『岸田政権』崖、崖、崖っ淵 !
894回目のブログです。
“いつの世の ふもとの塵か 富士のねを 雪さへ高き 山となしけん”
阿仏尼(鎌倉中期・十六夜日記)
(詞書:富士の山を見て「古今集の序」の言葉を思ひ出されて)
いつの時代の麓の塵が積もり積もって、富士の山を雪まで頂く高山にしたのだろうか…。
古今和歌集の序の一節に、「遠い所も出発の第一歩より始まり、年月を経て到達し、高い山も麓のわずかな塵土が積もり重なって、ついに天雲がたなびくほど高く成長するように、歌もこのように発達を遂げたのでありましよう」とあり、
さらに、白楽天の『千里も足下より始まり、高山も微塵より起こる』(何事も小さな積み重ねによって大きな成果が生まれる)を念頭にして詠んだ歌でもあります…。
先日、ある勉強会で、ウクライナ人で在日の国際政治学者のグレンコ・アンドリー氏の講演に耳を傾ける機会がありました。ウクライナ対ロシアの戦争はまだまだ長引きそうであり、わが国を含む自由民主主義国のウクライナ支援が不可欠であるとの思いをあらためて強く持った次第です。
今、世界はパレスチナ(ハマス)対イスラエル戦争にすべての目が行きそうですが、ウクライナや台湾有事にも確かな視線を注ぐことが極めて大事だと言わねばなりません。
そんな時、国内の情勢は、岸田政権のふらつき、カリスマ創価学会池田大作氏の逝去など、混沌とした世の中になってきたことは疑いのないことだといえるのではないでしょうか。まず、11月度の内閣支持率をご覧ください。
【11月度・内閣支持率+自民党支持率=青木率】
内閣支持率 自民党支持率 青木率
毎日 21.0(%)24.0(%)45.0(ポイント)
時事 21.3 19.1 40.4
読売 24.0 28.0 52.0
朝日 25.0 27.0 52.0
産経/FNN 27.8 29.0 56.8
共同 28.3 34.1 62.4
NHK 29.0 37.7 66.7
TBS/JNN 29.1 26.2 55.3
日経/テレ東 30.0 34.0 64.0
驚愕の数字! 岸田内閣への支持率が、日経を除く全メディアで30%を割る数字となっています。さらに、毎日と時事は、青木率(内閣支持率+自民党支持率で50ポイントを割れば内閣が倒れるという経験則)において50ポイントを割っているという異常事態であり、これらを見れば、岸田内閣は、もはやレームダック(死に体)状態に陥っていると言っても過言ではありません。
各メディアで、内閣支持率、自民党支持率、青木率の差異が見られますが、これは調査の方法の違いからくるもので、最も信頼できるのは、「対面調査」を行っている時事通信だと言われています。その時事で、内閣支持率21.3%、自民党支持率19.1%、青木率40.4ポイント、という最も厳しい数字ですから、岸田首相もその厳しさをぞっとした気持ちで眺めているに違いありません。
さて、11月24日から国会の予算委員会が始まりましたが、岸田首相は、所得税減税、政務3役の不祥事、大阪・関西万博の経費問題など、野党からボコボコ、サンドバッグ状態、なすすべもありません。傍から見ても気の毒なくらいですが、何とも鈍感で打たれ強い性格のようです。
岸田首相のこれまでの実績をみてみましょう。
・原発処理水の放出を断行(中国は孤立化、韓国は日本に同意)
・ウクライナ訪問
・バイデン米大統領らを招いた広島サミット
・安全保障では、反撃能力保有の容認
・同じく、防衛費予算2%/GDPへの増額を確約
・エネルギー問題では、原発への積極的な関与
こう見ると、結構結果を残しているとも言え、もう少し評価しても良いのではないかとの考えもあろうかと思いますが、ウクライナ訪問とバイデン米大統領らを招いた広島サミット以外は、安倍首相からの流れの中で成立したものと考えることもできます。
それでは、問題点について考えて見たいと思います。
・バイデン大統領の原爆資料館訪問のバーター取引として「LGBT法」(米民主党およびバイデン夫人が熱烈に推進)を拙速に成立させたことは大きな問題と言わねばなりません。岸田首相は広島が選挙区。広島サミットに重みを付けるためにバイデン大統領の出席を懇願、その為に「LGBT法」成立をバーターとして差し出したと報じられています。国益のために行う外交を私利私欲に使うとは余りにも露骨すぎると思います。
