2025年7月11日 (金)

参議院選・党首討論会 … 空虚な石破首相発言!

 936回目のブログです。

20257111

  望 海(海を望む) 藤井 竹外

鵬際晴開九萬天(鵬際<ほうさい>晴れ開く 九万の天)
無人之島定何邊(無人之島は定めて 何れの辺なる)
追風狂浪如奔馬(風を追う狂浪 奔馬の如く)
忽触巉礁砕作煙(忽ち巉礁<ざんしょう>に触れ 砕けて煙となる)

 鵬のかけめぐる大空(=水平線)は晴れわたっていて、海と空とがどこまでも遠く連なっている。かねて聞いていた無人島というのはどのあたりにあるのだろうか。島は見えないが、多分あのあたりにあるのであろう。海上に、風に乗って狂い寄せる波は、まるで奔馬のような勢いで寄せてきて、たちまち険しく切り立った岩にぶつかり、砕け散って煙のように飛び散る、まことに壮快な眺めである…。

 さて、政治は、内政・外政ともに多事多端の様相が永らく続いています。国際政治においては、ウクライナ対ロシアの戦争、イスラエルとイランの戦争、米と中の対立、米国トランプ関税貿易戦争など、目まぐるしく動いており一時も目を外すことは出来ません。

 一方、国内政治では、ここ数年、緊張感なき出鱈目な政治が続いており、国民の不満も抑えがたく、来る参議院選で大波乱の時を迎えそうな状況になって来ました。

 ここで、一度、政治の基本について冷静に考えて見たいと思います。

 去る7月2日、参議院選(7月3日公示、7月20日投開票)を前に、8党の党首による討論会が日本記者クラブ主催で行われました。その時、各党首が掲げた最も訴えたいことをご覧ください。

20257112

 石破茂(自由民主党総裁)
             『この国の将来に責任を持つ

 野田佳彦(立憲民主党代表) 
     『物価高からあなたを守り抜く』

 吉村洋文(日本維新の会代表) 
     『社会保険料を下げる改革』

 斉藤鉄夫(公明党代表) 
     『物価高を乗り越える経済と社会保障の構築』

 玉木雄一郎(国民民主党代表)
     『現役世代から豊かになろう。そして全世代へ。』

 田村智子(日本共産党委員長) 
     『自公少数で消費税減税』

 山本太郎(れいわ新選組代表)  
     『物価高だけに矮小化するな』

 神谷宗幣(参政党代表) 
     『日本人ファースト』

 8党の党首の「最も訴えたいこと」(キャッチコピー)を並べてみると、表面的にはすべてもっともらしい文言が挙げられていますが、何か物足りなさを感じざるを得ません。

 …それは、品格のある言葉がないことです。

 代表例として、自由民主党総裁・石破茂氏の掲げたこの国の将来に責任を持つという言葉を取り上げて見たいと思います。氏には責任という言葉は全く似合いません。上の写真をごらんください、問題はそのことではなく、石破氏が間違いなく、「わが国」とは書かずに「この国」と表現していることにあります。

 30年以上も前になるでしょうか、メディアや政治家がこぞって、それまでの「わが国」という言い方を「この国」というようになりました。これは、とりもなおさず、著名な小説家、司馬遼太郎のベストセラー「この国のかたち」という評論文の影響にほかなりません。

 わが国のリーダーが、自らの皮膚に密着した言葉である「わが国」という表現を捨て、あえて自分自身と距離を置く「この国」という言葉を使うことには、おそらく大きな心の変化があったに違いありません。

 それは、国というものを、自然な感情から捉えるのではなく、客観的に見るようにし、いわゆる自然な愛国心から、距離を置こうとしたことを意味します。そういう感覚が、国を愛する気持ちを徐々に弱くしていったように思えます。

 江藤淳さんによりますと、司馬遼太郎が『この国のかたち』と言った時、日本に対して、敢えて知的な距離を設定し、「そのかたち」を見直そうという意識をもっており、その時期の日本と日本人にとっては、貴重な試みであったと述べています。

 そして、彼はこうも付け加えています。この司馬遼太郎の発想は、静的なものであり、「この国」と言い替えるとき、心の底に疼くかすかな疼痛” をどこかに捨て去ってはいなかっただろうかと。

 それでは、混迷する国の状況をどのように見ればよいのか。石破首相においては、今の日本を、「この国」として、静的に、冷たく、評論家的、客観的に見るのではなく、「わが国」として、愛情を込め、同胞としての生き生きとした、ダイナミックな存在として見るべきだと思います。

 今、求められているのは、「わが国の姿」をどのようにするかであり、「この国」の根本を、外国の基準、思想、思惑に合わしていくことではありません。

 わが国のリーダーには、ぜひとも、「取り戻すべき日本の姿」を描いて欲しいし、「わが国」という愛情溢れる言葉で語っていただきたいものです。

 7/8、石破首相は、アメリカのトランプ大統領が、日本からの輸入品に対しては25%の関税を8月1日から課すとしたことについて「誠に遺憾だ」と述べましたが、遺憾砲の常套句は、もう結構です。自己の保身のためではなく、真摯に日本のために力を尽くして欲しいものです。

 今は、暑い盛り。冒頭に掲げた漢詩、『海を望む』(藤井竹外)を読み、浩然の気を養ってはいかがでしょうか。

次回は
時事エッセ-
です。

 

 

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2025年6月27日 (金)

「給付金」か「減税」か … それが問題だ! 

 935回目のブログです。

20256271

“ひさかたの、雨も降らぬか、蓮葉に、溜まれる水の、玉に似たる見む”
                      作者不詳(万葉集)

 久々に雨でも降ってくれないかな。蓮の葉に溜まった水が玉のようになるのを見たいものだ…。

 ある宴会のときに食べ物を蓮の葉に盛ったそうで、その蓮にちなんで詠んだ歌です。

 梅雨の季節ですが、適度の雨はそれなりに情緒があり、上の万葉の和歌にあるように、蓮葉(はちすば)に溜まった水玉のきらっとした煌めきに自然の美しさを感じます。

 このような蓮葉の季節ではありますが、政治の世界は明らかに深く澱んでいると言わねばなりません。先日の6/22、東京都議選の投開票が行われ、驚くべき結果となりました。

 【都議選】党派別当選者数
           (選挙前勢力)
  都民ファ  32   26
  自 民   21   30
  公 明   19   23
  立 民   17   12
  共 産   14   19
  国 民    9    0
  参 政    3    0
  ネット    1    1
  無所属   11   11
  ※ 維新、れいわ、保守、社民、再生、諸派、は当選者数ゼロ。

 自民は過去最低を下回る21議席という大敗都民ファ第一党へ、公明党は36年ぶりの落選者、国民は初の議席9議席獲得、参政は初の議席3議席獲得。

 その他、維新、れいわ、保守、社民、再生、は当選者数ゼロという結果にも驚かされます。

 選挙は勝負。とすれば、プロ野球の名監督であった野村克也監督の名言を思いだします。~『勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし』~、特に、ここで、自民党の大敗についてその要因を考えてみましょう。

