『増税メガネ』…岸田首相のあだ名・言い得て妙!
892回目のブログです。
“さびしさは その色としも なかりけり 槇立つ山の 秋の夕暮れ”
寂蓮(平安~鎌倉)
この寂しさはとりたてて特にどの色からという事ではないのだが、山全体から寂しさが漂うよ。杉や檜の茂る秋の夕暮れは…。
三夕(さんせき)の歌のひとつ。もう二人は、西行、定家。いずれも和歌の世界ではビッグネームであり、秋の夕暮れの感懐が三人三様に詠われており、見事という他はありません。
本格的な秋の風情が漂い始め、肌寒い日が続いておりますが、秋と言えば何となく寂しさが感じられ、それは、下界の権力闘争のなかでもはっきりと現れてきているように思えます。国内政治を眺めれば、誰しもそれを感じられるのではないでしょうか。
先日、秋の臨時国会が開かれ、首相の所信表明が声高らかに示されるものだとばかり思っていましたが、岸田首相の言葉は弱々しく「僅かな所得税減税」を述べただけであり、野党はもとより与党の有力者らからも総スカン、厳しい批判に晒されています。
首相ご本人は頗る善政を施そうとしているのでしょうが、国民は、首相が財務省の手の平で軽く転がされているように見えており、首相の勇気の無さを、秋の夕暮れに、寂しく、悲しく、静かな怒りを持って感じ取っているのではないでしょうか、…上掲、寂連の和歌の心境にあるように。
岸田首相への信頼が人心から離れつつある証拠として、今回の小ブログでは『首相プレミアム』という“政治指標”をご覧いただきたいと思います。「内閣支持率」から「与党第一党の政党支持率」を引いたプレミアムの値が大きければ大きいほど、政権が有権者の広範な支持を得ていることを示しています。
【首相プレミアム】
内閣支持率 自民党支持率 プレミアム
2020/09 菅内閣発足時 66.4% 47.8% 18.6%
2021/08 菅内閣五輪時 31.8% 39.5% ▲7.7%
(共同通信)
内閣支持率 自民党支持率 プレミアム
2021/10 岸田内閣発足時 56% 43% 13%
2023/07 岸田内閣7月 35% 33% 2%
2023/08 岸田内閣8月 35% 30% 5%
2023/09 岸田内閣9月 35% 31% 4%
(読売新聞)
菅内閣は2021/10内閣辞職。また、岸田内閣のプレミウム数値をご覧いただければ、発足当初の“ご祝儀相場”の貯金を使い果たしていることをお分かりいただけると思います。もう、後はありません。
岸田首相は巷間『増税メガネ』というあだ名を気にしているそうですが、ネットではもっとえげつない「増税●●メガネ」「増税●●レーシック」も流行っています。(●●の文字は“クソ”ですが、あまりも穢い言葉であり使わない方がよいのではないでしょうか。『増税メガネ』までに抑えるべきだと思います)
それにしても、岸田内閣はどうして広範囲に、論理性もない増税に踏み込むのでしょうか。理解に苦しみますが、どのようなものが目論まれているのかそのほんの一部を列挙しましょう。
① 社会保険料値上げ
・健康保険料値上げ
・介護保険料値上げ
・雇用保険料値上げ
② 退職金課税値上げ
③ 国民年金の納付期間を60歳から65歳に延長?
④ 消費税率を15%に?
・1997年に3%から5%に、
・2014年、5%から8%に、
・2019年、8%から10%に
・?
⑤ 走行距離税導入検討
⑥ 防衛増税
・法人税
・所得税
・たばこ税
⑦ 森林環境税
これだけでも、あるは、あるはですが、その他てんこ盛り。岸田首相が首相に就任時「新しい資本主義」「新自由主義からの転換」や「令和の所得倍増計画」などを声高らかにぶちあげていましたが、その後どうなったのか。見事なまでに反故にされたことに怒りを覚えずにはいられません。
どこに、「令和の所得倍増計画」を埋没させたのか、口先だけで国民を騙そうとしたのか、漫才ではありませんが“責任者出てこい!”…岸田首相には、出てきて釈明をしてもらいたいものです。
歴史を振り返って見れば、岸田首相の率いる派閥「宏池会」の創設者池田勇人総理大臣は「所得倍増計画」に果敢にチャレンジし、見事な成果を実現しました。それに引き変え、岸田首相は、①積極経済、②積極財政、③経済成長に全く触れず、チャレンジもしないとは、“泉下の池田勇人総理大臣”は、深い嘆きと悲しみで涙にくれているのではないでしょうか。
今回の減税では、所得税で3万円、住民税で1万円、合計4万円の定額減税を1年間の期間限定で行い、主に住民税非課税になる低所得世帯には7万円を給付する案を提示しました。
疑問①:使える減税枠約50兆円あるのもかかわらずなぜ5兆円の枠に収めようとするのか。余りにもしょぼすぎる案ではないか。需給ギャップを埋め、成長路線に導くためにも、15兆円/年間×3年間持続させるべきです。
疑問②:10月4日、自民党の責任ある積極財政を推進する議員連盟が発表した、『我が国が「明日は今日よりよくなると誰もが感じられる国」となるための総合経済対策・補正予算編成に向けての提言~真水20兆円規模の補正予算を求める~』の政策を真面目に検討し具体化すべきではないか。池田勇人大総理に学ぶべきだ。
疑問③:なぜ消費減税(例えば10%⇒5%)を行わないのか・理解に苦しむ。
岸田首相には無いものねだりかも知れません。ある著名な政治アナリストが興味深いことを言っておりました。総理は、2タイプに分類できるそうです。
『なったら総理』は、首相になる前から『総理になったら必ずこれをやる』と政策ビジョンを練り続けた政治家。代表的人物としては…、
・中曽根さん (1918~2019)
・小泉純一郎さん(81)
・安倍晋三さん (1954~2022)
『なりたい総理』は、総理になることだけが目標で、それが実現すると次の目標はない。国家観や政策上の定見といった中心軸が存在しないのが特徴で、その代表人物は…、
・菅 直人氏(76)
・岸田文雄氏(66)
だそうです。まさに、言い得て妙。岸田首相にはビジョンは何もなく、あるのは“人事”のみと言われています。さもありなんで、だとすれば、変な政策を無理に行ってほしくないと願うばかりです。
皆さんはどのようにお考えですか。
次回は
時事エッセ-
です。
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コメント
日本保守党の百田氏が指摘しているように、二世三世の世襲議員は基本的に国家の指導者として不適格。時に安倍首相のような優れた指導者が出るが、それは松下村塾を生んだ長州藩の心意気や立国の思いを政治家になって後も堅持し続けた一族の精神を受け継ぐ強い意思を安倍晋三氏本人がもっていたからである。それは同じ長州出身でも中国に魂を売って平然としている林元外相をみればわかる。世襲議員となった政治家の大半は「日本国のために身を犠牲にするぞ」という情熱よりも、一族の前でこれで俺も一人前と認められるぞ、友人や世間にも「どうだ!」などといった自己満足を中心とした名利追及が原点になっているとしか見えない。下部の地方議員が都道府県議員を、都道府県議員が国会議員を政党の候補者に選ぶ構造が確立した中での小選挙区制を変えない限り、地盤をもった世襲議員はこれからも増え続ける。それは日本国をさらに脆弱化する。小選挙区制を潰すか、衆参両議院ともに政党単位の比例議員数を増やすなどの手立てをとらないと古代アテネと同じ道をたどることになるだろう。
投稿: 齋藤 仁 | 2023年11月 3日 (金) 08時21分