風力発電「入札ルール変更」…贈収賄事件へ!
887回目のブログです。
“夕立の 雲もとまらぬ 夏の日の かたぶく山に ひぐらしの声”
式子内親王(新古今和歌集)
夕立を降らせた雲はもう消えてなくなり、夏の日が沈もうとする西の山に寂しく鳴く蜩の声よ…。
この夏は蝉の鳴き声が特にうるさく、暑さが一段と厳しく感じられてきました。しかしながら、台風一過の後は、蝉の声もこころなしか静かになり、蜩の美しい鳴き声も、いま少しでの秋の到来を感じさせるようになりました。
そうは言っても、下界の騒ぎは相変わらずがさついており、荒れた天に応じているように思えてなりません。 8月10日、時事通信が、8月4~7日に実施した世論調査の結果を報じました。ご覧ください。
6月 7月 8月
【岸田内閣支持率】 35.1% 30.8% 26.6%
8月の岸田内閣の支持率は26.6%、前月比マイナス4.2ポイント。月を追って支持率が落ちていることが明白になってきました。これは岸田首相が主導する内閣の真実が露わになり国民が警戒感を明確に示したことに他なりません。【青木の法則】(内閣支持率+与党第一党支持率の和が50ポイントを割れば政権が倒れるという青木元参議院議員の提唱した経験則)を8月の時事通信の世論調査をもとに計算してみましょう。
内閣支持率26.6%+自民党支持率21.1%=47.7ポイント
政権が倒れる青木率の数値が、遂に50ポイントを割る事態となりましたので、関係者は内心は心底「ヤばい」と思っているのではないでしょうか。
ご存じのように、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞などの大手新聞社や民放テレビ局のほとんどは、コンピューターで無作為に選んだ固定電話、携帯電話に対してオペレーターが電話をかける仕組みです。(RDD方式)この方式は安価に、容易にできますので、回答者が深く考えないで回答する特徴があります。
一方、時事通信は関連団体の『一般社団法人中央調査会』が選挙人名簿や住民基本台帳などから調査対象者を無作為に抽出して『ご協力お願い』のハガキを郵送。調査員が戸別訪問をして『面接方式』で調査をします。これだと、回答者は時間をかけて自分の考えをまとめる傾向にあるため、より実態に近づくことができ最も信頼度が高いと言われています。8月の調査では2000人に実施。有効回答率は60.3%。
考えて見れば、①岸田家の公邸ドンチャカ騒ぎ、②LGBT法案を廻る不可解な動きと駐日米国大使の内政干渉に唯々諾々、③知性と司令塔なきマイナンバーカードのドタバタ騒ぎ、④大増税路線とサラリーマン増税、⑤少子化対策の生煮え、⑥防衛力増強策の迷い、⑦税金を使用した研修と称するパリ観光旅行の自民党女性局の振る舞い、⑧風力発電「入札ルール変更」に伴う贈収賄事件!…などなど、あるはあるは、不祥事と知性を欠く政治手法のオンパレード。これでは支持率はもっともっと下がる可能性が大きいと考えられます。
ここで、上記の⑧に挙げた風力発電贈収賄事件について触れてみたいと思います。
政府が導入拡大を目指している洋上風力発電をめぐり、自民党の秋本真利衆議院議員(政務官)が東京の風力発電会社「日本風力開発」側から多額の賄賂(3,000万円・内1,000万円は議員事務所で)を受け取った疑いがあるとして、東京地検特捜部は4日に収賄の疑いで秋本議員の事務所などを捜索しました。秋本議員は、4日外務政務官を辞任、5日自民党を離党。
そもそもの発端は、国が洋上風力発電の事業者を公募する初の大型案件となった秋田県と千葉県沖の3海域入札(第1ラウンド)にありました。2021年12月に落札結果が公表され、『圧倒的に安い売電価格』を提示した三菱商事などの企業連合が「総取り」をしたことが業界に衝撃をもたらしたのです。第1ラウンドの主要ポイントは価格でした。
ここで動いたのが「再エネ議連」の秋本真利事務局長や柴山昌彦会長。価格と運転開始時期とを含めた「評価基準の見直し」を求め政治的に精力的に動いたのです。
・2022/2/17 秋本真利議員が衆院予算委員会で
公募入札の評価方法見直しを求め質問。
・2022/3/18 すでに始まっていた秋田県八峰町・能代市沖の
公募入札やり直しに。評価基準見直しへ。
これにより、2022年10月には公募入札の新たな評価基準がかたまりました。