 立党の精神(独立・改憲)を失っている。
 国民生活の実態を理解しようとしていない。
 公と私の区別がめちゃくちゃである。
 政治家に2世、3世が余りにもはびこり過ぎである。
 財政、金融の基本的知識に欠けている。
 安全保障感覚(国家・企業&組織・個人)の欠如。
 公党間の約束を平気で破る。

 その他挙げ出せば切りがありません。そのなかで、わたし達庶民の暮らし向きがかなり厳しくなっていることは、世のなかの実際の状況を見れば一目瞭然であるにもかかわらず、それに無頓着であることに問題があります。…お米の不足と価格、光熱費、日常食品など。

 ひとつの例を取り上げましょう。昨年12/11、自民、公明、国民民主の3党は幹事長会談で、年収103万円を超えると所得税が生じる「103万円の壁」について、国民民主が主張する「178万円」を目指して来年から引き上げることなどを盛り込んだ合意書を交わしました。合意文は以下の通り。

いわゆる「103万円の壁」は、国民民主党の主張する178万円を目指して、来年から引き上げる。
いわゆる「ガソリンの暫定税率」は、廃止する。
  上記の各項目の具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進める。

 3党で合意はしたのですが、庶民、市民、国民の大多数が望む「ガソリン税減税」に関して与党の自民党・公明党はのらりくらり、それでも、立民、日本維新の会、国民民主、共産、参政、日本保守、社民の7党が6/11法案を共同提出しました。

 ところが、野党7党が提出したガソリン税の『暫定税率廃止法案』を巡り、参院財政金融委員会は6/21、質疑を一応は実施。しかし、野党の採決要求に対し、自民党は審議不十分だとして拒否。三宅委員長(自民)は採決を行わないまま散会を宣告。法案の継続審査の手続きを取っていないため、6/22の会期末で廃案となったのです。

 減税は間違いだというドグマ(宗教の教義・偏見的な説)に洗脳された与党の自民党・公明党は庶民のささやかな要望に断固NOを突き付けたのです。すでに、自民、公明、国民民主の3党合意がなされているにも関わらずです。

 これでは、選挙に負けて当然、自民党は大敗しました。野村監督の言う “負けに不思議の負けなし” ではないでしょうか。国民を欺いた天罰というべきかも知れません。

 いよいよ、参議院選の火ぶたが切って落とされました。7/3公示、7/20投票。参議院選は東京都議選の影響をもろに受けると言われており、おそらくは大波乱になるものと予想されますが、例えば、自民党はどのような政策を掲げて選挙に臨むのでしょうか。

 石破首相は、参院選の自民党の公約に、物価高対策の一環として国民一人あたり2万円、子どもと住民税非課税世帯に1人2万円を加算する現金給付案を盛り込むと表明しました。

 国民一人あたり2万円の給付はばらまきではないのか。報道各社の世論調査では、給付金は選挙目当ての露骨な「バラマキ」として批判の声が過半数を占めています。国民は、金をばらまけば喜ぶに違いないとの石破首相の発想に、本当にいやらしさを感じています。

 高額所得者も、収入の少ない人も一律に2万円、と言いますが、ついこの前の3/3、新人議員にポケットマネー(?)から10万円の商品券を配り、問題になった金持ちの石破首相自身にも支給されるわけですから、ナンセンス喜劇そのもの。配布癖、配布亡者!。冗談抜きにして、公職選挙法違反に当たらないのか疑問なしとは思えません。

 これに対し、野党各党は、消費税減税、ガソリンなど本格的な減税による国民の収入増、景気浮揚策などを掲げるようです。

 この流れでいけば、来る参議院選は大乱戦になるのではないでしょうか。国民に信頼される政治家国民を信頼する政治家、を選びたいものです。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセ-
です。

 

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2025年6月13日 (金)

積極財政と新技術開発で日本再興を!

  934回目のブログです。

20256131
  (大阪・関西万博・みゃくみゃく)

  “青丹よし 奈良の都は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり”
                   小野 老(万葉集)

 奈良の都は、咲いている花が色美しく照り映えるように、今や真っ盛りである…。

 わが国は、過去30数年、経済の勢いは見る影もなく、社会の停滞は誰しも認めざるを得ない時でもありました。

 しかしながら、時代は変わろうとしており、上の万葉集の和歌にあるような輝かしい時代、…薫ふ(におう)が如き時代を迎えたように思われてなりません。一つには、やっと積極経済が一部リーダーの口の端に登ってきたことですが、それでも頑迷固陋な財務省とそれに洗脳された旧態依然の政治家が固い壁を構築しており、彼らへの一層の説得が必要となっています。そして、もう一つは、わが国がトップを走っている大型の技術開発が実を結ぼうとしており、それが大阪・関西万博で紹介展示されていることです。

 もう、自虐と敗北の精神は止めにして、明るい展望に向けて行くべきであり、このままの惰性で進むならば、30年後には日本沈没になりかねないことを危惧します。

 経済成長と言えば、昭和30年代の下村理論。下村治博士は、ケインズ理論に生産力の理論を加味した成長理論で脚光を浴びました。下村氏は、日本経済は10%以上の成長率が可能であると主張し、大来佐武郎氏や都留重人氏などの経済学者と大論争を繰り広げ、結果は、周知のとおり、日本経済は高度成長を成し遂げたことで、この論争は下村氏に軍配が上がりました。

 今日的な洞察としては、成熟した低成長経済では、積極的な財政政策による政府主導の経済にならざるを得ないと述べています。そして、インフレを決定するのは生産能力と需要との相互関係であると主張。

 ところが今日の経済学者や、経済官僚、また、それに影響されたメデイア、政治家は、インフレを決定するのは「生産能力と需要との相互関係」という基本を無視し、単に政府債務が増えたというだけで「ハイパー・インフレ」になると大騒ぎ。まさに愚の骨頂と言わねばなりません

 今は、長期のデフレ。このような時、日本経済の成長を止めているのが、この誤った認識です。いま、あらためて、下村治博士の成長理論、積極経済に謙虚に学ぶべきではないでしょうか。

 先日、大阪で開催されている「2025 大阪・関西万博」を見に行きました。工事の一部遅延、万博無用論などでガタガタしましたが、4月13日無事オープン。行って吃驚、人、人、人、が溢れかえっており、まさしく知的なお祭り、これぞ、博覧会。百聞は一見に如かず、明るい話題がごろごろ、日本経済の発展の種を随所に見ることができました。

 前回1970年の大阪万博も見どころはありましたが、今回の「2025 大阪・関西万博」は、前回を遥かに凌駕する大型の技術開発が展示されており、博覧会の雰囲気を存分に味わうことができました。

 ここで、一部をピックアップしましょう。

 2025 大阪・関西万博では、環境技術、医療技術、通信技術という大型技術群が登場。これらは、日本が誇る三大技術であり、世界をリードする国際標準化への技術候補でもあります。そして、これらは、経済成長の有力なコアになるものです。(参考:勝又氏の論稿)

