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2025年5月16日 (金)

「日本の米」… 価格暴騰・数量不足を考える! 

 932回目のブログです。

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 “ 秋の田の 仮庵の庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ ”
          天智天皇(第三十八代天皇・百人一首)

 秋の田の、稲の刈り穂を納める仮小屋の、草の編み目が粗いので、わたしの着物の袖は、夜露にしきりにぬれつづけるよ…。

 この和歌は百人一首の第一番、冒頭の歌。「秋の田の~」で始まる詩情豊かな調べにうっとりとさせられる名歌ではないでしょうか…。

 わが国は、太古より、瑞穂の国と美称されてきました。瑞穂とは、みずみずしい稲穂のことであり、稲が多く取れることから瑞穂の実る国、「瑞穂の国」と言われ、古来よりお米を貴重なものとしてきました。

 稲穂、それから来る「お米」は、まさしく日本文化日本民族の中心に位置するものと言わねばなりません。

 ところが、自民党政府の失政か、石破政権の無能か、いずれにせよ、お米の価格が暴騰するとともに、コメ不足が顕著になってきているのです。このような事態にもかかわらず、政府は、のんびりと構え、庶民、国民の苦しみにはトンと無頓着。…一体どうなっているのか、考察してみたいと考えます。

 5月12日、各メディアにより、全国のスーパーで4月28日から5月4日に販売されたコメ5キロ当たりの平均価格が、18週ぶりに下落したと大きく報道されました。それが、何と、前週よりわずかに “19円安い” 4,214円とのこと。昨年の米の価格は約2,000円、それでもやっと19円下がっただけです。下がったと言っても、過去最高値圏で推移していることに留意する必要があります。

 ここで、米価暴騰、コメ不足の要因を探ってみましょう。

 2024年は猛暑で白濁米が増え、コメの作柄が良くなかったうえに、インバウンド需要の拡大もあって、コメの需給は急速にタイトになっているそうです。

 そして、忘れてはならないのが、自民党政権が1971年にはじめた『減反政策』です。減反政策は、安倍政権が2017年に止めたことになっており、政府は「減反はしていない」と言いますが、現実には水田をコメ以外のほかの作物に転換するよう指導し、転作補助金まで出してコメの生産を絞っています。

 嘘とデタラメを平気で言うのが農水官僚と大臣。例えば、先日、江藤農水大臣は “自動車業界はつぶれても農協は守る” との認識を示したのです。さすがに、江藤大臣には批判の嵐、バカも休み休み言って貰いたいものです。

 遠因は、政策として米の生産を減らしつづけたことにあり、それがついに供給不足を起こし、米価暴騰につながったものと言えるでしょう。自民党政権の失政と断じるべきではないでしょうか。その認識は石破首相には全くないようです…。

 米価暴騰に焦った日本政府は、2月14日、「備蓄米21万トン放出」を発表しましたが、米の価格は下がらず、むしろ上がり続けています。

 備蓄米を買い受けた全農は、取引契約のあるパートナー卸に優先的に販売しており、多くは大手コンビニのベンダーや大手量販店、大手外食企業に販売され、中小のスーパーや米穀小売店にはまわって来ません。したがって限られたところにしか置かれないのです。

 また、農水省が公表した備蓄米の販売数量等の報告結果によると、3月17日から30日までに備蓄米落札業者(94%は全農・全集連)から卸に引き渡された備蓄米は落札数量21万トンのうち1%の2761トンに留まっています。

 農水省が備蓄米を売り渡すのは農協等の集荷業者です。そして、価格低下を嫌がる農協は放出される備蓄米と同量のコメを売り控えます。そうすれば、市場での供給量は増えず米価は下がらないという構図ができあがります。

 今回、備蓄米21万トンを放出してもコメの値段は下がるどころか上昇していることがはっきりしてきました。では、どうすれば良いのでしょうか。(キヤノングローバル戦略研研究主幹 山下一仁氏の論稿を参考)

 消費者に近い卸売業者や大手スーパーではなく、米価を低下させたくないJA農協(全農)に備蓄米を売り渡したことが問題。(また、その量が、放出された備蓄米の9割を超えた…不明朗な入札と判断できよう)

 米価は需要と供給で決定。これが経済原則。備蓄米を放出しても、その分JA農協が卸売業者への販売を減らせば、市場への供給量は増えません。

 加えて、1年後に買い戻すという前代未聞の条件を設定したことが問題。米価の上昇によって、農家は25年産の主食用米の作付けを増加させることが予想されます。しかし、7月まで売り渡す予定の備蓄米61万トンと同量を市場から買い上げ隔離すれば、1年後も米価は下がらず。そもそも、放出して買い戻すのであれば、市場への供給量は増えません。備蓄米の放出には、米価を下げないという農水省の意図が隠されているとみるべきです。

 ・根本的な問題として、『減反政策』の見直しをやらなければ問題解決にはいたらないのではないでしょうか。そのためには、

  稲作という歴史
  第一次産業という側面
  食料安全保障の観点
  貿易、先物取引
  人材育成
  農協という独占的組織の問題
  農水省の解体
  水田の効用…保水、環境の観点

など、あらゆる観点から “農政” の全面見直しを行なうことが必要です。

 わたし達国民は、元凶である「農協」、元締めの「農水省」、利権擁護の「自民党」に厳しい批判の刃を向けなければなりません。

 そして、あらためて今、自民党政治への信頼が崩壊寸前であることを知るべきでしょう。このまま、自民党/公明党政権がつづけば、「35年続く暗黒時代」「増税路線」「国民負担率増」「米価高騰」などの悪政が続き、善政を期待することはできないのではないでしょうか。

 来る参議院選が大きく荒れるとみています…。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセ-
です。

 

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コメント

天明の大飢饉は浅間山の大噴火があり、平成五年(1993)の米不足はその前にフィリピンのピナツボ山の大噴火の影響で初夏になっても稲に穂がつかない実がならないというという明白な天候不順があった。だが令和の六、七年の米不足は完全に行政の怠慢というより不正にある。その責任は長年農政を担ってきた与党の政治家および農水省などの関連機関と農協にある。稲作専業でサラリーマンと同じ所得を得るには300町歩(30ha)の水田が必要だという。この面積は百戸ぐらいの農村の郊外の水田すべてを合わせた広さになる。10町以下では農機や肥料等の経費が嵩んで手元に残る収入は数百万円に落ちてしまうという。農政関係者はこの現実を知っているから、全国で数十年かけて機械化に適した農地改良を進めてきた。だが機械化による稲作が進んで楽をして米を作れるようになると今度はコメが余ってしまうということで減反政策も進めてきた。結局、あの手この手を工夫したが歴代の農水大臣も農水省の官僚も「何としても瑞穂の国の水田は守る、日本人は守る」という理念にたった長期的な構想を生み出すことはできなかった。その結果、とにかく米農家にサラリーマン並みの所得を補償しなければ、という目先の弥縫策ばかりを続けてきた。もちろんその弥縫策は農協や農林政治家などの利権も含まれている。これから数十年はこの政策で日本の米は守られるということなら、それなりの報酬も良しだが、米農家を守るための苦肉の米価高騰化政策だとしたらあまりにも無能無策の政府・農水官僚である。

投稿: 齋藤 仁 | 2025年5月16日 (金) 08時36分

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