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2024年11月29日 (金)

時代は動いている!…兵庫県知事・再選に思う 

 920回目のブログです。

202411291

  “朝まだき 嵐の山の 寒ければ 紅葉の錦 着ぬ人ぞなき”
          藤原公任(平安中期・拾遺和歌集)

 朝がまだ早く嵐山のあたりは寒いので、山から吹き降ろす風のために紅葉が散りかかり、錦の衣を着ない人はいない…。

 紅葉の名所として有名な京都嵐山の晩秋の景観を詠んでいます。春は桜狩り、秋は紅葉狩り、毎年の恒例とはいうものの、その中に入ればいつ眺めても、自然の美しさに心が奪われてしまいます…。

 ところが、人間社会の動きは、今まさに「激動」という言葉に相応しい荒れようを示しているように思えます。例えば、11月17日投開票が行われた「パワハラ疑惑による知事の失職」に伴う兵庫県知事選について考えてみましょう。

 【兵庫県知事選:結果】

 斎藤 元彦(元総務省理事官)    1,113,911票(45.2%)
 稲村 和美(元兵庫県尼崎市長)    976,637票(39.6%)
 清水 貴之(元参議院議員)      258,388票(10.5%)
 大澤 芳清(尼崎医療生協病院長)    73,862票( 3.0%)
 立花 孝志(NHKから国民を守る党首   19,180票( 0.8%)
 福本 繁幸(レコード会社社長)      12,721票( 0.5%)
 木島 洋嗣(ニュース分析会社社長)        9,114票( 0.4%)
    投票率 55.7% (前回:41.1%)

 斎藤氏は、選挙戦当初は街頭でひとりぽっちの寂しい挨拶からスタートしましたが、中盤から勢いを増し、後半は街頭演説の聴衆も押すな押すなの大盛況、あれよあれよの劇的なトップ当選となったのです。結果的に、パワハラ疑惑をはねのけ、県民・市民の厚い信任を得たことになりました。

 斎藤知事の基本路線は、過去20年にわたる井戸前知事路線との明快な決別でした。

まず着手したのが地域整備事業と分収造林事業による、合計約1,500億円規模の「井戸時代の隠れ負債」の返済。これは、民間の乱開発を防ぐため、県が先回りして土地を買い取り開発した事業のことで、バブル崩壊後の地価下落で負債となっていました。井戸県政の「タブー」に果敢に挑戦したものとして注目されます。

県の外郭団体役員に対し、定年規定を「厳正に適用」。本来、県の内規では65歳定年のところ、井戸県政下で70歳以上にまで延長されていた慣行に、メスを入れました。これに県OBは反発。

県立大学の教育無償化の実施。教育無償化は大阪での維新の目玉政策で、齋藤知事も踏襲。若造に油を攫われたとして自民党文教族が猛反発しました。

県庁舎の建て替え(当初700億円⇒1,000億円⇒1,200億円に増額)を中止し、その予算を全国46位という遅れた教育環境の整備などに回すことにしました。これにも議会は、従来利権がうばわれることとして反発したのでしょう。

 上記の事柄などをバックグラウンドとして、兵庫県政(斎藤知事・県会議員・職員&OB・マスコミ&SNS・県民)に大きな『うねり』が生じたのです。経過をごらんください。

 3/12 西播磨県民局長が県会議員や報道機関などに匿名で
      齋藤知事のパワハラなど7項目に関する「告発文」を送付。
 5/07 県は内部調査を公表「事実ではない」との見解を示し、
        県民局長を停職3ヶ月の懲戒処分に。
 6/13 県議会が百条委員会を設置。
 ・7/07 県民局長が自殺。証人尋問の2週間前だった。
 ・8/30 斎藤知事が百条委員会に初出頭。
      「元県民局長の処分は適切だった」と主張。
 ・9/19 県議会で斎藤知事の不信任案が全会一致で可決
 9/30 斎藤知事が失職。
 ・11/17 県知事選投開票。斎藤氏が再選される。

