米国、中国の偵察気球を撃墜…さあ、日本はどうする!
881回目のブログです
“春されば まづ咲くやどの 梅の花 ひとり見つつや 春日暮さむ”
山上憶良(万葉集)
春が来ると真っ先に咲く庭前の梅の花、この花を、ただ一人見ながら長い春の一日を暮すことであろうか…。
大宰府で大伴旅人等とともに宴で詠んだ歌で、二年前ここで妻を亡くした旅人の孤独な心境にも立っています。
梅の花は大輪ではないため人の心に柔らかく包まれるような雰囲気を醸し、時によっては、多少の哀惜さえ覚えさせることもあります。上掲の和歌は、宴の主人大伴旅人の孤独な心境にも心を馳せたのでしょうか、素晴らしい歌だと思います。
そうは言っても、世の中は落ち着きを齎せてはくれません。米国を騒然とさせた中国の「偵察気球」が、2月4日、サウスカロライナ州沖合の大西洋上で米軍の最新鋭ステルス戦闘機「F-22」搭載の空対空ミサイル「サイドワインダー」によって『撃墜』されました。
中国は、この気球が自国のものだとは認めましたが、何と例によって「民間の気候観測用」だと白を切り、米国の過剰反応に反発しました。
米側は、中国は「軍民融合」社会であり、この種の活動が「民間組織」ということはあり得ず、軍事情報の収集が目的だとしました。そして、米国の領空侵犯だと断定、撃墜したものです。
誰が考えても、中国は全ての組織の上に「中国共産党」が鎮座ましましているのですから、わが国のような「純粋な民間企業」は存在しません。米国の対応は正しく妥当なものだと思います。
それにしても、共和党反中派が「即時撃墜せよ」と騒ぎ立てる中、ドナルド・トランプ前政権の国務長官として対中外交を統括してきたマイク・ポンペオ氏は、こうバイデン氏に注文を付けたのです。
「撃ち落とさず『生け捕り』にせよ。気球を傷つけずに捕獲して
搭載されている計器や取集していたデータをすべて入手せよ」と。
さすがは、米陸軍士官学校、ハーバード法科大学院、陸軍大佐、下院議員、米中央情報局(CIA)長官、国務長官という経歴からくる「インテリジェンス」の何かを知る経験と叡智のなせる発言ではないでしょうか。見事と言わねばなりません。
同氏は2024年の共和党大統領候補指名を虎視眈々と狙っていると言われています。米国の政党は層が厚いですね。
それに引き替え、わが国のリーダーの実像をご覧ください。
わが国で気球が発見されたのは、2019年に鹿児島県で、2021年には青森県で。そして、特に2020年6月の宮城県仙台市では “謎の球体” として注目をあつめましたが、政府や防衛省は問題視せず「スルー」&「ノーマーク」です。
当時の、記者会見での【記者と河野太郎防衛相の問答】(一部抜粋)を、よう~くご覧ください。
記者:「先週目撃された謎の物体についてなんですけれども、大臣は警戒監視を続けているというふうにおっしゃいました。あの気球はどこへ行ったのでしょうか」
河野:「どこに行ったかは定かではございませんが、自衛隊の気象班が保有しているものではない、ということは確認しております」
記者:「また日本に戻ってくるという可能性はないんでしょうか」
河野:「気球に聞いてください」
記者:「これは日本の安全保障に影響を与えるものではないですか、通り過ぎた気球は」
河野:「安全保障に影響はございません」
何と、河野太郎防衛相は、自信満々で「安全保障に影響はございません」と断言したのです。…情けないとしか言うことができない恥かしさ。日本および米国上層部の国家防衛に対する認識と覚悟の差異の大きさに愕然とするではありませんか。
「謎の飛行物体」を注視し、「上空飛行は法律違反で容認できない」と撃墜した米国と、「どこに行ったのか定かではない」「気球に聞いてください」という日本…。
わが国のSNSでは、“ のんびりしとるな、日本は ”、“ やたらと安全保障が重要と連呼しているけれど、危機感はこの程度なんだよ ”といった声で溢れている始末です。
河野太郎氏は、現在はデジタル大臣。「次の総理にふさわしい人は誰か」という世論調査で、首位に挙げられるのは河野太郎デジタル相であり一般市民の人気の高さを誇っています。ところが先日の予算委員会では所管外だということで12連発の答弁拒否、いわば奇行の持ち主であり、幼稚なパフォーマンス発言で人気を得ていると言わざるを得ません。
安全保障、国家防衛は政治の基本であり、単なる言葉遊びではありません。国家存続の命運は、国家防衛の如何に掛かっているのであり、今回のロシア・ウクライナ戦争においてもその帰趨を瞠目して直視しなければならないのではないでしょうか。
「気球に聞いてください」…防衛大臣が何の躊躇もなしにこんな発言をするとは、総理大臣の資格があるのかどうか、国政に対する真摯さを欠いていると言わざるを得ません。このような政治家が次期総理候補NO.1とのこと、それで日本は果して大丈夫なのでしょうか。
先日、中国人女性によって沖縄県の屋那覇島が買収された件について、松野官房長官は「日本の島が、中国によって一島丸ごと買収されても、安全保障上の問題はない」と断言しました。
一方、米国では、中国共産党と繋がりのある企業や個人が米国の土地を購入することを禁止する法案が上院議員によってすでに提出されています。上院議員は「中国投資家による土地買収は、つまり、我が国の軍事基地や重要なインフラにアクセスする機会を中国スパイに与えることであり、土地の買収によって、我が国の安全保障が損われるようなことは、決してあってはならない」と述べています。
日本の官房長官と米国の上院議員の、国家防衛に対する認識と覚悟の大きさの差異に愕然とします。
わたし達、国民も目を覚まさなければならないのではないでしょうか。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
終戦までの日本は天皇の権威と行政府の権力という二重構造によって精神的にも実務的にも国家としての一体感をもってきた。しかも古代アニミズムにまでつながる自然崇拝・霊魂信仰・先祖愛慕の精神が列島内に同質文化を築いてきた。だが終戦後のアメリカが上述した強靭な日本民族の精神文化の崩壊を企て日本の官僚やメディアが抗うこともなく自ら自国の美風を荒廃させる運動をしてきた。戦後日本は明治憲法や軍隊といった国家の根幹的組織だけでなく国民の精神という内面からも解体されてきたのである。その崩壊した戦後日本に生まれた新日本人の典型が河野太郎や橋下徹といっても過言ではないだろう。勝者アメリカによって70余年前にぐじゃぐじゃにされた日本の内臓部をさらに腐食させてきたのが、田中角栄の訪中に端を発した日中友好外交である。アメリカの場合は大戦の勝者として諦めもつくが、共産党中国に戦後日本が媚びたり追従したりする理由は何もない。シナ事変時からの対応政府は国民党率いる中韓民国であり、終戦時の国連常任理事国も国民党政府である。そして今、文学的表現としてでなく日本国の組織が中共によって「換骨奪胎」状態にされている。まさに中共得意の臓器移植を人間でなく法人(国家)規模で日本にやっている。中共は戦わずして日本解体に成功しつつある。日本史上初めてチャイナ人による日本侵略である。チャイナと中国共産党の違いにも気づかない日本の学者、政治家、メディアに唖然とするのみ。
投稿: 齋藤 仁 | 2023年2月24日 (金) 08時57分