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2024年7月26日 (金)

「既存政党」の終わりの始まり…石丸ショック!

 911回目のブログです。

20247261

  “蓮葉の にごりの染まぬ 心もて なにかは露を 玉と欺く”
                                     遍昭(平安前期・古今和歌集)

 蓮の葉(はちすのは)は、濁った水の中に生えていながら、濁りに染まらない清らかな心を持っている。なのに、葉に置く露を玉に見せかけて、人の目を欺くのはどうしてだろうか…。

 作者は平安時代六歌仙の一人。この歌は『法華経』の中のある経文を典拠とし、「世間の法に染まざること、蓮華の水に在るが如し」…蓮の葉にある露のきらりとした品のある美しさを見事に歌い上げたものです。

 相変わらず暑い日が続きますが、熱戦、激戦を繰り広げた7月7日(七夕の日)の東京都知事選を振り返ってみたいと思います。都知事選は、56人の立候補者の選挙ポスター掲示板の数不足、猥褻な写真の掲示、掲示板の売買、学歴詐称、二重国籍、「女の闘い」などなど、従来にない猥雑な都知事選が繰り広げられました。そして、結果は、極めて興味深いものになりました。

  ① 小池百合子 2,918,015(票)(当選)
  ② 石丸伸二  1,658,363
  ③ 蓮舫    1,283,262

 特に、マスコミの注目を集めたのは、石丸伸二・前安芸高田市長の初挑戦とは思えない刮目すべき選挙戦の盛り上がりと、その結果の165万票というとてつもない獲得票です。

 石丸氏は、広島県の安芸高田市長を1期務めましたが、とにかく、議会とは徹底して対立姿勢を貫き、議員に向かって「恥を知れ!恥を!」という過激な言葉を発するほどでした。

 一般的に言えば、地方議会は馴れ合いで事を進めることが普通ですが、その馴れ合い政治を一貫して否定したのです。したがって、議員とはそりが合わず、そればかりか、メディア(安芸高田市では中国新聞)とも丁々発止とやりあいました。

 この姿を見れば、何とも幼稚、傲慢、上から目線に見えるかもしれません。石丸氏の考えは、相手を職業人として対等に議論しようとすることのようで、本人は何も突飛な、いじけた人格の持ち主ではないと自己判断しています。

 石丸氏は、毀誉褒貶、都知事選後マスメディアから、対話の手法や「石丸構文」という特異な論理展開で、物議をかましています。彼の人間性、人格というものがどのようなものであるか、彼がトリックスターか否か。youtubeで下記を検索して、石丸市長の講演から判断してみることをお薦めします。

        youtube『あきたかた二十歳のつどい』
     石丸伸二市長メッセージ(2024年1月7日)
     広島県安芸高田市公式ちゃんねる(登録者数23.5万人)

 今回の都知事選の姿を点描してみれば、自民党は立候補者さえ出せず、古い金権体質を引きずったまま、自民党・公明党はステルス(裏)で小池氏を支援というどす黒さ。蓮舫氏は、立憲民主党および共産党、俗にいう「立憲共産党」の支援を受け、街宣車に両党の幹部が同乗、これでは無党派層はドン引き。石丸氏は、SNSを駆使するなど、独自の選挙戦略をたて、際立った存在をアピール。既存メディアは、石丸氏がこれほどの票を獲得するかまったく読めず、選挙判断力の無さを露呈、メディアとしては完敗。

 なぜ、このような選挙戦になったのか、考えて見ましょう。

 ・石丸陣営の布陣

   石丸伸二(京大・三菱銀行・ニューヨーク駐在・安芸高田市長)
   鳥羽博道(ドトールコーヒー創業者)
   藤川晋之助(選挙プランナー・“選挙の神様” 選対事務局長)
   小田全宏(実業家・松下政経塾・選挙本部長)
    エール /堀江貴文(実業家)ひろゆき(実業家)

