日中対立…情報戦の行方!
947回目のブログです。
“ゆく秋の 大和の国の 薬師寺の 塔の上なる 一ひらの雲”
佐々木信綱(国文学者)
秋がもう終わりをつげようとしている頃、大和の国の古い御寺、薬師寺を訪ねて来てみると、美しい形相を誇って高くそびえる宝塔の上には、一片の白雲が静かに浮かんでいて旅愁をいっそう注がれる…。
うるわしい大和の逝く秋、1300年の歴史を刻んだ古典的な高塔、その上にある一片の雲、…その素晴らしい光景に旅の心が静かにうごかされます。
短い秋がようやく終わり、いよいよ冬、師走と景色が異なって参りましたが、世間はなかなか落ち着かず、近隣のかの国との諍いは相変わらずがさつな動きを見せています。
どのように落ち着くのか、あるいは、このまま推移するのか、とりあえず状況を概観してみたいと思います。
11/7、衆院予算委員会で、立憲民主党の岡田氏は台湾有事を念頭に「どういう場合に存立危機事態になるのか」と繰り返し繰り返し質問。高市総理は「(中国が)戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースだと私は考える」と答弁。 高市総理は従来の政府見解の範囲でわかりやすく発言したものと思います。
これに対して、中国の薛剣在大阪総領事が「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」とXに投稿。中国高官の高市総理に対する殺害予告とも思える表現に驚きを隠せません。
中国は、台湾のことについては内政問題と考えており、日本の首相が台湾問題に触れることに怒りを覚えたことが殺害予告張りの表現になったのでしょう。あるいは、内政において、経済が極度に悪化、若者の就職もままならない状況など、社会不安の兆候が全国的発生しており、人民の目を外に向ける必要があった為とも考えられます。
その後、中国政府は、矢継ぎ早に「制裁」を繰り出してきました。
・日本への渡航自粛を呼びかけ
・日本への留学に注意喚起 よって、中国からの留学生の減少
・日本産水産物の輸入停止(中国が事実上の再停止)
・文化交流イベントのキャンセル
・「日本にパンダが一頭もいなくなる」可能性
・外交的非難と発言撤回要求
中国人の渡航自粛について。京都や大阪を見ればお分かりのように、わが国は現在「オーバーツーリズム」で観光客が溢れており、その内マナーの悪い人が一番多い中国人の観光客が減ることには歓迎ムードとなります。また、中国人観光客は、飛行機、タクシー、宿泊、土産物など、全て中国人同士だけで完結する経済圏「一条龍」(一匹の龍)のなかでビジネスが行なわれており、日本経済への恩恵は少ないと見られています。
中国人留学生の減少は教育の正常化にとって朗報。
日本産水産物の輸入停止。わが国は、これまでの禁輸措置で脱中国に成功しつつあります。例えば、ホタテについてはベトナムや米国へ市場を確保しているのです。中国ヌキでのホタテの全世界への輸出額をご覧ください。
【ホタテの全世界への輸出額】(水産庁)
23年689億円。
24年695億円。
25年も9月までで602億円と(前年同期比38%増)。
さて、中国が世界シェアーを牛耳っている「レアアース」をわが国に対して「禁輸」したらどうなるか。中国が、日本向けへレアアース輸出を止めれば、日本は音を上げると読んでいるとすれば、日本の「反撃力」を見落としていると言わねばなりません。対抗するには「半導体素材」で堂々と反撃すればよいのではないか。わが国は、下記の素材については世界的な高シェアを誇っていることを認識しなければなりません。(参考:勝又氏の論稿より)
【日本の世界シェア・半導体素材】
素 材 日本の世界シェア 中国の代替困難性
フォトレジスト(EUV) 約90% 極めて高い
高純度フッ化水素 約70% 高い
シリコンウェハ 約60% 中~高
半導体素材のフォトレジスト(EUV)の日本の世界シェアは90%。であれば、中国半導体企業の9割は、必ず使用している計算になります。もしも、日本が素材輸出を一斉に禁止すればどうなるでしょうか。
半導体生産過程では、素材と製造機械との親和性が極めて高く、素材を変えると、途端に「歩留まり率」が低下する事実が知られています。歩留まりを確保するには年単位の時間がかかるのです。わが国は、半導体素材においては高品質を誇っており、そのことを有効に利用しない手はありません。
ところで「レアアース」を巡りさや当てが行なわれています。中国は現在、世界のレアアースの約70%を採掘し、精製では、世界の90%。ところが、ここで登場してきたのが、わが国です。
南鳥島のEEZ(排他的経済水域)内の海底(5,000メートル超)で膨大な「レアアース泥」の存在を発見。これが、中国の陸上鉱山の20倍の品位を持つ世界最高品位の「超高濃度レアアース泥」であることに注目したいものです。2026年1月より採掘試験を開始の予定。期待が大きく膨らみます。
さいごに。2020年に設立された「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC:44ヶ国)の声明文をお読みください。
≪IPACの加盟議員一同は、中国の大阪総領事が高市総理大臣に対して行った威圧的な発言を強く非難いたします。このような暴力的な言辞は断じて容認できません。北京当局は外交的規範への敬意を著しく失っており、近年世界各地で同様のことが繰り返されています。
私たちは、高市総理が台湾海峡の緊張激化に伴う広範なリスクに警鐘を鳴らされたことは極めて正当であると考えます。
「存立危機事態」を巡る総理の発言は、挑発ではなく、慎重で戦略的な判断に基づくものであり、「台湾の安全保障は世界の安全保障である」という国際社会における認識の拡大を反映するものです。抑止や緊張緩和に失敗すれば、世界経済は深刻な不況に陥るでしょう。
私たちはそれを傍観するわけにはまいりません。G7(先進7カ国)が一方的な現状変更への反対を改めて表明したことは極めて正当な判断でありますが、今こそその呼びかけを行動に移す時です。
私たちは、各国政府に対し、日本への明確な支持を公に表明し、台湾周辺における「越えてはならない一線」を明確にし、衝突を抑止するための政治的・経済的措置を緊密に連携して打ち出すよう求めます。
台湾の人々は、自らの未来を自由に決定する権利を有しており、世界の繁栄を脅かす行為は抑止されなければなりません。≫
このように、対中政策に関してほとんどの国が日本を支持しています。
習近平主席をはじめとする中国指導部は、焦っているのではないか。国内経済の悪化と台湾統一の展望の暗さを見れば、追い詰められているのは中国のほうということも出来るのではないでしょうか。
皆さんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセ-
です。
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コメント
地上波や新聞のオールドメディアは一般国民(大衆)が理解しやすい(扇動しやすい)経済問題を中心に日中対立の問題を連日報道しているが、筆者ご指摘のように日本は中国との経済関係が断絶しても損失はほとんどない。むしろ中国国内の政治経済の混乱等から中国市場からの撤退を考えていた企業にとって福音の出来事だろう。また国際関係では欧州各国も対中関係の見直し気運が高まっていることから日欧米の対中連携が強く問題はない。日本の最大の弱点は、国内の左翼メディアや左翼政治家が主張する「正義の連合軍、悪の日本軍」論である。捏造され尽くしたこの論を逐次反論したうえで、政権側が中国が今行っている悪事を逐次指摘してオールドメディアの洗脳を溶いて行かない限り、中国のプロパガンダはやむことがないだろう。最優先となる政策は「スパイ防止法」の制定だが。
投稿: 齋藤 仁 | 2025年12月12日 (金) 08時33分