(1)【環境技術】

 ・「CO2回収技術」 空気中の二酸化炭素を回収し、それを活用して光合成を促進する植物工場「Farmarium」が展示。都市型農業の新たなモデルケース。

 ・「カーボンニュートラル技術」 地球環境産業技術研究機構が展示する技術は、大気中のCO2を直接回収し、都市ガスに変換するなどの利用が可能となる。

 ・「再生可能エネルギー」 独自のマイクロ波化学技術を活用し、製造プロセスの効率化とカーボンニュートラルを目指す。例えば、ゴミ処理の分散処理が可能、この技術が広く普及すれば、廃棄物処理の世界で革命的な変化をもたらすとされている。

(2)【医療技術】

 ・ノーベル賞に輝いたiPS細胞を活用した再生医療の普及 血液検体からiPS細胞を全自動で作製するシステムが最終段階にあり、製造コストは、従来の数千万円から100万円以下に抑えられるという画期的技術。患者自身の細胞を用いて、臓器や組織を再生することが現実のものとなり、人類の難病が、iPS細胞によって解決される時代が到来しました。大きな福音と言わねばなりません。

(3)【通信技術】

 ・通信技術では、2030年以降に実用化されるNTTが開発する「IOWN」(アイオン)があります。
 この技術は、光技術を活用した通信基盤で、従来の電子技術を超える性能を実現。超低消費電力、超大容量通信、超低遅延という「超」3大メリットによって、次世代通信基盤「6G」の世界標準が有力視されているのです。
 IOWNは、超低遅延通信により、車両間やインフラとのリアルタイムなデータ共有が可能となり、安全性と効率性が向上。また、自動運転車の制御や交通管理システムの最適化にも不可欠。トヨタ自動車の全自動運転車の技術開発支援に役立っています。

 これらは、ほんの一部をピックアップしたものですが、その他、「空飛ぶクルマ」などまだまだ多くのものがあります。

 そして、単に、新技術製品群だけでなく、意欲的な、社会、環境デザインなども展示されていますので、小、中、高校生は、未来の社会をイメージするためにも、「2025 大阪・関西万博」に是非訪れていただきたいと思います。

 新技術開発は、経済産業省(旧通産省)が司令塔になっていることが大きく、このまま推進してほしいものです。これらがすべて成功すれば、次は輝かしい時代となるのではないでしょうか。経産省には、ぜひとも万難を排して司令塔の役目を果たして欲しいと希います。

 そのためには、財務省には、緊縮財政から積極財政に転換し、経産省を盛り立て、明るい日本の時代を築くことに注力してほしいものです。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセ-
です。

 

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2025年5月30日 (金)

在韓米軍の縮小と韓国の核武装!

 933回目のブログです。

202505301

 “春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて すずしかりけり”
            道元(鎌倉初期・曹洞宗の開祖)

 詞書・・本来の面目を詠ず。

 自然は美しくて良いものだ。春は野や山に美しい花が咲いて、心がなぐさめられる。夏には鳥が来てホトトギスもさえずり日々の暮らしに潤いをもたらしてくれる。秋は月を愛でながらしみじみと昔を想い出す。冬は雪が降ってもその冬景色は美しい。

 こういった事が自然の姿である。自然を大切にして子々孫々まで残し自然と共に生きて行きたいものだ。自然を痛めつけていてはホトトギスは来てくれなくなる。豊かな自然を大切にして、季節の移り行く趣の深さを、心の支えとして生きて行こうではないか。(“本来の面目”とは自己の本来の姿、自己の実相のこと)

 自然の姿を大切にし、自然と共に生きていきたいものですが、さはさりながら、世の中は、混沌としており、特に国際情勢は各地で戦乱の巷、平和の姿は見ることもできません。

 わが国の周辺では、尖閣諸島をめぐって中国(中共)が侵略の度を徐々に高めてきており、北方領土についてはその返還の兆しは皆目窺がうこともできません。そして、北朝鮮に拉致された同胞は永きに亘り抑留されたままであり、韓国も、未だ反日の姿勢は変わらず。いずれにしても、厳しい状況が続いたままであることに対し、一刻も早く正常なかたちに戻すことに全力を上げなければならないと考えます。

 このような時、5/22、米紙に、米政府が在韓米軍(約2万8500人)を縮小し、約4500人をグアムなどインド太平洋地域に再配置する案を検討していることが報じられました。

 トランプ大統領は第1次政権時にも在韓米軍の縮小などを検討していましたので、第2次政権では本格的に縮小に動くとの観測があります。これに関し、インド太平地域を統括する米インド太平洋軍のパパロ司令官は4月の上院軍事委員会で、「北朝鮮による侵略の恐れを高める」と述べ、抑止力が低下することへの懸念を示しています。

 一方、韓国においては、多くの変化が予想されていますが、不確実性を憂慮する声が出ています。一部には、過去に北朝鮮と対話した経験があるトランプ大統領に期待する声もありますが、現在、南北関係が断絶しているため、韓国がどうやって自らの立場を反映できるのかという心配も出ています。

 韓国では、過去、核武装がやかましく議論されました。在韓米軍の縮小を機に、核武装はどうなるのかについて考えて見たいと思います。

日本でもよく報道されるように、韓国の世論調査における核保有支持の声は極めて大きいといえます。支持率は、2021年71%、2022年69%、2023年60%、2024年70%と継続的に高い比率を示しています。

【参考:日本は各武装すべきか?(“2024/6/20~21”FNN)】

 ・決して保有すべきではない         32.0%
 ・唯一の戦争被爆国として世界をリードすべき 20.4%
 ・国際的な核軍縮に貢献すべき        18.8%
 ・アメリカが保有しているから日本には不要   4.8%
 ・保有も視野に入れた議論が必要である    30.4%
 ・核兵器共有(シェアリング)を推進すべき  15.6%
 ・自国で積極的開発・保有すべき       11.2%
             (複数回答可)

韓国での核保有への関心は何から生まれているのでしょうか。CSIS(米戦略国際問題研究所)は、昨年、韓国の「戦略エリート」を対象に、核兵器を保有すべきだと答えた者に対してその理由を尋ねています。その回答は。

 「北朝鮮に対する独立の防衛能力」が37%、
 「長期的に見て米国の安全保障上のコミットメントが
  失われる可能性」が28%、
 「中国とロシアに対する独立の防衛能力」が22%、
 「核兵器を保有することによる地位・威信」は12%。

 上記の回答を見ますと、北、及び中国、ロシアに対する防衛能力、そして米国の安全保障上のコミットメントの喪失、など、国防への対応を深刻に捉えていることが現れています。その点については、日本国民の感覚はかなり鈍いと言わざるを得ません。

韓国における核武装論者の一人である世宗研究所朝鮮半島戦略センター長の鄭成長氏は、フランスが核保有によって外交的地位を高めた例を引いて、「韓国がもし核兵器を保有することになれば、核の脅威から自由になり、外交的空間が広がり、国際的地位にふさわしい、より活発な外交活動を展開できるようになり、外交的地位が今よりもはるかに高くなるものと予想される」と主張。