 これは、共産党から自民党までを含む「旧来の既存の政治」の外側に、新たな対立軸が現れて来ていると見ることもできます。これまで百数十の選挙に携わった  “選挙の神様”  藤川晋之助氏が、①ボランティアが5500人(!)も駆け参じポスター貼りなど行ったこと、②228回に及ぶ街頭演説に立錐の余地のない多数の聴衆が耳を傾けたこと、③WEBでの政治献金が3億円以上も集まったこと…など、過去にない異例な現象に涙を浮かべている映像は感動的でした。

 この動きは、これまで政治に関心を寄こさなかったグループの鮮烈な政治活動の胎動を暗示するものではないでしょうか。このグループの人々は、SNSで活動する個人、起業家、スタートアップ企業・IT企業のメンバーなどの世の中の勝ち組であり、デジタルイノベーションを本旨とするものだと考えられます。

   『デジタルイノベーション』(digital innovation)
    デジタル技術を駆使して、新しい価値を生み出し、
    社会に変化をもたらすこと。

 ここで、著名な実業家・堀江貴文氏の注目すべき発言をご覧ください。

 「(自民党に対抗できる勢力は)マネーと志と戦略があったら作れる。前明石市長の泉房穂さんは、次の総選挙で政権を取れるぐらいの発言をしている。(中略)彼のところに前澤友作のような人が1,000億円を入れると言ったら政治は変わる。そこにインフルエンサーも絡んできたら、小選挙区も比例も一気に獲得して、政権交代する可能性はあると思う。」(23/12/1『ABEMA TIMES』)

 政界においては、一寸先は闇といわれています。30年間ほとんど変化のなかった日本社会、今、変革の時代、転換点を迎えたように思いますが、みなさん如何でしょうか。

 最後に、メディアと石丸氏との応答を。

メディア
 「得票は予想を上まわったか」
石丸氏
 『なんという愚問か。最初から負けることを考えるバカはいない』

日テレ:コメンターター社会学者の古市憲寿氏
 「どうやら石丸さんが2位らしい。嬉しかったですか」
石丸氏
 『メディアへの苦言だが、勝ち負けなどと言うあくまで候補者目線の小さな話をする。そういう煽り方をするから国民の意識がダダ下がりなんですよ。いい加減にわかってください』

 司会者やコメンテーターはコテンパン、形なし。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセ-
です。

 

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コメント

今回の都知事選を分析するときは「まともな選挙じゃなかった」という前提を確認する必要がある。小池は学歴詐称、蓮舫は事実上の共産党候補という大きな闇を抱えていたうえに共に選挙日前からいくつもの公職選挙法違反をしており、都民からも国民からも「赤い蓮舫と緑のタヌキ」と揶揄されてきた。したがって知名度が高く問題の少ない人ならタレントでも誰でも立憲共産を上回る、さらには現状の自民党に呆れている保守層の支持も得られる可能性は高かった。また現在、自民から参政党に至るまで政党数は激増したが、基本は二大政党時代と言われた自民党、社会党の戦後体制がさらに分裂派生したに過ぎない。即ち自民党は戦後占領体制を保守するという保守党であり、社会党系はアメリカ寄りの占領体制を保ったまま社会主義に変革しようというものである。結局、国民から認知された既存政党はすべて戦後体制の肯定派であり、それは新聞・テレビに代表される大手メディアのすべてに共通している。だが日本が大好きという訪日観光客は生まれ変わった戦後日本に魅せられてリピートしているのではない。自然を愛し神社仏閣を敬い、古きものを大切に残し、海の幸山の幸を大切にいただくという日本の伝統文化に感動しているのである。「世界にまだこんな国がある」と感嘆しているのである。まだ津々浦々に残っているわが国のこの宝を守ろうとしない・生かそうとしない・次の世代に伝えようとしない、そんな政党と政治家では投票しようもない。それが誰かが何かを、という浮動票になっている。なお石丸氏のように承認欲求ばかり強く、具体的な政策もない人はアピール力があっても権力をもたせるのは危険と見るのは私だけではないだろう。

投稿: 齋藤 仁 | 2024年7月26日 (金) 08時53分

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