・「異次元の少子化対策」3年間で3兆円台半ばの予算を想定、その財源は「徹底した歳出改革」で捻出し、足らずは、負担能力に応じ「医療保険料」に上乗せして徴収する方針とのこと。分かりやすく言えば、『医療保険料』を値上げするということに他なりません。これが『異次元』という言葉の正体とは何とも理解に苦しみます。
・臨時国会では予算委員会に議論が移っていますが、世のなかの関心は岸田首相の唱える「減税」一本。何と来年6月! 4万円/一人当たりの所得税減税と低所得者世帯への7万円給付を実施するとしています。
これに対して、野党は以下のように異をとなえ、
「減税の来年実施は遅すぎ。現金給付を急ぐべき」(立憲・泉代表)
「社会保険料の減免を」(維新・馬場代表)、
「消費税の減税を」(国民・玉木代表)
肝心の与党自民党は、総理の所信演説に対して、
「世の中に対しても総理が何をやろうとしているのか
全く伝わらなかった」(自民・世耕参院幹事長)
と、岸田首相をぼろくそに貶すという前代未聞の姿勢を示しました。
各野党の明示した代案である、即時の現金給付、社会保険料の減免、消費税の減税、はいずれも正当なものであり、岸田首相としても真摯に取り上げるべきもののはずですが、財務省の手の上で転がされているのでしょうか、お得意の “検討” さえもしていない不実さを指摘したいと思います。
・今まで自民党を支えてきた3割強の保守岩盤層が、岸田内閣及び自民党の出鱈目な政策と政治姿勢に愛想を尽かせ、他政党にシフトし始めた結果の数字が上表のガタガタの支持率となって現れてきているのではないでしょうか。
その動きが「日本維新の会」を大きく伸ばしていることはご存知のことと思います。
そして、つい最近結党したばかりの「日本保守党」の街頭演説が11/11大阪梅田のヨドバシカメラ前で行われましたが、余りにも人が集まり過ぎ、大阪府警から不測の事態防止のための中止要請があり、演説の途中から止むを得ず中止となりました。
それにしても、小泉純一郎元総理並みの注目を集めた日本保守党の動き、すでに桁違いの党員数、既成政党を大幅に上回るX(旧ツイッター)フォロワー数を確保しており、今後の動きに着目する必要があります。自民党も安閑として居られないのではないでしょうか。
岸田首相は、国会の所信表明演説で“経済・経済・経済”と堂々と陳述しましたが、その意気や良しなるも、虚無的な言葉の羅列、今や内閣支持率は釣瓶落としの暴落、“崖・崖・崖っ淵 ”から落っこちないことを祈るばかりです…。
皆さんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセ-
です。
| 固定リンク
コメント
先の大戦で将来の日本を背負う若者をたくさん失っただけでなく、東京をはじめとする全国の大都市・工業都市が空襲で焼け野原となった。戦後はヒトもモノも足りない条件のもとで再出発だったが、それでも戦後二十年で新幹線が走る経済大国の仲間入りをした。戦前からの企業も復活しただけでなく、ホンダやソニーという新企業がどんどん出てきた。戦争を生き残った人たちだけでも驚異的な復活を遂げることができた。その最大の理由はゼロからの出発という状況にすべての日本人がそれぞれの立場で奮起したことだろう。顧みれば日清・日露の戦争は維新政府の指導者たちにとっても初めての体験であったが、見事に乗り切った。だが大正から昭和にかけての政府・軍部の発想力・判断力は明治の先人たちと比べるとはるかに鈍化している。端的にいえば「前例踏襲」の官僚的発想に陥っており、国際情勢の変化に対応できなくなっている。国家や大企業の組織が安定して制度化した結果、組織内の受けのいい人がトップに上がるという日本社会の短所のほうが顕著になるのである。二世三世といった恵まれた環境で国会議員になった人たちは昭和初期の二世三世軍人と似ている。これを改めないとベンチャー起業家になったら必ず失敗するだろうというような首相を次もその次もいただくことになるだろう。
投稿: 齋藤 仁 | 2023年12月 1日 (金) 08時52分