 上記のように、今、韓国では、核武装に関してはいろいろの立場で活発な議論が行われていることに注視しなければなりません。

 それに比べ、わが国では、政治家も、メディア、国民も、奥歯にものが挟まったような発言に終始し、活発な議論が行われていないのではないでしょうか。

韓国では、世論調査で、単純に核武装は是か非か?と問えば、70%が賛成となってはいるのですが、「問題点」を念頭に置いた質問をすれば結果も違ってきます(2023年)。見てみましょう。

 「国際的な制裁によって経済危機に至る可能性があるが、核開発をすべきか」という質問に対しては、賛成は36.8%に止まり、反対が63.2%。
 「米国が米韓同盟を破棄し、米軍を韓国から撤退させる可能性があるが、核開発をすべきか」という質問に対しては、賛成は37.2%、反対62.8%。
 「北朝鮮ないし中国を刺激することによって戦争のリスクを高める可能性があるが、核開発をすべきか」という質問に対しては、賛成39.6%、反対60.4%。

 いずれの質問でも、賛成が40%弱、反対が60%強。核武装については、心が微妙に揺れているのが実態ではないでしょうか。

 わが国でも、核武装について、論点を整理し、継続的な世論調査を実施すべきだと考えます…。

 在韓米軍の縮小と韓国の核武装についての感想をのべました。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセ-
です。

 

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2025年5月16日 (金)

「日本の米」… 価格暴騰・数量不足を考える! 

 932回目のブログです。

20255161

 “ 秋の田の 仮庵の庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ ”
          天智天皇(第三十八代天皇・百人一首)

 秋の田の、稲の刈り穂を納める仮小屋の、草の編み目が粗いので、わたしの着物の袖は、夜露にしきりにぬれつづけるよ…。

 この和歌は百人一首の第一番、冒頭の歌。「秋の田の~」で始まる詩情豊かな調べにうっとりとさせられる名歌ではないでしょうか…。

 わが国は、太古より、瑞穂の国と美称されてきました。瑞穂とは、みずみずしい稲穂のことであり、稲が多く取れることから瑞穂の実る国、「瑞穂の国」と言われ、古来よりお米を貴重なものとしてきました。

 稲穂、それから来る「お米」は、まさしく日本文化日本民族の中心に位置するものと言わねばなりません。

 ところが、自民党政府の失政か、石破政権の無能か、いずれにせよ、お米の価格が暴騰するとともに、コメ不足が顕著になってきているのです。このような事態にもかかわらず、政府は、のんびりと構え、庶民、国民の苦しみにはトンと無頓着。…一体どうなっているのか、考察してみたいと考えます。

 5月12日、各メディアにより、全国のスーパーで4月28日から5月4日に販売されたコメ5キロ当たりの平均価格が、18週ぶりに下落したと大きく報道されました。それが、何と、前週よりわずかに “19円安い” 4,214円とのこと。昨年の米の価格は約2,000円、それでもやっと19円下がっただけです。下がったと言っても、過去最高値圏で推移していることに留意する必要があります。

 ここで、米価暴騰、コメ不足の要因を探ってみましょう。

 2024年は猛暑で白濁米が増え、コメの作柄が良くなかったうえに、インバウンド需要の拡大もあって、コメの需給は急速にタイトになっているそうです。

 そして、忘れてはならないのが、自民党政権が1971年にはじめた『減反政策』です。減反政策は、安倍政権が2017年に止めたことになっており、政府は「減反はしていない」と言いますが、現実には水田をコメ以外のほかの作物に転換するよう指導し、転作補助金まで出してコメの生産を絞っています。

 嘘とデタラメを平気で言うのが農水官僚と大臣。例えば、先日、江藤農水大臣は “自動車業界はつぶれても農協は守る” との認識を示したのです。さすがに、江藤大臣には批判の嵐、バカも休み休み言って貰いたいものです。

 遠因は、政策として米の生産を減らしつづけたことにあり、それがついに供給不足を起こし、米価暴騰につながったものと言えるでしょう。自民党政権の失政と断じるべきではないでしょうか。その認識は石破首相には全くないようです…。

 米価暴騰に焦った日本政府は、2月14日、「備蓄米21万トン放出」を発表しましたが、米の価格は下がらず、むしろ上がり続けています。

 備蓄米を買い受けた全農は、取引契約のあるパートナー卸に優先的に販売しており、多くは大手コンビニのベンダーや大手量販店、大手外食企業に販売され、中小のスーパーや米穀小売店にはまわって来ません。したがって限られたところにしか置かれないのです。

 また、農水省が公表した備蓄米の販売数量等の報告結果によると、3月17日から30日までに備蓄米落札業者(94%は全農・全集連)から卸に引き渡された備蓄米は落札数量21万トンのうち1%の2761トンに留まっています。

 農水省が備蓄米を売り渡すのは農協等の集荷業者です。そして、価格低下を嫌がる農協は放出される備蓄米と同量のコメを売り控えます。そうすれば、市場での供給量は増えず米価は下がらないという構図ができあがります。

 今回、備蓄米21万トンを放出してもコメの値段は下がるどころか上昇していることがはっきりしてきました。では、どうすれば良いのでしょうか。(キヤノングローバル戦略研研究主幹 山下一仁氏の論稿を参考)

 消費者に近い卸売業者や大手スーパーではなく、米価を低下させたくないJA農協(全農)に備蓄米を売り渡したことが問題。(また、その量が、放出された備蓄米の9割を超えた…不明朗な入札と判断できよう)

 米価は需要と供給で決定。これが経済原則。備蓄米を放出しても、その分JA農協が卸売業者への販売を減らせば、市場への供給量は増えません。

 加えて、1年後に買い戻すという前代未聞の条件を設定したことが問題。米価の上昇によって、農家は25年産の主食用米の作付けを増加させることが予想されます。しかし、7月まで売り渡す予定の備蓄米61万トンと同量を市場から買い上げ隔離すれば、1年後も米価は下がらず。そもそも、放出して買い戻すのであれば、市場への供給量は増えません。備蓄米の放出には、米価を下げないという農水省の意図が隠されているとみるべきです。

 ・根本的な問題として、『減反政策』の見直しをやらなければ問題解決にはいたらないのではないでしょうか。そのためには、

  稲作という歴史
  第一次産業という側面
  食料安全保障の観点
  貿易、先物取引
  人材育成
  農協という独占的組織の問題
  農水省の解体
  水田の効用…保水、環境の観点

など、あらゆる観点から “農政” の全面見直しを行なうことが必要です。

 わたし達国民は、元凶である「農協」、元締めの「農水省」、利権擁護の「自民党」に厳しい批判の刃を向けなければなりません。

 そして、あらためて今、自民党政治への信頼が崩壊寸前であることを知るべきでしょう。このまま、自民党/公明党政権がつづけば、「35年続く暗黒時代」「増税路線」「国民負担率増」「米価高騰」などの悪政が続き、善政を期待することはできないのではないでしょうか。

 来る参議院選が大きく荒れるとみています…。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセ-
です。

 

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2025年5月 2日 (金)

石破首相についての雑感! 