 中央政界もガタガタ(日本の恥:石破首相の立ち居振る舞いのだらしなさを見よ!)ならば、それにならって地方政界もがたがた。そのポイントを指摘したいと思います。

 県議会で斎藤知事の不信任案が全会一致で可決したのですが、斎藤知事失職後の選挙で「再選」とは、まるで戯画(カリカチュア)! としか言いようがありません。少子は全く理解に苦しみます。このことを県会議員はどう考えているのか。

 ユダヤ人イザヤ・ベンダサン(山本七平)は『日本人とユダヤ人』で、「ユダヤ人の古い慣習では、全会一致の決議は無効としている」と記し、“全会一致の決定は場の空気が異論を封殺することで現出することが多い” と指摘しています。兵庫県の議員は田舎芝居ではなく知性ある議論をしてほしいものです。

 当初、斎藤知事の疑惑は、パワハラ(パワーハラスメント)と土産物収賄の疑惑でした。それをマスコミは面白おかしく、パワハラおねだりと称し、連日ワイドショーで視聴率稼ぎの材料にしました。そして、県民局長の自殺の原因を斎藤知事のパワハラにあると議会もマスコミも断定。本来、人の死というものはそんなに単純なものではなく、ましてや「自死」ともなればその因果関係には慎重に当たるべきことは言うまでもありません。

 斎藤知事は、パワハラもおねだりも否定し続けてきました。そして、百条委員会での尋問などのやり取りをめぐるなかで、県庁から支給されている県民局長の『公用パソコン』が俎上にのせられたのです。

 その内、公用PCの内容がどういう訳か漏れ出たのですが、それには戦慄すべき文章と画像が記録されていました。

  ① 一般的個人情報
  ② クーデター計画書(斎藤知事追い落とし)
  ③ 県民局長の不倫行為(乱倫・10年間10人の女性職員と)

 百条委員会の証人尋問を通じて、知事のパワハラ、おねだりの証拠は明らかにならず、県庁職員のアンケートでもほとんどが伝聞であり証拠能力はなしと言わざるを得ません。

 そして、ここで大問題が発生しました。人事権者:県民局長の不倫行為の明瞭な資料が発覚しました。ここで当然考えられるのは、県民局長が自殺したのは、不倫(乱倫)がばれることを恐れたからであり、決して単なるパワハラではなかったのではないかと考えるのが合理的だと考えます。

 百条委員会に尋問された副知事は、公用PCに記録された県民局長の不倫行為については、個人情報の範囲を考慮しつつも、広く県民に公開すべきであると強く主張しましたが、何と、百条委員会の奥谷委員長や、読売新聞記者朝日新聞記者NHK記者は、まるで脅すように、激しく拒否しました(youtubeをごらんください)。信じられません。まるで議会とマスコミがタッグを組んでいるかのように見えます。

 さて、このような雰囲気の中で選挙活動が行われましたが、立花孝志候補(NHKから国民を守る党党首)の、斎藤候補は悪くない、パワハラ・おねだりの証拠は無い、県民局長の自殺要因は自らの不倫関係が要因ではないのか、など、力強い名演説が連日県民の目と耳を引き付け黒山の人だかりを見せました。

 これをきっかけに、勢力は次のように明確に分かれました。

   古い体質利権・県議会・県庁OB・マスコミ(隠蔽)
   斎藤元彦前知事・SNS(youtube)   (公開)

 特に威力を発揮したのが『youtube』。その力をご覧ください。

  ・斎藤元彦の公式チャンネル   再生回数    119(万回)
  ・立花孝志(NHK党党首)動画                1499
      ・                  切り抜き動画                1299
  ・「虎ノ門ニュース」                    554
  ・高橋洋一教授                          201
                  (11/18毎日電子版)

