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2023年9月 8日 (金)

福島処理水…メディアの独善が「風評被害」を呼ぶ!

 888回目のブログです。

2023981

 “秋吹くは いかなる色の 風なれば 身にしむばかり あはれなるらん”
               和泉式部(平安中期・詞花和歌集)

 秋はいろいろの色が目に沁みるのだが、秋に吹く風も、吹くといっそう秋の彩を添えて身に沁みるほど風情を感じさせられる…。

 風に乗って飛んでいる赤トンボの風情。頭の垂れている黄色の稲にそよぐ風。風の誘いでなびく白い薄。青い空に白い雲を漂わす風。黄色い蜜柑畑から香を乗せて来る風。風に吹かれて落下する紅葉。風で白い月を隠す薄い雲。黄色の柿を食べれば、法隆寺の鐘の音を運ぶ風。…秋に吹く風はどのような色でもしみじみとした風情が感じられます。

 秋の風を思い描くといろいろとあります。本来、風には色はないものですが、自然の風景の中で、赤とんぼの赤、黄色の稲、白い薄、白い雲、果ては法隆寺の金の音まで、風情の豊かさを感じさせてくれます。

 しかしながら、人間社会の雑々としたところには、優雅な雰囲気は一切漂わず、福島の原発処理水を廻る騒ぎには納得のいかないことばかりと思われ、ここで冷静な目で考えて見たいと思います。

 今、中国(中共中華人民共和国)はわが国の原発処理水の放出に反発し、日本からの水産物(ほたてなど)の輸入を急遽禁止しました。また、中国からの嫌がらせ電話が、自治体、企業、ホテル、飲食店、学校などに、多発しています。多くは中国の国番号「86」で始まる番号から掛けられ、例のけたたましい中国語でまくしたてられたり、片言の日本語で罵倒されたり、まさしく日本人の受ける恐怖感も半端ではありません。

 中国のわが国に対する対応は、これこそ、まさしくイチャモンであると言わざるを得ません。

 まず、処理水について検討してみましょう。わが国は、汚染された水から汚染水から放射性物質を多核種除去設備(ALPS、アルプス)によって除去すます。セシウム、ストロンチウム、ヨウ素、コバルトなど、ほとんどが除去できるのですが、トリチウムだけは除去できません。

 そこで、トリチウム濃度を1リットルあたり1500ベクレル未満まで海水に薄めてから放出しますが、これは国の安全基準の40分の1であり、WHOの飲料水水質ガイドラインの7分の1です。

 わが国の処理水の海洋放出は、IAEA(国際原子力機関)も、科学的根拠に基づくものであり、国際慣行に沿うものだと評価。日本政府は、その「報告書」(お墨付き)をいただいています。何の問題もないのではないでしょうか。参考に、各国の排出量がどの程度かを見てみましょう。

 【世界各国のトリチウム排出量】(年間)

  フランス(ラ・アーク)    1京ベクレル(2021年)
  カナダ(ダーリントン)  190兆ベクレル(2021年)
  イギリス(セラフィールド)186兆ベクレル(2020年)
  中国(陽江)       112兆ベクレル(2021年)
  韓国(古里)        49兆ベクレル(2021年)
  日本(福島第一)      22兆ベクレル未満(来年度~)
    〃            5兆ベクレル(今年度)

 因みに、中国の海洋放出は、紅沿河原発が90兆ベクレル、寧徳原発が102兆ベクレル、陽江原発が112兆ベクレル、泰山第三原発が143兆ベクレルなど。日本の6.5倍にものぼります。

 自国の処理水については沈黙し、日本を非難するという中国の姿勢は、余りにも姑息な手法であり、科学的思考にもとる極めて幼稚な対処ではないか! おそらくは、眼前に迫る不動産大危機、46.5%にも高まる若年の失業率、全般的な経済不振に対して、人民の目を外に向けさせるために企んだ中国政府の「情報戦」ではないかと考えられます。

 中国の情報戦に操られたのかどうか分かりませんが、わが国には中国の主張に同意するリベラルサヨクが多く見られます。彼らは似非インテリであり、彼らの言動が福島などの海産物に風評被害を齎していることを認識しなければなりません。

 有名なホリエモン(堀江貴文氏)は「処理水に関して難癖をつけているバカが多すぎる。中学校の理科の教科書を読み直せ。あなたたちが風評被害を起こし東北の人たちを苦しめているのだ。」と痛罵しています。

 ここで、科学にも民意にも背を向けた報道機関をご覧ください。処理水海洋放出決定翌日に全国の新聞各紙が出した社説などの比較が象徴的です。(8/28福島在住ジャーナリスト林智裕氏論考WedgeONLINEより)

 【処理水放出に反対の立場を明確にした新聞】

   朝日新聞
   毎日新聞
   共同通信
   北海道新聞
   河北新聞
   新潟日報
   信濃毎日新聞
   東京新聞
   京都新聞
   神戸新聞
   中国新聞
   高知新聞
   西日本新聞
   琉球新報
   沖縄タイムス
   日本農業新聞
   しんぶん赤旗(共産党)