 931回目のブログです。

2025521

“青山を 振りさけ見れば つつじ花 にほへ娘子 桜花 栄え娘子”
                                               柿本人麻呂(万葉集)

 山を振り仰いで見ると、目に入るのは色美しいつつじの花、その美しいつつじのようにあでやかなおとめよ。咲き誇っている桜のように青春の盛りにいるおとめよ…。

 サツキツツジの晴れやかな初夏。

 このような季節こそ、山や川べり、あるいは公園を伸び伸びと歩いてみたいもの。そして、細かいことにはとらわれず、大きな気持ちになること、いわゆる浩然の気を養いたいものです。

 というのも、世情は喧しく、世界も、わが日本国も混迷の最中にあると言っても言い過ぎではありません。とりあえず、政界を覗いてみましょう。

 信頼できる時事通信の最新の世論調査から。夏の【参院選比例代表】の投票先を尋ねた結果は(4/11~4/14・個別面接方式)。

   自民党    20.6%
   国民民主党  10.6%
   立憲民主党   7.8%
   れいわ新選組  5.6%
   日本維新の会  4.9%
   公明党     4.3%
   共産党     1.8%
   参政党     1.6%
   日本保守党   0.9%
   社民党     0.6%

 年代別に見ると、10代・20代は国民民主がトップの21.5%。30代は自民と国民民主が14.2%で並び、40代以上は全て自民が首位となっており、全体として国民民主党の堅調さが目立ちます。

 ロイター通信の企業調査(4/2-4/11・調査票)から。

 石破茂首相の政権運営について。

    「期待通り」     9%
    「やや期待外れ」  58%
    「大いに期待外れ」 33%

 「次期首相に最もふさわしい候補者」は。

    高市早苗氏         30%
    石破茂氏(続投)      10%
    林芳正氏(官房長官)     8%
    玉木雄一郎(国民民主党代表) 8%

 企業経営者においては、石破首相の政権運営には期待外れが91%と顕著な拒否反応を示しており、「次期首相」には石破氏に代わり高市氏を推していることが窺がえます。

 石破首相は、念願の戦後80年談話を発出することを熱望しましたが、党最高顧問の麻生氏から説得され発出を見送り、代わりに、先の大戦を踏まえての歴史観や戦争に対する見解を表明する意向で調整に入ったとされています。ところが、トランプ関税ショックが生じどうなるかは不明です。この際、石破氏には冷静さを取り戻すためにも下記の言論を参考にしてはいかがでしょうか。(産経4/24極限御免欄から)

 高井康行氏(弁護士・元東京地検特捜検事)
『…いずれにしても、もはや「戦後80年」ではない。日本が利益を享受してきた戦後80年間の世界秩序は、その創設者であり保護者であった米国自身によって打ち壊された。今年は、日本が独り立ちを目指さなければならないポスト戦後元年だ。
石破茂首相が意欲を示したものの見送ることになった戦後80年の「首相談話」など、時代に大きく取り残されている。
われわれは戦後80年のうちに知らず知らずのうちに身についた(つけさせられた)数々の思考方法を捨て去り、新たな目で新しい世界を見つめなおさなければならない』

 榊原智氏(産経新聞論説委員長)
 『安全保障環境が厳しさを増す戦後80年の今必要なのは、戦争のありきたりの検証を賢しらぶって首相らが披露することではない。靖国神社参拝をはじめとする戦没者追悼の場で、英霊を真心から顕彰することだ』

 北岡伸一氏(政治学者・東京大学名誉教授)
 『石破首相は80年談話の代わりに、国民ヘのメッセージを出す方針のようですが、もう「おわび」の要素は入れる必要はないと思います。歴史を伝えることと、いつまでも謝罪を続けることは同じではありません』(4/22 朝日新聞『戦後』は終わったのか)

 石破氏が先の大戦を総括できる “知性” “見識”、そして、2685年におよぶわが国の永い歴史に “誇り” をもっているとは到底考えられず、時代錯誤の歴史のお詫びなどにエネルギーを使うのではなく、トランプショックに全力で当たるべきではないでしょうか。

 ところで、先日、地上波TVの政治バラエティ番組をみていたら、石破首相がトランプ大統領の前でガチガチ、オドオドになっている様子が放映されていることに気づきました。石破首相はトランプ大統領とは初見であり緊張するのは理解できますが、もっと、前もって万全の準備をしていけばよかったのにと思った次第です。

 アメリカでは、キリスト教が約8割であり、建国の経緯からも「キリスト教の国」です。なかでも、プロテスタントが主流。

   そして、驚くなかれ、石破氏もトランプ氏もキリスト教・『プロテスタント』の堅信礼を受けた『長老派』の信者ではないですか。(堅信礼:プロテスタント諸教会で、幼児洗礼を受けた者が、自己の信仰告白をして教会の正会員となる儀式)

 であれば、首相は、自分がプロテスタントで、長老派の信者であることを伝えれば、トランプ大統領は必ず心を開いてくれるのではないでしょうか。アメリカでは、宗教の基盤は強力な武器であると言われています。

 石破首相には、虚心坦懐にこころを開き、トランプ大統領の懐に飛び込み、国益擁護のために命を掛けてほしいと願う次第です。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセ-
です。

 

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2025年4月18日 (金)

中国の対日工作…孔子学院・留学生・土地買い・反日教育!

 930回目のブログです。

20254181
   (大阪・関西万博会場)

 “異船の よし寄せるとも 君がため 真先に捨てん わが命がも”
            松平春嶽(幕末~明治・福井藩主)

 外国船(ことふね)がもし押し寄せたとしても、天皇のため真っ先に自分の命を捨てたいものだ…。

 関西では、桜もほぼ散りましたが、散る桜もなかなか風情があります。それに加えて『大阪・関西万博』が、いよいよ開催の運びになりましたので、街中は浮かれた雰囲気を醸しているように思えます。

 万国博覧会は、それなりに賑わうでしょうが、わが国を取り巻く環境は容易ならざるものと言わねばならないのではないでしょうか。トランプ米大統領が繰り出す驚異的な政策は、わが国の対応が一歩間違えれば大変なことになるかもしれません。

 そのためには、従来の自民党/公明党のことなかれの軟弱な外交ではなく、真剣な対処が求められます。

 ところが、何と! アメリカ・トランプ大統領との厳しい外交・貿易交渉が控えている時に、日中友好議連は森山裕会長(自民党幹事長)を筆頭に訪中するとのこと。また、公明党も斉藤鉄夫代表石破首相の親書 を持参して中国を訪問すると報じられています。…何たる浅はかな行動でしょうか!

