愚かさは、戦後の吉田・池田等の指導者層の国家観の浅薄さと変わらないのではないか。その上で改めて日本の世襲議員の問題について語るなら、思うのは泰平の続いた江戸時代の世襲大名や旗本さらに官学者らの体たらくである。幕末に至って地位も名誉も財産もあった彼らの多くが無用の長物でしかなかったことが判明した。だが同様のことが今の日本で起きている。有り余る支援を受けて受験技術と知識をつけ有名大学を出て行政や司法の場に席を得た人の中に国民が求める智恵をもった人が希少なのは、まさに江戸期の焼き写しではないか。高学歴の浅知恵を生み出す制度を政治でも経済でも改革できないのはまさに彼らの頭脳と思考が最初からステレオタイプに適合したことが成功者とされてきたからである。政治家のトップ層、官僚のトップ層に数人のベンチャー創業者や芸能人などを注入した方が日本の未来に希望が差すのではないか。但し停滞した社会のトップ層のなかでも時にステレオタイプの政治を破った見事な指導者はいる。江戸時代の二人を例にあげると、一人は徳川秀忠の庶子保科正之である。二十歳を過ぎてから家光の弟として認められ、松平姓を名乗ることも許されたが、最後まで養子にしてくれた保科家の姓を名乗り保科正之として家光の信頼に応え宝暦の大火で江戸城天守閣が消失したときに再建無用と決断するなど国の安泰を第一とする見識を持っていた。もう一人は九州の小藩秋月家から米沢藩の養子に迎えられた上杉鷹山である。江戸時代も戦後の日本も家系・学歴・経歴を誇る凡俗な政治家が日本をダメにしてきたが、時には家系や学歴に価値をおかない本物の指導者が現代もいるはずである。生前の安倍晋三氏は間違いなくその一人であった。

投稿: 齋藤 仁 | 2023年1月21日 (土) 09時55分

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