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2023年12月15日 (金)

『大阪・関西万博』中止論…是か非か!

 895回目のブログです。

202312151
 (建設中の万博会場)

 “難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花”
                 王仁(4~5世紀・渡来)

 難波津に咲き出した梅の花。冬は去り冬の間は籠っていて、今はもう春になったので咲いたよこの花が…。

 早くても1月にならないと梅の花は咲きませんが、わが国の政界をめぐる動きは、何やら、どんよりとした薄墨を撒いたようにも見え、年が明けてからは、すっきりとした梅の花に相応しい雰囲気を取り戻して欲しいものです。

 今、政界では、自民党がパーティ券不正疑惑(記載ナシ及び記載モレ)で苦悩しており決着の先が見えません。しかしながら、この事象は25年も前からの慣習として広く処理されているため、全容の解明にはまだ時間が掛かるものと思われます。

 永年の慣習というものの悲しき性、政治家にとっては宿痾ではあっても、罪の意識はほとんどなく、あったとしても極めて薄いのではないでしょうか。

 とすれば、政治家たるもの、政治、選挙の信頼性を担保する「政治資金規正法」を熟読、精読し、その意図するものを理解し、厳正に遵守しなければなりません。もしも、このように対応していたとすれば何のお咎めも罪も罰も受けることはないはずです。こう言えば、綺麗ごとだと言われるかも知れませんが肝要なことだと考えます。

 とはいっても、この騒動は、テレビ報道に映し出される政治家の表情を見れば、例えば、主要政治家のニタッとした顔つきをごらんなさい、間違いなく権力闘争の一環であることを確信できます。検察、財務省、安倍派、自民党各派閥、岸田首相、与党、野党、左右メディア…。

 さて、「大阪・関西万博」もオープンまで500日を切り急ピッチで会場建設が進められていますが、そのなかで、万博中止論が一部で唱えられていますので、この点を考えて見たいと思います。

 ご存知のように、万博の立役者は、故・堺屋太一氏(作家/元通産官僚)。堺屋氏は、日本の目指すべきは「3度目の日本」だと述べています。
  1度目の日本 「明治日本」  軍人と官僚の専制
  2度目の日本 「戦後日本」  規格大量生産で、官僚主導
  3度目の日本 「楽しい日本」 民間主導

 堺屋氏の目論見通り、大阪・関西万博が「夢」を描き、「未来」を示す祭典になれるかどうか、本来であれば、大阪、関西が一丸となって推し進めるべき時にもかかわらず、ギシギシとした雑音が聞こえるのは問題と言わねばなりません。

 日本財団の若者(17歳~19歳、男女1000人)の意識調査によれば、大阪・関西万博について68.1%が「賛成」と答え、「反対」は6.6%にとどまっており、若者の夢と未来への期待が現れていると言えるのではないでしょうか。

 ところが、タイトルに記したように、「大阪・関西万博」中止論が、会場建設費の大幅増額が正式に決定するに及んで噴出しました。

 建設費 平成30年11月 1,250億円
     令和 2年12月 1,850億円(+600億円増)
     令和 5年10月 2,350億円(+500億円増)

 現在2,350億円。当初予算より1,100億円増(当初より88%増)。これを見ればとんでもない甘い見積もりから出発したものだと言わざるを得ません。建設費高騰の要因は、日本国際博覧会協会によると資材費や人件費の高騰とのことですが、何やら釈然としません。

 建設費は、政府、大阪府/市、経済界の3者が等分負担することになっていますが、大阪府の吉村洋文知事は「説明は不十分だ。協会に改めて質問し、回答を踏まえて判断したい」と厳しい表情で語ったとされます。しかし考えて見てほしいものです。吉村知事は、日本国際博覧会協会の副会長ですから、この発言はポーズ、当事者であり無責任極まりない発言ではないでしょうか、何をかいわんや…。

 会場建設費の中でも、約350億円を費やす木製の巨大環状屋根「リング」への風当たりは強いものがあります。これは「多様でありながら、ひとつ」を示す万博のシンボル。約2キロの円周で会場を取り囲み、高さ12〜20メートル、内径約615メートルの”世界最大級の木造建築物”と詠っています。

 木製の巨大環状屋根「リング」は、日本の伝統的な「貫(ぬき)工法」という方法を基本的には使っていますが、より安全性を考慮して一部に釘やボルトも活用しているとのこと。…これについて、識者の中には、100%「貫工法」でなければ伝統工法ではないとの異論を唱える人もいますが、基本工法がほとんどであれば近現代技法の一部で補強しても問題はないのではないでしょうか。

 一部には、中止論が沸々と湧いており、今ならばまだ間に合うという意見もあります。確かに、過去の例を見ても、1996年「世界都市博」(東京臨海副都心)という博覧会が開催されようとしていましたが、青島幸男氏の知事当選でぎりぎり開催1年前に中止決定したこともあります。

 これに対して、評論家の辛抱治郎氏反対するなら招致段階で声を上げるべきだと苦言を呈しています。そして「中止することはあり得ないと思いますが、仮に中止したら世界に顔向けできません」「日本としては、開催まで2年を切っている現時点では、どうやって成功させるかということを考えていかなければならないと思いますね」と語っています。

 筆者も辛抱治郎氏の意見に賛同します。

 今年は、プロ野球(NPB)において、セリーグでは阪神タイガースが、パリーグではオリックス・バファローズが、そして日本一に阪神タイガースが優勝。サッカー(JFA)において、ヴィッセル神戸がJ1に優勝。

 大阪、関西はスポーツにおいて乗りに乗っています。特に、サッカーJ1・ヴィッセル神戸は、阪神/淡路大震災が起きた平成7年(1995)に誕生し、創設29年目で悲願の初優勝を果たしたものであり感慨もひとしお。震災復興とチーム躍進の願いを重ねた「神戸讃歌」が高らかに響きわたりました。♪ 俺達のこの街に お前が生まれたあの日 どんなことがあっても 忘れはしない…の歌が。

 何はともあれ、現実は、政治も経済も多事多端、大阪・関西万博中止論が取りざたされているがゆえに “万博の成否” は日本の未来を左右するターニングポイントになるように思えてなりません。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセ-
です。

 

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コメント

「中止は無理」だろうが、国民・府民の税負担無視の「ヒトの金=公金チューチュー」運営をしている関係者は責任をとるべきではないか。工事中に経費が予算をはるかに超えることを容認したのは運営関係者たちだろう。彼らは報酬半額を自ら申し出る、それくらいの責任は取って当然である。この万博を計画し運営している実質的主体は府政・市政を担当している維新の会にある。国は金ヅルでしかない。維新の会の発足当初は橋下徹の威勢のいい、後で思えば弁護士特有のその場しのぎのハッタリだったと判明したが、遠巻きで見学していた人たちには「何かをやってくれる」という期待感をもたらしてくれた。だが今は党首も幹事長も発言等を聞くと、橋下氏と同じで、その場しのぎの言葉が多く、別の立場に要れば全く逆の発言をする。日本国の強み・長所は日本を愛する観光客が良く知っている。伝統を愛し勝敗や優劣を競うより気遣いのできる日本人でありたいという思いに満ちている国だということだ。人を裏切っても仲間を裏切っても平然とできるディベートの巧みな弁護士型の政治家は欧米のほうが適していると思うが。

投稿: 齋藤 仁 | 2023年12月15日 (金) 09時41分

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