 今、トランプ大統領が中国と大変な事態になっているというのに、日本と中国が仲の良い状況を示せば、アメリカの矛先が日本に向かうのは明らかです。これこそ間抜けというもの。自民、公明の与党、ならびに石破首相は何を考えているのか、アホではないかとの疑念を持たざるを得ません。

 考えても見てほしい。米国と日本は同盟国なんです。であれば、わが国は米国に正面の顔を向け、中国とは距離を置くのが、常識はないのでしょうか。今、米国と中国が厳しい生存競争を賭けている時に、にこやかな顔で中国と談笑すべきではありません。

 小ブログの前号でも書きましたが、自民党も、公明党も、バリバリの左翼であることが判明しました。そして、親中ということは“親共産主義”ということを示しています。

 さて、中国の対日工作について考えて見たいと思います。

 4/2、BBC Newsで、オーストラリアの著名大学6校が孔子学院を閉鎖と報道されました。閉鎖する大学は下記の通り。

  メルボルン大学
  クイーンズランド大学(UQ)
  西オーストラリア大学(UWA)
  ニューサウスウェールズ大学(UNSW)
  ロイヤル・メルボルン工科大学(RMIT)
  アデレード大学

 これにより、オーストラリアの大学にある孔子学院のほぼ半数が閉鎖されたことになり、残るのは7か所です。豪政府は近年、中国共産党と関連のある孔子学院について、国内での新たな開設を許可しないことを示唆しており、該当する大学に対し、孔子学院の教育内容についてより透明性を持たせることを要求しています。

 人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは2019年の報告書で、孔子学院は「中国政府の延長」であると述べ、また、ABCは、オーストラリアでは孔子学院のボランティア教員の応募者は、中国政府への政治的忠誠を示す必要があったと報じています。

 オーストラリアは中国の工作に対し、厳しい対処を見せていますが、翻って、わが国はどのような対応を取っているのでしょうか。

 わが国に設けられている「孔子学院」(2023/5/18政府答弁書)

  早稲田大、
  立命館大、
  桜美林大、
  ・武蔵野大、
  愛知大、
  関西外国語大、
  大阪産業大、
  岡山商科大、
  北陸大、
  福山大、
  山梨学院大、
  立命館アジア太平洋大、
  札幌大

 孔子学院の問題点は、孔子学院と受け入れ大学側との契約内容が不透明。日本政府(文部科学省など)の審査を経ずに、日本の大学内に中国政府の統制下にある機関「孔子学院」が設置されるため、大学および日本の自治に極めて重大な懸念。プロパガンダ工作・スパイ活動の危険性。にあります。

 このような危険性があるにもかかわらず、わが国の政府は無為無策。新聞やテレビでも取り上げられることはありません。それは、自民党でも7割が親中派と言われており、それが理由かもしれません。情けないこと極まりなし。

 アメリカでは、安全保障の観点からアメリカ政府が厳しく対処、その結果、閉鎖が相次いでいます。

 留学生と言えば、2008年の北京五輪の時。長野市を走った聖火リレーを巡り、中国から動員指令を受けた「約5000人」の中国人留学生らが集結、小競り合いから大暴動寸前の現象となりました。中国の工作活動の強烈なことに目を向けなければなりません。孔子学院は、対日工作の拠点になりうることに留意が肝心ではないでしょうか。

 次に、日本の土地を中国があさっていることはマスメディアでも報道されています。安全保障上における「重要土地」(重要施設周辺・国境離島)の取引で断トツ(203件/399件の内)なのが中国であることを、昨年末政府がはじめて公表しました。油断は禁物です。

 最後に、中国の反日教育の内容を。

 「日本は二つの戦争で中国人民に死傷者3500万人を生んだ国である。中国人民は古い仇と新しい仇を両方、打つ。日本に対して、わが国が原則とする“核先制不使用”は適用しない.我々は、必ず日本に核兵器を使用する」(動画)

 「数十年後、君たちの子孫は人魚になるかもしれません。作文で罵りましょう。日本を批判、批判、再批判するのです。ペンを武器として持ちなさい」(福島処理水の放出にあたり、岸田首相の顔写真を出して、教師が作文での罵りを指導する映像)

 「日本人は火の中に連れ込まれる」「いつでも東風41型核ミサイルをぶち込むぞ」(駐日中国大使)

 とんでもない虚言、妄言、暴言、…くじけてはなりません。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセ-
です。

 

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2025年4月 4日 (金)

えっ! 石破首相が「先の大戦の検証・見解表明」へ

 929回目のブログです。

2025441

    『春暁』  孟浩然

  春眠不覚暁(春眠あかつきを覚えず)
  処処聞啼鳥(しょしょ啼鳥を聞く)
  夜來風雨聲(やらい風雨の声あり)
  花落知多少(花の落つること知りぬ多少)

 (孟浩然は盛唐の代表的詩人)春の眠りは心地よく、夜が明けたことも気づかなかった。あちこちから鳥のさえずりが聞こえてくる。昨夜は激しい風雨の音が聞こえていたが、花はどれほど落ちてしまったことだろうか…。

 日本列島、いよいよ桜の季節を迎えました。TVを見ると、全国で花見の光景が映されており、老若男女、雅な言葉でいう “桜狩り” を満喫しているように見受けられます。ほんわかした雰囲気が漂ってくる感じがします。

 この季節、朝起きた時、わたしは、ついつい孟浩然の“春眠、暁を覚えず…”を口に出してしまいますが、五言絶句『春暁』の見事な漢詩は、心からゆったりとした気分に浸させて呉れます。

 自然は桜花、心情は春眠。これ以上の穏やかさはありませんが、国際情勢、国内政治は大荒れに荒れており、わが国はのっぴきならない状況にあるのではないでしょうか。

 その一例として、石破首相の言動を取り上げたいと思います。

 過去3回の首相談話。戦後50年(村山:侵略と反省とお詫び)、60年(小泉:村山談話を継承)、70年(安倍:歴代内閣と同じ。ただし戦争に関わらない世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないと謝罪外交に区切り)

 石破首相は、念願の戦後80年談話(おそらく謝罪を含む)を発出することを熱望しましたが、党最高顧問の麻生氏から説得され発出を見送ったと言われています。

 ・そのかわり、石破首相は、先の大戦を検証するために、有識者会議を設置し、その結果を踏まえ「歴史観や戦争に対する見解」を表明する方向で調整へ。(産経3/28)

 ・石破首相が80年の談話を渋々であっても取りやめたのは良かったと思います。折角、安倍元総理が苦心に苦心を重ね、いわゆる「謝罪外交」に終止符を打ったのですから、それを蒸し返すのは愚の骨頂であり、国益に結びつきません。

 ・それでも、ねちっこい石破氏は「歴史観や戦争に対する見解」を表明する意向だと言われています。ここで考えなければならないのは、石破氏が先の大戦を総括できる “知性”“見識”、そして、2685年におよぶわが国の永い歴史に “誇り” をもっているのかどうかではないでしょうか。

 私が心静かに思うに、石破首相においては、真の知性と歴史に対する謙虚さに甚だ欠けており、軽々に歴史の断罪を行うべきではありません。おこがましいにも程があります。外交的に見ても、喜ぶのは、中国・ロシア・北朝鮮・韓国であり、見解の表明などは止めるべきではないでしょうか。総理大臣であればあるほど、歴史には謙虚に接しなければならず、先の大戦の意義と評価については偉大なる 碩学 にお任せすべきだと考えます。