 【処理水放出に賛成の立場を明確にした新聞】

   福島民友新聞(地元紙)
   日本経済新聞
   読売新聞
   産経新聞

 偏向したメディアが実に多いことに留意しなければなりません。上記新聞より社説の一部を引用しましょう。

【北海道新聞】

 『国内外に与える影響を見極め、福島をはじめとする地域の関係者との対話を密にして、海洋放出に代わる方策を追求すべきである』
 ※海洋放出以外の方策は10年以上検討されたうえで決定されています。

【中国新聞】

 『通常運転の原発の排水と、デブリに触れた水では比較になるまい。異常があっても回収する手立てはなく、一度流せば取り返しがつかない。このまま放出に踏み切れば、将来に禍根を残す』
 ※科学的性質が同じものを「比較になるまい」などと忌避するのは、無知以外のなにものでもありません。

【琉球新聞】

 『中国は“核汚染水の海洋放出”として反発を強めている』
 ※などと中国の立場ばかりを代弁する一方で、日本政府や国際機関が示す科学的安全性を周知しようとしていません。中国の工作に依りかかるのは止め、科学的知識に基づき真実を追求するとともに日本の国益に資する主張に戻るべきではないでしょうか。

【信濃毎日新聞】

 『放出の完了まで30年もの期間を要する見通しだ。漁業者が受ける被害は世代を超えることになるだろう。責任を持つ、と強調する政府の覚悟はいかほどか』
 ※と迫る一方で、やはり処理水の科学的安全性には全く触れておりません。なぜ、科学的知識に基づいた議論を展開しようとしないのか。それとも科学的知識を欠いているのでしょうか。

【福島民友】

 『ここには下を向いている漁師なんか一人もいない。船に乗りたいという若者たちがいる限り、私たちは今まで通り頑張るしかない。私たちにできることはこれまで通り魚を取り、検査で安全性を確認して出していくことだけだ──』(地元の漁師の言葉)
 ※この漁師の言葉は、長年生きてきた矜持に満ちており、苛烈な災害からの復興を経験した人達の強さであり美しさを示しています。心から尊敬したいと思います。

 処理水は放出され始めました。風評を抑えるためには、被災地の方々に心から寄り添い、日本人としての真の意味での「絆」意識を持った報道の姿勢に掛かっているのではないでしょうか。

 報道に携わる方々には心を改めていただきたいと願うものです。

 反発する中華人民共和国に対しては、政府として、「国連総会」「国連安保理」「G20」など全ての場で、処理水について「国際原子力機関(IAEA)が『安全だ』と『お墨つき』を与えている」ことを、100万回強調することです。そしてIAEAは7月、日本の処理水放出計画について「国際的な安全基準と合致している」とする報告書を発表していますので必ず報告書コピーを配布することです。(国際戦略家北野氏の言葉より)

 併せて、中国自身がトリチウムを大量に排出していることを全世界に伝えなければなりません。

 いまや、中国とは厳しい「情報戦」の真っ最中であることを、そして、情報戦は戦争そのものであることを認識しようではありませんか。そして、中国政府による風評被害は断固として止めなれればなりません。

 また、処理水放出に異をとなえている「れいわ新選組」「社民党」「共産党」に対しては、岸田首相自らが徹底した批判を加えるべきではないでしょうか。

 皆さんはどのように考えられますか。

次回は
時事エッセ-
です。

 

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コメント

中世の世界を思い返すと、欧州はキリスト教の宗教イデオロギーが、中東はイスラム教がそれぞれ世俗社会も支配していた。民衆が特定の教義・観念に囚われて、生物や自然という人間誕生時の摂理よりも、人間だけが持つ精神世界の特定の観念が社会全体を支配していたということだ。もちろん当時のアジアもインドのバラモン教からヒンズー教に続くカースト制度に見るように特定の教義や観念に囚われている地域がほとんだった。これらの教義は国外の民族に向けた攻撃的イデオロギーでなく、国内の支配者が国民を服従させるのに有効なものだった。だが19世紀に生まれた共産主義はそのイデオロギーを信じない者・信じない国の従来の教義や観念だけでなく精神生活そのものを破壊せんとするものである。そして中国共産党はそのイデオロギーにもう一つ、中華思想という国内統治のためでなく近隣地域を侵略する帝国主義思想を合体させた二重の攻撃性をもっている。残念ながら自由と民主主義を謳うアメリカもイデオロギーに毒され、民主主義政治の看板とも見える二大政党が存在しながら、そして国民の半数が共和党を支持していても、アメリカ映画や大手メディアでは共和党や共和党支持者を侮蔑するのが常態化している。その波が多元化社会であるはずの日本にも押し寄せて「自由」「民主』を掲げる政党がLGBT法を推進した。挙句の果てが自称インテリの、実際は「地頭の悪い」政治家やコメンテータが特定のイデオロギーに洗脳されて、処理水を汚染水と連呼している。安全とわかっていても「危険な汚染水」と叫ばなければ己の心が安定しないのである。角をもった鹿を見て馬と言わされているのでなく、鹿とわかっていながら馬と叫んでいるのである。頭でっかちの現代社会に生きる人々は中世の宗教世界へと戻ってしまったようだ。

投稿: 齋藤 仁 | 2023年9月 8日 (金) 10時29分

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