こんなことって、あって良いのか。余りにも胡散すぎる経過ではないでしょうか。本来は、最も評価の高い提案を行った企業に事業を任せるのが競争入札の原則であり、入札結果を見て、案件を取りすぎているから他社に回すというような事後調整的な発想はあってはならないことです。
再エネ議連の顧問は、例の河野太郎氏、会長は柴山昌彦氏、事務局長が秋本真利氏。「秋本議員」と「日本風力開発」を巡る贈収賄の疑惑を受けて、洋上風力の公募入札が政治介入によって歪められたのではないかとの不信感は高まるばかりであり、闇はとてつもなく深く、東京地検特捜部においては『疑獄事件』にまで掘り下げてもらいたいものです。
そもそも、日本の洋上風力の産業化の規模とコストダウン目標が中国と比べると10年以上遅れていていることを認識しなければなりません。中国は、行政の保護に依っているのではなく「厳しい競争」を通じて大幅なコストダウンに至っているのです。
国際再生可能エネルギー機関が発表している洋上風力の発電コスト試算では、日本のコストは英国の約4倍、中国の約2倍。圧倒的に安い価格を提示した三菱商事グループの落札価格でも欧州との比較では高い。それにもかかわらず、なぜ中国や欧州の価格に近づける努力をせず、ガラパコス的国内論理だけに基づき暴利を貪ろうとするのでしょうか。全く合点が行きません。競争を排除した結果のコストアップは、国民一般の負担増となることは明白です。また、競争を避けては産業は成り立ちません。
再エネを廻る、政治と政府と産業界の腐臭ふんぷんたる実態を明らかにし、秋元議員以上の隠れた “大物政治家” を炙り出して欲しいものです。
何か、変な動きがみられます。秋元議員は、東京地検特捜部の捜索を受け、4日外務政務官を辞任、5日自民党を離党しました。しばらく大人しくしようということでしょうが、8/13のNHK世論調査で、自民党の離党だけでは「不十分」という回答が61%にも上りました。秋元氏は比例復活議員であり「政党」としての議席で当選したものであり、公党である自民党の責任は免れません。このトップ責任者は岸田自民党総裁ですが“遺憾砲”以外はだんまりを決め込んでいます。そのような姿勢が岸田内閣の支持率の下落に表れているのではないでしょうか。
この岸田首相の無責任な姿勢は「政治への信頼」を損なうものであり、それは「一内閣への信頼」を大きく損なうだけではなく「政治そのものへの信頼」を空洞化させる可能性があると言わなければなりません。
岸田首相は「政党の責任」において秋元議員の辞職を決断すべきだと考えます…。
皆さんはどのように考えられますか。
次回は
時事エッセ-
です。
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コメント
太陽光や風や波など自然界の力を利用した発電がブームになっているが、自然の力を利用することが脱炭素と直結しているわけではない。太陽光を電力に変えるソーラーパネルも陸地に立っている大きなプロペラをもった風力発電機もすべて既存の電力や燃料を使って工場で生産している。したがってその発電機の装置が大きければ大きいほど炭素類も排出する。それはEV自動車についても同様である。「脱炭素」問題一つを見てもその改革が本当に地球温暖化を防ぐことにつながっているのかという疑問がある。さらに脱炭素とは別の視点から見れば、現在、太陽光や風力発電の装置が日本列島中に設けられているが、耐用年数が来た時、それらは膨大なゴミの量になるが、それらを処理する際の排出ガス等のマイナス材料は視野に入っているのか。また山や里の樹木を根絶やしという環境破壊と、数十メートルの風力発電がもたらす電波妨害や低周波による住民の人体への影響等は考慮しているのか。等々を考えたうえで原子力発電所と比較した時、総合的にどちらの方が人間社会にプラスがあるのか?少なくとも日本においては既存の稼働していない原発もすべて稼働させたほうが、日本国民の健康にとっても経済面でみてもはるかにプラスが多いと見えるが。
増税路線を走ろうとしている岸田内閣はどうせ低支持率であるなら、原発再稼働の方向へ政治力を行使したらどうか。五基だけでも新たに稼働すれば物価を抑え、国内企業にビタミン剤を打つ効果も出る。
投稿: 齋藤 仁 | 2023年8月25日 (金) 08時56分