 みなさん、近年の自民党は、何か変だと思われませんか。自民党は、国民政党であり、保守政党であると自認していましたが、最近の振る舞いを見れば、自虐史観、反日思想、親中(親共産主義)、リベラル勢力、などなどですが、いよいよ、自民党の『左翼革命』という用語が飛び交うようになりました。

 そこで、友人から紹介された、昨年12月に出版された興味深い本を紹介します。

  書 名 『「左翼革命」と自民党崩壊 』
          政界大動乱同時ドキュメント
  著 者 門田隆将
  出版社 ワック株式会社
  価 格 1,500円+税
  書 式 単行本(280頁)

 帯には…、

  緊急書下ろし、
  “国家存続の岐路”で「選択を誤った」日本
  中・露・北はまってはくれない
  同時ドキュメンタリー
  あの日、あの時、何があったのか

 門田隆将氏は、著名な作家でジャーナリスト。『死の淵を見た男―吉田昌郎と福島第一原発』などベストセラー多数。令和4年(2022)7月8日に安倍晋三元首相が暗殺されて以降起こった「自民党の左翼革命」を、中国に支配される自民党の実態との同時ドキュメンタリーとして描いた本です。

 著者・門田隆将氏の、問題意識、ほとばしる愛国心、おもいやりをベースとした、政界ドキュメンタリーとしての迫真の場面は息をつかせず、あっという間に読み終えました。日本の危機が今ここにあることを考えさせる良書です。章建てを…

 高市早苗の「ありえない」敗北
 異例だらけの総裁選
 号砲は鳴り響いた
 激しい駆け引き
 政策の「鬼」登場
 「謀略」渦巻く総裁選
 女系天皇、靖国参拝をめぐる攻防
 高市を叩いても叩いても……
 最終盤の激戦
 どんでん返しの裏
 唖然とする石破内閣
 凄惨な衆院選
 メルトダウンする日本
 日本国「存立の道」

 日本社会が元首相「安倍晋三氏」を失って、日本の伝統や文化、そして誇りを大切にし国際圧力に毅然と対峙していく気運は、一気に減退。それとは逆に自民党内の左翼・リベラル勢力が俄然力を増しました。

 自民党は、石破茂氏を総裁、首相に選ぶことにより「左翼革命」を高らかに宣言、日本の「メルトダウン」が始まり、迫りくる中国の軍門に下る「第二のウイグル化」さえ懸念される道を歩み始めたのです。

 ごらんください。昨年10/27、石破首相は、政権選択の衆議院選において大敗北を喫し「少数与党」に転落させました。ところが、石破首相は責任を取るどころか、総理の座にしがみついたのです。美学のひとつも持ち合わせていない私利、私欲だけの石破首相に惑わされてはなりません。

 何はともあれ、門田隆将さんの『「左翼革命」と自民党崩壊 』(政界大動乱同時ドキュメント)をお薦めします。

 自民党は、本来、国民政党保守政党でした。石破首相をすみやかに引き下ろさなければ、自民党もメルトダウン、日本国家もメルトダウンするのは必至ではないでしょうか。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセ-
です。

 

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2025年3月21日 (金)

自民党1位陥落!…石破首相の失政と言い訳

 928回目のブログです。

20253211

     “ 隅々に 残る寒さや うめの花”
           与謝蕪村(俳人・南宋画の大家)

詞書・・すりこ木で重箱を洗ふごとくせよとは、政の厳刻なるを
    いましめ給ふ。賢き御代の春にあふて。

意味・・春になって、梅が開花したとはいえ、冬の寒さが世間の
    あちらこちらに残っている…。
     (世間隈なく春なれかしと仁政を期する寓意の句)

 国会も終盤になって大荒れの模様を呈してきました。一つには、石破首相の高額療養費の負担引き上げ「見送り」表明 、その信念なき“二転三転”の不様さ。二つには、石破首相による新人衆議院議員への「10万円商品券」配布とその言い訳の面妖さ。です。

 今、自民党の置かれている状況を冷静に見てみましょう

【自民党・参議院選比例の投票順位1位陥落】

 3/15・16の毎日新聞が実施した世論調査で、今夏の参院選の比例代表での投票先の調査の結果は下記の通り。

 (1)国民民主党  17(%)
 (2)自民党    16
 (3)立憲民主党  13
 (4)れいわ新選組  5
 (4)日本維新の会  5
 (6)公明党     2
 (6)共産党     2

 自民党が1位から陥落し、替わって国民民主党が首位に登場という的な場面が調査結果に表れました。

 選挙の要素は人気信頼だと言われますが、今の自民党を国民目線で見れば、信頼はなく人気もダダスベリというところではないでしょうか。

 まず、「年収103万円の壁」について、自民党・公明党・国民民主党の3党は幹事長会談において「178万円」を目指すことで『合意書』を交わしましたが、自民党は後でポイッと反故にして、国民を騙しました。自民・公明・維新は結託して予算成立に向かっています。

 厳しい生活を何とかしてほしいとの国民の切実な願いに対して背を向ける自民党の姿勢に反感を持ったものが、自民党から国民民主党に流れたと考えられます。

 次に、石破首相が、昨秋の衆院選で初当選した自民党議員に対し、「10万円相当の商品券」を配布していたことが判明。3日夜に「首相公邸」で開いた懇談会の出席者15人が対象で、総額は150万円に上るとみられ、政治資金規正法は「個人が政治家に金銭などを寄付することを禁止」しており、野党はもとより、自民党内からも、首相の進退に言及する一斉批判となっています。

 石破首相は、「政治活動に関する寄付ではなく、規正法上の問題はない。公職選挙法にも抵触しない」と主張しています。

 しかしながら、この言い訳は無理筋というもの。というのは、首相公邸での出席者は、首相、官房長官、官房副長官2名、新人議員15人。首相以下全てが政治家であり、この懇談会はまさしく政治活動そのものと言わねばなりません。石破首相の発言はとんでもない言い逃れであり、国民を舐めないでいただきたいものです。

【SNSの活用で若者を取り込もう】 

 3/9、自民党の党大会があり、「国民が受ける事ばかりやると国が滅ぶ」(石破首相)、自民党もSNSの活用で若者を取り込もうとの声が上がりました、

 しかしながら、SNSの利用は情報拡散において強力なツールですが、政治において最も重要な要素は政策であり、有権者が求めるのは実質的な変化と具体的な成果です。

 安倍政権が若者の支持を得た背景には、就職率の劇的な向上があったことを忘れてはなりません。今は、雇用関係はそれなりに安定しており、若者の支持を得ようとすれば、経済的な負担の軽減、即ち「減税」ということになります。単に、SNSでいくら発信しても効果は少ないと見なさなければなりません。