 今回の兵庫県知事選を見て感ずるのは、SNS、特にyoutubeの威力をまざまざと見せつけられたことと、大手メディアのイデオロギーありきの傲慢な姿勢です。自ら発信してきた嘘に気づいているにもかかわらず事実を隠蔽し保身に走ろうとする姿勢は、誠実さの欠片もない極めて歪な存在だと言わざるを得ません。

 これらをまとめて眺めれば、今、時代は急速に動いているように思えてなりません。今年の国内政治を総括すれば、

  ① 東京都知事選における石丸旋風
  ② 自民党総裁選での高市旋風
  ③ 衆議院議員選挙での国民民主党旋風
  ④ 兵庫県知事選挙での斎藤旋風

 マスコミ不信、議会不信、大手メディアの敗北、……そして侮れないネットの威力、いよいよ時代の転換点に差し掛かってきたのではないでしょうか。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。

 ご意見をお聞かせくだされば幸いです。

次回は
時事エッセ-
です。

 

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コメント

明快にして痛快なるブログでした。
県民局長の公用パソコンのことは詳しく知りませんでしたが、これが全てを物語っているように思います。
多くの自治体で、高度成長期、バブル期はとっくに過ぎたにもかかわらず、惰性的な財政運営が続けられた結果、隠れ負債が積み上がっているのが実態だと思います。これを改革処理しようとすると相応の痛みを伴うため、既得権益を持つグループから強い抵抗と巧妙な攻撃を仕掛けられることを覚悟しなければ
なりません。政治という世界で、首長にはその現実を引き受けて立つだけの胆力、覚悟、実行力が求められますが、(横浜市の中田宏市長のように)これまでは殆んどが潰されていたように思います。その意味ではこのブログが指摘するように、SNSのような発信手段の一般化は、既得権の権化と化したマスメディアに大きな打撃を与えると共に、良くも悪くも
大衆化した社会を動かす大きな原動力になるように思われ、それだけに情報の受け手にはこれを適切に判断するだけの成熟した教養が求められるように思います。

投稿: 小村和年 | 2024年11月29日 (金) 13時34分

明快にして痛快なるブログでした。
県民局長の公用パソコンのことは詳しく知りませんでしたが、これが全てを物語っているように思います。
多くの自治体で、高度成長期、バブル期はとっくに過ぎたにもかかわらず、惰性的な財政運営が続けられた結果、隠れ負債が積み上がっているのが実態だと思います。これを改革処理しようとすると相応の痛みを伴うため、既得権益を持つグループから強い抵抗と巧妙な攻撃を仕掛けられることを覚悟しなければ
なりません。政治という世界で、首長にはその現実を引き受けて立つだけの胆力、覚悟、実行力が求められますが、(横浜市の中田宏市長のように)これまでは殆んどが潰されていたように思います。その意味ではこのブログが指摘するように、SNSのような発信手段の一般化は、既得権の権化と化したマスメディアに大きな打撃を与えると共に、良くも悪くも
大衆化した社会を動かす大きな原動力になるように思われ、それだけに情報の受け手にはこれを適切に判断するだけの成熟した教養が求められるように思います。

投稿: 小村和年 | 2024年11月29日 (金) 13時34分

わが国の大手メディアはNHKと民放テレビ局を牛耳る全国紙五社だが、彼らは言論の自由の名のもとに公共電波を使って「報道したい事実だけを報道」してきた。「報道したくない事実は報道しない」。それが意味するとことは「事実は報道するが、それが真実とは限らない」ということであり、メディアは真実を報道しているのでなく事実を報道するだけの機関だということである。この二か月の間に衆議院選や兵庫県知事選、名古屋市長選、さらにアメリカ大統領選があったが、それらの選挙前の日本のメディアの報道、選挙中の、さらに選挙後の報道を振り返れば、日本の大手メディアの崩壊は明らかである。

投稿: 齋藤 仁 | 2024年11月29日 (金) 08時49分

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