 有権者が求めているのは生活の改善です。政治家の過半が財務省の教育、脅し、洗脳によって財政健全化を重大事の筆頭事項に挙げていますが、経済成長と国民の生活を犠牲にしてまで達成すべきことではないことを理解しなければなりません。

 また、SNSには長所もあれば、短所もあります。確かに、上手く使えば正しい情報を広範囲に拡散させることができます。しかしながら、逆に、それだけに誤情報やネガティブな印象も簡単に瞬間に広がっていきます。空虚な表面的なアピールだけでは逆効果になりかねず、信頼を損なうリスクとなるのです。

 現状では、国民民主党が「手取りの増加」という明確なメッセージを打ち出し、若者から強い支持を集めていること判断すれば、単なるPRではない具体的な政策を打ち出すことが肝要ではないでしょうか。

 自民党が若者世代に対し、今すぐ支持を求めたいのであれば、国民民主党の政策(103万円⇒178万円・ガソリン税上乗せ分課税中止)を丸のみし、それをSNSで強力に発信する以外に選挙に勝利する道はなさそうに思えます。

 有権者が求めるのは言葉ではなく実質的な行動だ!

 自民党は『有力政党』です。財務省を配下とし、勇気をもって自ら活力ある斬新な政策を打ち出さなければ「衰亡」あるのみではないでしょうか。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセ-
です。

 

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2025年2月21日 (金)

世界の十大リスク+日本のリスク!

 926回目のブログです。

20252211

 “ 春霞 たつやおそきと 山川の 岩間をくぐる 音聞ゆなり ”
         和泉式部(平安中期・後拾遺和歌集)

 春霞が立つのが遅いといわんばかりに、春霞が立った途端、谷川の水の岩間をくぐるさわやかな音が聞えています…。

 雪解け水の爽やかな音と麗しい景色を詠んでいる見事な和歌です。

 まだまだ寒い日々が続き身体を縮めていますが、雪解けの爽やかな音とともに梅の花の可憐な姿を眼前に見たいものです。それにしても、王朝の歌人の雅な雰囲気を美しい言葉で微妙に表すことに感嘆せざるを得ません。この和歌の道がわが国の伝統文化のひとつとして永遠に続いていることは誠に喜ばしいことです。

 さはさりながら、年を明けてからの世界情勢は、米国トランプ大統領の矢継ぎ早の政策展開で、米国はもとより、わが国を含め世界各国が唖然、茫然とした有様です。

 しかしながら、わが国は石破首相をはじめ全体に緊張感に乏しく、メリハリのない政治状況となっているのではないでしょうか。

そこで、ユーラシア・グループの発表した『ことしの10大リスク』をご覧ください。

  1位:深まるGゼロ世界の混迷
  2位:トランプの支配
  3位:米中決裂
  4位:トランプノミクス
  5位:ならず者国家のままのロシア
  6位:追い詰められたイラン
  7位:世界経済への負の押し付け
  8位:制御不能なAI
  9位:統治なき領域の拡大
  10位:米国とメキシコの対立

 過去、2017年、トランプ大統領が登場した時も、1位:わが道を行くアメリカ、2位:中国の過剰反応、と、同じような項目が挙げられていました。

 トランプ大統領は、2017年は「America First(アメリカ第一主義)」、2025年は「Make America Great Again(アメリカ合衆国を再び偉大な国に)」。また、2017年は「中国の過剰反応」、2025年は「米中決裂」。米中関係について、今年のユーラシアGは「世界で最も重要な地政学的な関係において管理されない“デカップリング”が生じ、経済の混乱と危機のリスクが高まることになる」としています。

 さらに、世界の十大リスクに挙げられている第1位の深まるGゼロ世界の混迷とはどのようなものか考えて見たいと思います。

 Gゼロとは、グローバルな課題への対応を主導し、国際秩序を維持する意思・能力を持つ国家や国家の集まりが存在しない状態です。分かりやすく言えば国際政治における権力の空白を意味しています。

 自国の利益優先、自国の経済の優先、国内重視、国際秩序の軽視、他者の排除、右傾化、EU崩壊?も、

 2025年には地政学的不安定が常態化し、国連安全保障理事会、国際通貨基金(IMF)、世界銀行といった主要な国際機関が、もはや世界のパワーバランスを反映していないことを指摘し、それにより“ならず者国家”ロシアの存在が世界大戦を引き起こすとも。

 ユーラシア・グループは「Gゼロ世界」に関してこう締めくくっています。

 「私たちは、1930年代や冷戦初期に匹敵する、世界史上でも独特の危険な時代に突入しつつある。この地政学的現実こそが、今年の10大リスクの背後にある要因だ。そして、真に壊滅的な事態が発生するリスクは日々増大している」

 大変な国際情勢です。翻って『わが国のリスク』はどこにあるのか真剣に考えて見なければならないのではないでしょうか。

 石破首相は、最近、「楽しい日本」「令和の日本列島改造」と呆けたことを言っていますが、待ってほしい、そんな言葉遊びをしている間に、わが国の土台が崩れかかっていることを認識してほしいと思います。

 1月28日午前10時、埼玉県八潮市の県道交差点で、トラックが左折しようとしたその瞬間、道路が直径5m、深さ10mにわたって陥没するという大事故が発生。トラックは頭から穴の中に落下し、74歳の男性運転手が土砂に埋もれて安否不明になっています。

 連日テレビで放映され、国民は恐怖を感じたに違いありません。下水道管は約40年前に埋設されたもので、汚水から発生する硫化水素によりコンクリートが腐ったもの。下水道管の耐用年数は50年ですが場所によっては40年でも腐敗します。すなわち老朽化のせい。このような現象が全国いたる所で発生すると考えると背筋が寒くなります。

 わが国のインフラは、1955年から90年にかけての高度成長期に集中的に整備されため、老朽施設が急激に増え続けているのです。数字を見て見ましょう。

 下水道管      現在50年超が7% 20年後には40%
 橋梁(720,000)  2030年には50年超が55%
 トンネル(11,000)2030年には50年超が36%

 強烈な不安に襲われる数字であり、政府はこれが厳粛なる事実として認め緊急にも対策を講ずべきではないでしょうか。われわれ国民も、このような事故は発生しないと問題視しない傾向があるのは良くないことです。老朽インフラの管理、補修はまことに持って地味な仕事ではありますが極めて大事なことであることは言うまでもありません。

 老朽インフラの管理、補修は、待ったなし。とすれば、財源、技術系職員の確保に全力を上げなければなりません。しかしながら、困ったことに財務省は緊縮財政主義であり、国民の輿望を背景にした活力ある圧倒的な政治姿勢によって財務省を積極財政主義(長期建設国債発行など)に転換させなければ後顧の憂いをのこすことになるのではないでしょうか。

 わが国においては、老朽インフラの整備は最大のリスクのひとつとして位置づけられるものです。石破首相には “楽しい日本” の浮ついた夢を語るよりも、地味であっても暮らしをさえる政策「老朽インフラの整備」を積極的に推進してほしいものです。それが一番お似合いです…。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセ-
です。

 

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